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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第41話 緊急避難シェルター

 高さ1mからの落下でも、厚さ50cmでスポンジ状の土を形成することで怪我をすることはなかった。いろいろな体勢で着地を試してみた。どんな体勢でも衝撃は少しあるが、体を痛めることはなかった。少し怖かったけどお尻からも落ちてみたが、強打することなく私のお尻はスポンジ状の土に埋もれた。沈み込みも最大20cm程度だった。


「うーん、やっぱり普通の衝撃吸収とは違うわね……何か魔法由来の効果があるのかしら?」


『わたくしにもわかりません。ですが、スポンジ状の土は魔法で形成されており、その形成時には貴女のイメージが反映されます。多孔質と衝撃吸収の二つを同時にイメージすることで、何らかの魔法効果が表れている可能性は高いと推測します。候補としては、土属性の《マテリアルガード》でしょうか……』


「なるほど、確かに物理攻撃をある程度遮断する《マテリアルガード》は衝撃吸収に近い効果を持っているわね……そうなると高さ2mでもそこまで衝撃を感じずに落下できる可能性が高いでしょうね」


 今度は高さ3mの穴を開ける。途中で壁に当たってしまう危険性も考えて、表面積も2m四方にしておく。底には厚さ1mでスポンジ状の土を形成した。


「さすがに少しビビるわね……でも、衝撃がないなら……」


 穴に向かって飛び込んだ。すぐに着地するが、衝撃も1mの高さと変わった感じがしなかった。もちろん怪我もしていない。


「これって、ある程度の高さまでは同じ結果なんじゃ……衝撃吸収の効果が《マテリアルガード》だとして、この魔法が吸収できる範囲内であれば……試す気にはなれないけど、覚えておこう。最悪の事態に陥ったとき、これで助かることができるかもしれないからね……」


 引き続き検証をしていく、1mの時と同じようにいろいろな体勢を試した。もちろんお尻から落ちる体勢も試した。これが一番怖かった。結果としては、1mの時と変わらなかったので問題ないと判断した。


 スポンジ状の土を形成する魔法を《衝撃吸収土壌》とした。これで落下時のダメージはほぼないので、地下に緊急避難シェルターを作ることができる。


 シェルターの大きさは、入口を80cm四方にして深さ2mの場所に一辺1mの空間を作り、その下に厚さ1mの《衝撃吸収土壌》を形成する。そして着地と同時に入口を閉鎖する。ここまでで《緊急避難シェルター》の魔法とする。明かりの確保や換気用の空気穴は着地後に状況確認を行ってから作業すればいい。


「よし、たぶんこれで問題ない。あとは実際にやってみるしかないわね……何か問題はありそう?」


『問題ないかと存じます』


 プロフェッサーも問題ないと言ってくれているので、実際にやってみる。


「緊急避難シェルター」


 足元の地面が消え去り落下する。少しの衝撃と共に闇に閉ざされた。1秒もかかっていないだろう。怪我もしていない。手もとに《ライト》を出して周りを確認する。壁や入口も硬化されており、作りに問題はない。自然吸気システムを形成する。これは地下野営シェルターで使ったものの応用だ。衝撃吸収土壌を取り除くと、吸気口から新鮮な空気が入ってきた。


「これで、1時間程度はここにいても問題ないわね……それ以上の長さになるなら、排気側のシステムも構築しないと……」


 避難さえできれば考える余裕は生まれる。その余裕が次の行動を起こすきっかけになるだろう。様子を見て外に出てもいいし、横または下に向けて土中を掘り進んでもいい。入口を開けてタラップを作り地上に戻った。


「問題はなかったわ。何か気になる点はあった?」


『いいえ、特にありません。効率よく避難できています。この《緊急避難シェルター》は、最後の手段なので複数回の試行を実施するのが良いかと』


「そうね、特に調整もないから何回かやってみるわ」


 この後、複数回のテストを行い、《緊急避難シェルター》のオリジナル魔法が完成した。庭に空いた穴は最後に埋め戻しておいた。





 オリジナル魔法が完成してからの数日間は、領域内の森で訓練に勤しんでいた。森の中で《地下野営シェルター》を使い野営訓練をしたり、《緊急避難シェルター》に一時的に入ってみたりと、試せることはなるべく試すようにした。身体強化も1.2倍以上の出力で試し体を慣らしていった。


「森での移動は問題なさそうね、かなり慣れてきたと思うわ。身体強化も1.5倍で動けるようになってきたし……」


『再三の注意になりますが、ここでは身体強化の反動がありません。外に出た時も1.2倍の短時間から慣らすようにしてください』


 1.2倍の身体強化までは普段と変わらず動けていたのだが、1.3倍以上だと感覚が違いすぎてバランスを崩してしまうことが多かった。2倍を掛けた時は処理が追い付かないくらいスピードがでてしまい、盛大に転んだ。これも反復練習することで、何とか2倍でも動けるようにまでは慣らすことができた。これで野外活動の準備はほぼ完了したと言っていいだろう。


 この時、この領域を旅立つまでの時間は残り60日になっていた。


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