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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第38話 地下野営シェルターでの一晩

 作った排気システムを実際に動かしてみる。プロフェッサーには魔導具用に加工されている小粒の魔石を用意してもらった。魔石に魔力を注入して、吸入口の近くにある魔石を置く台にセットする。特に変化は見られない。空気が排出されている場所に手を当てると、パイプから噴き出してくる風を感じた。


「これは上手くいってるとみてよさそうね……風速3m/sならこの程度だろうし、問題ないわね」


 簡単ではあるが、自分で作った初めての魔導具だ。それが稼働したことで、私は静かな充足感を覚えた。


 換気システムの排気側ができたので、吸気側を設計する。こちらは自然吸気にするため天井から複数本のパイプを地上まで延ばすだけだ。直径は2cmもあれば十分だろう。パイプの数は10か所から15か所で問題ないだろう。途中で曲げることにより光を外に漏らさない工夫もしておく。それと浸水対策にレインキャップをつける。


「外は小さくして発見率を下げる必要があるけど、室内側は排気と同じくらいの穴でも構わないか……」


 設計を少し見直し、複数のパイプを一か所に集めてから室内に吸気するように変えた。チャンバーを作ることで吸気音も抑えることができるはずだ。


 これで、換気システムの設計が完了した。当初は両方を同時に作るつもりだったが、排気側は魔導具の構築も行うので分けるように設計する。排気と吸気で問題ないだろう。


 最初に吸気側を作ってみる。先ほど設計した通りのイメージで魔法を構築する。ここで部屋側の出口部分にメッシュ構造の蓋を追加した。


「地下野営シェルター吸気」


 天井の端にメッシュ蓋が現れる。パイプやチャンバーにはきちんと硬度を持たせた。外まで繋がっているかの確認は、索敵魔法の《ウィンドソナー》を使う。吸気口の下に立ち、《ウィンドソナー》を唱えた。わずかな風が吸気口からチャンバーを通りパイプを抜けて外に到達したことを感じ取った。


「問題ないみたいね」


 次は排気側だ。これは《地下野営シェルター》のオリジナル魔法に組み込まない。入口の隠蔽と排気システムの構築を同時に行うからだ。毎回魔導具の構築を行うことになるが、これをオリジナル魔法としてしまえば手間はかからない。先ほど排気システムを設計したが、今度は入口の隠蔽を設計する。


「難しく考える必要はないわね……」


 入口に蓋をしてその上に天然の岩のようなものを生成する。その岩に不自然にならない程度に隙間を作り、空気を排気する場所にする。そしてそこに先ほど設計した排気システムをつなげれば良い。《地下野営シェルター隠蔽》と《地下野営シェルター排気》を一括処理する《地下野営シェルター隠息(いんそく)》とした。


「実際にやってみよう」


 入口のタラップの下に立ち上を見上げると星空が見えた。入口付近に向けて魔法を唱える。


「地下野営シェルター隠息いんそく


 入口に蓋がされ、外が見えなくなった。タラップを上り確認すると排気口の横に籠が付いている。これは検証時に作った魔石と同等のものだ。どうしても排気は、上か横になるので籠に変えてぶら下げるようにした。魔石を籠に入れてみた。


「少し空気が流れる音がするけど、耳を澄まさないとわからない程度ね……」


 タラップを降りて吸気口の下に移動する。こちらも上から少しだけ風が吹き込んでいるのを感じた。


「完全な完成は明日になるけど、とりあえずのところはこれで問題ないわね……何か修正する点はある?」


『特にございません。明日の朝まで過ごして、確認してみればよろしいかと思います』


 検証用の排気システムを土に戻し、代わりに椅子とベッドになる台を作成する。余った土はポーチに片付けた。一晩過ごした後、トイレを含めた《地下野営シェルター》魔法を完成させて、撤収の手順などを確認しないといけない。それに緊急避難用の一時シェルターも構築しておきたい。作った椅子には座らず、バックパックから毛布を出してベッドに敷き眠りについた。





 目を開けるとシェルターの中だった。すぐに昨晩のことを思い出す。特に息苦しさもなく、空気が澱んでいる感じもしない。換気システムは正常に動作しているようだ。顔を洗いたいと思ったが洗面所がない。やはり実際に過ごしてみるのは重要だ。


「化粧室に簡易洗面所を作ろう。水は自分で用意できるから、排水だけ考えればいい……洗面台の下にトラップを付けて、排水パイプを排出タンクにつなげればいいだけね」


 手洗いや洗顔、うがい程度の水量であれば、余裕を見て設計している排水タンクの容量も問題ないだろう。


「少し外の様子を確認してくるわ、一度蓋を閉めるかもだけど心配しないでね」


『承知しました』


 籠から魔石を取り出し、入口の隠蔽を解除して外に出る。まだ少し薄暗い、日の出直後といった時間だろう。シェルターがある部分を確認してみるが、草が生い茂っており何かあるようには見えない。よくよく確認すると小さな突起物が地面から生えてる。吸気パイプのレインキャップだ。ぱっと見は小石に見える。吸気側はこれで問題ない。


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