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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第5話 魔法が使えた

 ゆっくりと扉を開けてみた。そこには森が広がっている、とはならなかった。エントランスルーム?倉庫?まあ玄関ということにする。あまり広くないが様々な道具が置いてある。正面には扉も見える。室内の扉と違い、鍵穴らしき物もあり屋外に続きそうな扉ではある。


 壁際には農具やバケツなど外で使用する道具が並んでいた。ここで農業は始めないと思う。この辺りの道具の確認は後で問題ない。今は外の様子を確認することと、【魔法】の効果などを確認する方が先だ。外に出る扉の前に看板があった。注意事項が書かれているようだ。




【注意事項】

 小屋から50m離れると『領域』外となりここに戻ることが出来ません。(一応柵があるのでそれより先に進まないこと)

 『領域』内の植物等はご自由に採取して構いません。

 『領域』内に動物、昆虫はいません。

 【魔法】は上空に向けて放ってください。【魔法】を『領域』の外側に向けて放つと外側に被害が出ます。(『領域』内は復元されるため多少破壊しても問題ありません。)




 まあ、概ね予想通りだ。本には書いてなかった細かい注意事項が看板に書いてあった。柵から外に出ないことと『領域』の外側に向けて【魔法】を使わなければ問題ないだろう。


 扉に手をかけて開けてみた。明るい光が差し込んでくる。同時にさらりとした風と共に樹木の香りが鼻を抜ける。久しぶりに自然を感じた。


 扉を出たところから真っすぐに小道が続いている。その先に簡単ではあるが門扉とそれにつながる柵が見えていた。あの門扉もしくは柵を越えなければ『領域』外に出ることはないだろう。


 正面は広場のように開けており実験を行うには十分な広さだ。右側には小川が流れている。その先は森になっていて柵は見えない。左側は岩場になっており、大小さまざまな岩がゴロゴロと落ちている。岩の間から柵が見えその先は深い森になっている。


【魔法】の項目で読んだ各属性を試すには十分な場所である。この世界の魔法には【生活魔法】と【属性魔法】が存在する。他にも【精霊魔法】や【原初魔法】と呼ばれる物も存在するが、今は割愛して構わないだろう。


【生活魔法】は《ファイヤ》《ウォータ》《ライト》の3つが使われている。魔術師でない普通の人でも使える可能性がある。


 この3つが使えれば【属性魔法】が使えるとされているが、本の知識では関係ない。その属性に個人の適性があることで、訓練すれば使えるようになるらしい。


 とは言え、いきなり【属性魔法】が使えるかはわからないので、【生活魔法】を試してみることにする。本には簡単な訓練方法が書いてあったのでそれに従いやってみる。本の知識は特別な存在が作ったとしか思えない空間にあるものだから、基本的には正しいと思う。ただ、すべてを信じるのはまずいので、そこは取捨選択が必要だ。【魔法】などのこの世界独特な事柄はある程度信じるしかない。


 呼吸を整え、体内に存在する【魔力】を指先に集めるようにイメージする。【魔力】は体全体に散らばっているのでそれを集めるイメージだ。私的には血管がわかりやすい。全身にくまなく存在するし、どのような構造になっているかを知っている。


 少しずつ今までに感じたことのない感覚の物が全身から右手の人差し指に集まっていく。ある程度集まった状態だと感じたのでキーワードとして魔法の名前を呟いてみた。


「ライト」


 指先が仄《ほの》かに光り始めると、徐々に明るくなっていき眩《まばゆ》い光が視界を白く染めた。あまりにも眩しいので私は目をつむり慌てて消えてくれと願った。ふっと瞼に映っていた白い光がなくなった。恐る恐る目を開くと、私の指先に存在した白い光は消えて無くなっていた。


(成功……なのかな?ちょっと眩しすぎるから調整は必要だけど……)


 指先を見つめながら再度【魔法】を試してみる。今度は【魔力】を少なくするイメージにしてみる。先ほどよりも短い時間で指先に【魔力】が集まる。


「ライト」


 パッと指先が明るくなった。先ほどに比べると弱い光が指先に灯った。それでも直視するには少し眩しいくらいだ。もう少し弱くしても良いけど、先にどの程度維持できるか試してみることにする。手を動かしてみるが光は消えない、指先についてくるような感じで光もまた移動している。手を激しく振ってみるが、《ライト》も同じように動いている。


(指が懐中電灯になった……光が強いけど、調整できれば便利かもしれない)


 その後も検証を続け、いくつかわかったことがあった。《ライト》の光は発動した指先から一定の距離を保って追随してくる。それとその指先から移動することが出来ない。あと、途中で光の強さを変えることは無理なようだ。まだ強い光なので長時間検証するには眩しすぎる。私は《ライト》を消した。イメージのみで簡単に消すことが出来る。


 検証は10分程度だと思うがその間に《ライト》が消えるようなことはなかった。持続時間は再度検証が必要だろう。他の事も試してみる必要がある。そう思い私は引き続き《ライト》を使い様々な検証を行っていった。


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