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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第49話 最後の準備

 射撃魔法を開発してからも訓練は続けている。射撃魔法の名前は《ソニックバレット》として、発射するまでの工程を2つにした。1つ目は《装填》、弾丸を準備するためのキーワードだ。そして2つ目は《狙撃》、《装填》で準備した弾丸を実際に発射するキーワードとした。


 訓練中にいろいろと試したが、《装填》で弾丸を複数個準備できることがわかった。私の技術では今の段階で最大8発まで待機させることができる。最初は1発のみしか待機状態にならなかったので、訓練をすればもっと数を増やすことも可能だろう。


 弾丸は待機している間は、私の視点の先の空間に浮いている。私が視点を動かせばそれに追従して弾丸も移動する。視点を動かさなくても意識すれば足元などにでも移動が可能だった。これにより《ソニックバレット》は複数の弾丸を1か所に集中させることや、ある程度の範囲に打ち込むことなど、多角的な射撃も可能になった。さらに弾丸を順次発射したり、一斉に発射したりと1発1発での制御も可能なので《ソニックバレット》として使用するよりも、《装填》と複数回の《狙撃》という手順で使用する方が多くなると予想している。


「実戦ができていないから完璧ではないけど、これで攻撃手段については目途が立ったわね……」


『知らない者からしたら脅威でしかありません。試せてはいませんが、数km離れた場所から音速で弾丸が飛んでくるのです。避けることすらできないでしょう』


「そうね、でも長距離での射撃訓練は必要よ、回転数や発射速度も再度検討が必要だろうし……場合によっては貫通しない弾丸の開発なども必要よ」


 しばらくは現状のままで運用していくつもりだが、実際の周囲への影響や破壊力などを見てから修正する必要があるだろう。その後も森での走破訓練、射撃訓練などを行って過ごした。





 ここに来て358日が経過し、いよいよ明後日はこの領域から旅立つことになる。すでにいろいろな感情が今にもあふれ出しそうだが、まだ心の中にしまってある。


「準備も訓練もほぼ完了ね、今日は荷物とかの最終確認をするわ」


 フル装備に着替えて確認をする。装備に問題はない、状態維持がされているのもあるが、ダガーやナイフは、ほとんど使用していないので傷一つない。外套とバックパックやランタンはわざと少し汚れた状態で状態維持している。長距離移動をしているのに使用感がないのは不自然だからだ。


 外部の装備についてはこれで問題ないだろう。後はポーチ内にある物資類だ。


 衣装や道具類、食材には大きな変化はない。薬品も同じで特に増やしてはいない。ラボの備品はプロフェッサーの薦めでビーカーなどよく使用する備品を複数個増やした程度だ。


 薬草類は毎日その数を増やしている。薬草類に至ってはそれぞれの種類が1,000株以上ポーチの中に入っている。採取が面倒なので、土ごと根こそぎ採取する魔法を開発したくらいだ。


 それと土を大量に収納した。その量は100立方メートル、100,000Lという途方もない量だ。基本は遠隔攻撃の《ソニックバレット》用ではあるが、他にも利用は可能だ。


 後は日用品として、化粧水と乳液を複数本持ち出した。シャンプーとリンスはこちらの世界で使用するのは危険なのと、慣れてしまうと無くなったときに困るので諦めた。


 歯ブラシもこの世界で使用されている物に変えて慣れるようにしている。通常は木の枝で先端を解すとブラシになる。使用すると爽やかなミントのような香りもするので結構気に入っている。後は洗濯用の洗剤も用意した。リデナスタの領都に着けば購入できるが、旅の間でも使用する可能性はある。これは古くからある植物でムクロジだ。今の地球でも好んで使っている人はいる。この世界でも普通に使われているようだ。


 それからプロフェッサーに頼んで用意してもらった生理用品だ。さすがに頼むときは恥ずかしかったが、必要なので勇気を振り絞った。たぶん顔は真っ赤だったと思うし、あまり思い出したくない。この領域に居ると月の物も来ないのですっかり忘れていた。分厚い布の簡単な布ナプキンだが、あるとないとでは大きく違うので気が付いて良かった。


 これですべての準備が完了した。





 準備も終わったので、私が過ごしたこの領域を軽く見ていく。最初に薬草園や畑、果樹園に行き手入れを行った。ここには本当にお世話になった。改めてみるとすべての植物が生き生きとしている。


 次はラボだ。ここ数日は訓練ばかりだったので利用していない。保管庫には私が寄付した水晶やポーションが並んでいる。特に汚れているわけではないが軽く掃除をした。ここでプロフェッサーと一緒にいろいろなものを開発、作成した。楽しかった思い出がよみがえり少し目頭が熱くなった。


 洗面所に行き鏡の前に立つと、いつもの私が写っている。トイレは使わなかったが、風呂はほぼ毎日入った。あのリラックスできる瞬間は本当に至福だった。


 最後にキッチンに向かった。かまどは結局使わなかった。料理もほとんどしていないので綺麗な状態だ。


 寝室に戻り、ベッドに横になる。明日は1日ゆっくり過ごすつもりだ。あふれ出そうな涙を我慢して眠りについた。


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