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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第42話 料理と携帯食

 この領域から出ると体に生理現象が戻ってくる。そうなると、睡眠や食事、排泄など様々なことをしなくてはならない。


 まず睡眠だが、《地下野営シェルター》を作ったことで通常の野営と違い安眠できる環境を作れた。排泄についても同様だ。休憩を兼ねて《地下野営シェルター》を作れば、野外でせずともトイレを済ますことは可能だ。


 最後に食事だが少々問題がある。私も料理をすることはできる。しかしこの世界の食材を知らない。地球と似たような野菜や果物があることはわかっているが、一般的にどういった食材を使い、どういった調理をしているのかがわからない。


 そこでプロフェッサーに教えてもらいながら料理をすることにした。シェルターでは火を使うことができないので、ポトフのような煮込み料理を中心に教えてもらうことにする。私はエプロンを着けてキッチンに立っている。


「というわけで、料理を教えてください」


『どういうわけか存じませんが、野営時に作る料理をお教えすればよろしいのでしょうか?』


「皮肉っぽいわね……でも、お願いします」


『承知しました。一般的なスープをお教えさせていただきます。まず、調理道具ですが、食材を切るためのナイフ、食材を乗せるまな板、そして煮炊きをする鍋が必要です。食材はイモ類、根菜類、干し肉などになります。食材を適当な大きさにカットします。鍋に水を入れてすべて入れます。煮込めば出来上がりです。黒パンと一緒にお召し上がりください』


「え?それだけ?」


『はい、野外での食事となるとこの程度です』


 確かにそうか、荷物の量に制限もあるし、周囲の警戒もしないといけないので長々と料理をしているわけにもいかない。温かい食事ができるだけでも十分なのだろう。


「わかったわ。携帯食ってどういう物なの?」


『携帯食は小麦粉にすりおろした野菜などを練りこんで焼いたものです。食料棚に入っているので、実際に食べてみてはいかがでしょうか?』


 食料棚を開けて携帯食の袋を取り出した。中には5cm四方のビスケットのようなものが入っている。厚さは1cm程度だ。取り出してかじってみた。


「歯が折れそうね……」


 何とか食べることができたが、パサパサで口の中の水分がすべてなくなった。味はそこまで悪くないが、美味しいと言えるものではない。マグカップに水を出し飲み干した。


「予想通りではあるけど、毎食これは嫌ね……改良の余地もありそうだけど、今はそこまでする必要もないし……スープに入れれば柔らかくなって食べやすくなるわね」


『あとは先ほどの料理にも出てきましたが、干し肉になります。こちらも食料棚に入っているので、ご確認ください』


 食料棚を開けて干し肉の袋を取り出す。ビーフジャーキーのようにも見える。干し肉の端をかみ千切り口に含んだ。肉のうま味はなく、ほぼ塩の味しかしない。


「これも予想通りね、塩分の塊でしかない……これも、直接食べるよりはスープの出汁にした方がましね……」


 私にはポーチがあるので荷物の量に制限はない。ただ調味料の少ないこの世界で、料理を作るとなると料理人でもなければ創作料理なんて作れない。プロフェッサーが言ったレシピが正解なのだろう。とりあえず一度作ってみることにする。


 食料棚からポテトとキャロ、ロータルを取り出す。ポテトはそのままでじゃがいもで、キャロは人参、ロータルはレンコンだろう。それぞれの皮をむいて一口大にカットする。干し肉を刻み、携帯食を4分割に割った。


「さて、後は鍋に水をいれて……材料を全部放り込んで、加熱……」


《ウォーム》を使って加熱していく。少しずつ温度を上げていき、沸騰させた。しばらく煮込んで出来上がりだ。立ち上る湯気からする香りは悪くない。


「それでは、いただきます」


 スプーンで野菜とスープをすくい口に運ぶ。単純な塩味のスープだが、干し肉と野菜から悪くない出汁が出ている。これにショウガや、ハーブなどを入れれば十分美味しい料理になるだろう。薬味としてネギやニンニクも良いかもしれない。


 食料棚に胡椒があったので砕いて入れてみる。味が引き締まり一気に美味しくなった。これなら街までの移動中に食べる食事としては十分だろう。野菜を変えれば味も変化する。


「移動中のメイン料理ね、後は葉物野菜のサラダでもあれば十分だわ」


『それでよろしいかと存じます。朝食はパンや果物などを召し上がれば、活動するのに十分な栄養素がとれるかと……』


 作ったスープを全て食べ終えた。街までの移動時間を考える。何もトラブルがなければ、リデナ砦を迂回しても3日あれば着くことができる。ゆっくり行ったとしても5日だろう。食料はかなり余裕を見て1か月分を考えておく。


「食事はとりあえずこれで問題ないわね、料理を教えてくれてありがとう」


『お役に立てて何よりです』


 まだ時間はあるが、何かあればすぐに経過してしまう。私は少し早いとも思ったが、旅に向けての準備を始めることにした。


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