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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第54話 トイレの問題

 マグカップやポーションの空き瓶を片付ける。アプルの皮や芯はこのまま埋めてしまえばいい、そのうち分解されるだろう。準備が終わり私は用を足すためにトイレに向かった。改めて生理現象が戻ってきていることを実感する。


「用を足すから、こっちは見ないでね」


『承知しました』


 フェシーの首がくるっと回転した。いかにもフクロウらしい動きだ。トイレに座り用を足し終えて私は右手を壁に伸ばした。その手が空を切り私は愕然とした。


『フェシー……トイレットペーパーがないわ……』


 弱々しくフェシーに念話を送る。


『ありませんね……ポーチはお持ちですか?』


『……持っているわ……』


『では、タオルで後始末をしてください。小用であればタオルの水洗いと《ドライ》で問題ないはずです』


『わかったわ』


 ポーチからタオルを取り出して後始末をする。貯水タンクに水を入れて流して、洗面所でタオルを洗い、《ドライ》を掛けて乾かす。一応《ピュリフィケーション》も掛けておく。タオルをポーチにしまいフェシーのもとへ戻った。


「死活問題だわ、出発の前に対策を考えましょう。この世界の人達はどのような方法で後始末をしているの?」


『専用の植物の葉があります。これを使うのが一般的です。どこでも手に入るので、冒険者たちも利用しています。女性の小用の場合は、そのまま下着を着用してしまう方が多いです。大きく汚してしまった場合は、端切れなどを利用して後始末をして廃棄します』


「くっ、衛生観念の差ね、そのまま着用はないわ……その植物の葉は拭うことはできても水分の吸収は無理よね?」


『はい、残った排泄物の除去に使われるだけです。水分の吸収は、そもそも植物なので無理です』


「水分を吸収する素材……そんなピンポイントな植物や素材をここで探すのは厳しい……デリケートゾーンに使うのだから、テストにも時間がかかるし……《ピュリフィケーション》を使った浄化……確かに残った水分は綺麗かもしれない、でも生理的に受け入れられるかというと……これも厳しいわね……」


『《ウォータ》を使った洗浄はどうですか?小屋にあった温水洗浄便座トイレの簡易版ですね』


「そうね、それが一番現実的かもしれない。やはり日本のトイレは叡智の結晶ね、機能をそのまま参考にすることができるわ。ただ、水流を上手く維持できるかしら?」


 早速検証を開始する。《ウォータ》は水を出す魔法で、今まで容器の中にしか出したことがなかった。洗浄用の水流を作るには下から上へと吹き上げる必要がある。土で耐水の箱を作り出し、そこで試してみた。作り出した水を水球の状態で空中に待機させることはできたが、吹き上げることはできなかった。


 ただ、水球内で水流を起こしたり、水球をゆっくり移動させることができた。


「《ウォータ》で、水を吹き上げてシャワーにすることは無理のようね……原初魔法に切り替えるしかないか……」


 移動した《ウォータ》の水球で洗浄する方法も考えたが、洗浄後の水がそこに留まるのは良くない、水流として流れていくからこそ洗浄の意味がある。


 洗浄水を作るのは《ウォータ》に任せて、そこからの吹き上げは原初魔法を使う。温水洗浄便座トイレのシャワーの仕組みは、ノズルにポンプで圧力をかけて水の吹き上げを実現している。出した水に下から圧力をかけるイメージをする。


 ジャーっと水が吹き上がり天井を濡らした。そして私たちにも水が降ってくる。慌てて魔法の発動を止めた。


「失敗ね、水圧が強すぎたわ。でも吹き上げには成功したから、方向性は間違ってないと思う……ドライ」


 《ドライ》で濡れた衣服と室内を乾燥させる。フェシーの羽と私の髪の毛に残った水分は、水分除去の魔法で乾かした。


 先ほどのイメージより弱い圧力にして再度魔法を使用する。今度はチョロチョロと水があふれ出す感じになった。少しずつ水圧を強めていくと10cm程度の高さまで水が吹き上がるようになった。


「後は、実際に使いながら調整するしかないわね……フェシーまたトイレを使うから見ないでね」


『承知しました』


 トイレに座り検証を開始する。最初はお尻側からだ。便座から5cm程度下の位置から水が出るイメージをし、先ほどの魔法を使ってみる。肛門に水が当たるが、勢いが足りないと感じ、慎重に水圧を上げていく。私の感覚でこの程度かな?と思ったところで水圧を固定する。


 タオルで後始末をして部屋に戻る。土箱の上で使ってみると、およそ30cmほど吹き上がった。


「よし、お尻はこれで大丈夫ね、次はデリケートゾーン側ね……」


 再度トイレに座り検証する。お尻と同じぐらいの勢いにすると、少し強い気がするので水圧を弱める。これも丁度いい感覚の所で止め、水圧を固定する。


 部屋に戻り土箱の上で、同じように使ってみる。今度は25cm程度吹き上がっていた。


「とりあえずこれでいいわね……名前は《ウォッシュシャワー》と《ウォッシュシャワー・ビデ》にしておこう」


 何とかトイレの後始末問題を解決することができた。もう少し改良もしたいけど、今はこれでいいだろう。


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