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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第35話 地下の野営地

 庭の地下に野営するためのシェルターができた。まだ荒い作りだが、とりあえずというレベルであれば及第点だろう。四方の壁、それに床はまだ作りが荒いのでもう少し滑らかにしたい。魔法を掛けようとして気が付いた。状態維持の魔法《ステイシス》が掛けられている。


(壁は後からいじることは可能なのだろうか?)


「ねぇ、状態維持の魔法が掛かっているけど、壁は弄れるの?」


『いいえ、弄ることはできません。一度解除してから弄ってください。解除する方法は、解除魔法の《ディスペル》です。ここは大丈夫ですが、解除すると崩れることもあるので注意してください』


 壁の一面に《ディスペル》の魔法を掛ける。崩れることはなかったが、ポロポロと土塊つちくれが床に落ちた。壁を硬化するイメージして魔法を掛ける。軽くノックしてみるとコンクリートほどの硬さはないが、かなり硬い状態になっている。すべての壁と床を同じように硬化させた。


「ここまで硬化させることができるなら、《ステイシス》はなしでもいいかもしれないわね……でもやるけど」


 すべての壁と床に《ステイシス》を掛けた。次は机と椅子、それにベッドだ。そのうち家具を買って拡張ポーチに入れておけばわざわざ作る必要はないが、家具が揃うまでは簡易なものを土で作り出すことにした。


「これで最低限の生活環境ね、他に何かあるかしら?」


『まずは空気の循環でしょうか?』


「確かに空気の循環は必要よね……短時間なら作った空気穴で問題ないけど、長時間となると自然換気では無理ね……何かいい方法はない?」


『魔道具にウィンドチューブと呼ばれるものがあります。直径20cm、長さ30cm程度の筒で、魔石に魔力を注入すると片側から空気が吸引され、反対側から排出されます。風速は強くありませんが、風量はそれなりにあります。暑い地域などでは、それで涼をとったりとそれなりの需要がある魔道具です』


 羽のない扇風機ね、地上側を工夫すれば使えるかもしれない。とりあえず風量を確認する必要がある。


「それはここにもあるの?」


『もちろんございます。用意いたしましょうか?』


「お願いするわ」


 簡易テーブルの上にプロフェッサーが説明してくれた筒が現れた。見た目は、端に魔石が埋め込まれている以外は、本当にただの筒だった。階段部分の天井だけを取り除いて外に出てみる。辺りはすっかり暗くなっていた。


「あ、別の課題も見つけちゃった……これも後ね……」


 ウィンドチューブを取り付ける穴を開けてそこにはめる。直径20cmの穴ができたので後で、雨や砂などが入らないようにする工夫が必要だ。地下シェルターに戻り、階段部分に再び蓋をした。


「さて、起動してみますか……」


 階段の途中から手を伸ばして魔石に魔力を注入した。特に音はしないが、風が吹き込んできている。風量の計算まではできないが問題なく換気できそうだと感じた。


「問題ないわね、細かい調整は後でするとして……他に何かあるかな?」


『この領域では問題になりませんが、食事とトイレはどうされますか?』


「そうか、それもあったわ……トイレは思いついてるから後でいいわ。食事については、できれば煮炊きをしたいわね……」


 外に向けて煙突をつければ、他の空気穴から新鮮な酸素が入ってくるから問題ないと思うけど、薪を燃やすと熱や一酸化炭素の問題が出てくる。それに煙を出せばここに何かあると教えるようなものだ。


「煮物はできるか……《ウォーム》を使えば温めることはできる。焼き物はあきらめるしかないかなぁ……冒険者はどうしてるの?」


『街道沿いの比較的安全な野営地では、煮炊きをします。ですが森の中では、水と干し肉、また水と携帯食がメインになります。条件が良ければ煮炊きすることもありますが……』


 とりあえず食事については《ウォーム》を使うことで私にとって最低限の食事ができる。後はトイレだ、無制限に使用できるトイレは無理だけど、4、5回であれば問題なく使えるトイレが必要だ。私も女だから排泄について熟考するのは少々ためらいがあるが、生物なので飲食をすれば出る物は出るのだ。


「1回のトイレで使用する水の量は、確か6L程度だった覚えがあるわね……それを10回使えるとして……」


 人の排泄物は1日で約2L程度だ。個人の健康状態や活動量などで大きく変わるが、これで計算して問題ないだろう。そうなると余裕をみて70L程度のタンクを作れば問題ないことになる。水分は土に染み込む分もあるため、十分余裕がある設計のはずだ。


 構造はこうだ。トイレの部分は日本で使用されている便器を作る。貯水用のタンクは都度《ウォータ》で水を溜めれば良い。そしてその下に排水用の70L以上の空間を作る。排気用の穴を地上まで延ばせば完成だ。


「問題はシェルターを出る時の処分方法よね、水分がなければ土で埋め戻せばいいけど……土で圧力をかけて地上に排出する。自分のオシッコが撒き散らされるのは嫌ね……硬化した蓋で圧力をかけて水分を浸透させるしかないわね」


 快適なシェルターを作るためにトイレの設計を続けることにした。


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