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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第51話 リデナ大森林

 私は1年間(360日)滞在した領域から1歩を踏み出した。急に周辺から濃密な生命の息吹を感じることになった。鳥の鳴き声、遠くから聞こえる獣のいななき、ざわざわと草木が触れ合う音、様々な気配が私の体を駆け抜けていく。


 振り返らないとは言ったが、確認はする。領域の小屋はすでに見えておらず、森へと続く1本の小道だけが存在していた。この道は冒険者がリデナ大森林へ入るために使われている道の1つで、領域を出て道なりに進むとリデナ砦にたどり着く。今、確認した方向へ進むとリデナ大森林の奥に向かっていくことになる。


 このままここに立っていても仕方がないので、状況確認をするためにも道から外れて脇の藪に入っていった。周りを視認してから、その場にしゃがみ索敵の魔法を唱えていく。


「ウィンドソナー、マジックソナー」


 《ウィンドソナー》の結果は、半径数百メートル内の木々の上に鳥はいるが、大きな生物は存在していなかった。《マジックソナー》も同様の結果だった。鳥型の魔物もいるので、周辺への注意は怠らない。


 緊張感からか、額に汗をかいている。シャツで拭い、外套についているフードを被った。汗をかくということから生理現象が戻っていることを実感した。


 この道はリデナ砦に続いている。確か半日くらいで大森林から出られると聞いた。森を出たところから左側、方角で言うと西に向かって森沿いをさらに半日歩く、そこから北に向かい1日半歩けば街道にぶつかる。その街道を今度は東に向かって半日歩くことで、領都リデナスタに到着する。トラブルがなければ3日の工程だ。


(街道までは人に会いたくないわね……)


 とはいえ、藪を漕いで進むのは時間もかかるし、音も出る。小道を進むのが正解だろう。小道に戻りプロフェッサーが示していた方向に歩き始めた。身体強化は1.2倍で発動しておく。森を抜けたところで解除して様子を見るつもりだ。


 木の密度が薄くなってきているので、そろそろ大森林からの出口が近づいてきているのだろう。途中何度か、獣を見かけたが逃げて行ったので動物だろう。魔物であれば襲いかかってくる。《ソニックバレット》を待機状態にしたが、発射することはなかった。


 さらに進むと大森林から抜けた。視界いっぱいに草原が広がっている。ここまで来て、私は少し肩の力を抜いた。人にも魔物にも会わなかったので、安心しているのもあるが、何が起こるか分からない大森林を一人で歩くのは、さすがに緊張感が半端なかった。


(肉体的疲労よりも精神的疲労の方が激しいわね……まだ昼にもなってないけど早めに休憩しよう)


 プロフェッサーの指示通りに西に向かって進み、小道から外れた場所で休憩をとるつもりだ。草があり少々歩きづらいが、なるべく痕跡を残さないように慎重に歩いて行く。小道から500m程度離れた場所で、休憩するために周りの様子を確認する。


「ウィンドソナー、マジックソナー」


 《ウィンドソナー》に小型の鳥の反応がある。普通の鳥かと思ったが、《マジックソナー》にはその鳥が強大な魔力を纏ってこちらに向かって飛んできている反応がある。私は《ソニックバレット》を限界の8発まで待機状態にした。


 大きさは小さいが確実に強力な魔物だと予想できる。しかもこちらに向かって飛んでくるのは、いまだに《マジックソナー》に強力な魔力の反応があるからだ。


 鳥が飛んでくる方向をじっと見て、いつでも弾丸を発射できる体勢にする。


『あ~、ミオさん撃たないで、私です』


 突然、頭の中に声が響いた。心地の良いバリトンボイスで所謂いわゆるイケボというやつだ。はっとして再度身構えた。


「だれ?どこにいるの?」


『今からそちらに行きます。小さなフクロウなので攻撃しないでください』


 また頭の中で声が響く。もう予想はできている。この世界で私の名を知っているのはプロフェッサーだけだ。でも、何らかの力が別の人物に教えたかもしれない。最後まで油断するつもりはない。


「わかったわ。私に見える範囲で木の枝に止まりなさい」


『承知しました』


 半日しか経っていないが懐かしい返答だ。涙があふれそうになるが、我慢する。しばらく待っていると、近くの木の枝にフクロウが止まった。体長15cm程度の真っ白なフクロウだった。そして、今まで強力な魔力の反応を示していた《マジックソナー》からその反応がなくなった。


「さっきも聞いたけど、誰?」


『もうわかっているとは思いますけど、プロフェッサーです』


「本当に?彼は光の粒子になって消えたわ。ただのインテリジェンスブックに戻るために……」


『そうですね、詳しいことは後で説明します。とりあえず話をするためにも、《地下野営シェルター》を作ってください』


 私は泣き崩れそうになるのを我慢して、地面に手をついた。


「地下野営シェルター」


 目の前に入口が開いたので、タラップを降りて机と椅子を作成した。机にはフクロウが止まりやすいように止まり木も作成しておく。入口からフクロウが入ってきて、止まり木に止まった。


「地下野営シェルター隠息いんそく


 入口が閉まり、安全な地下シェルターが完成した。


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