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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第33話 スキルアップ(索敵)

 自分専用の鞄も完成して、ここを出るまでの時間は残り80日。森の歩き方やダガーを振る訓練は続けているが、まだまだ不安な要素も多い。一人で旅をする以上、すべての事を自分でやらないといけない。索敵、戦闘、野営、料理、挙げたらきりがない。けれど、私には荷物の量を気にしなくていいという、最大のアドバンテージがある。それでも、こういった一人旅に必要なスキルを鍛えていくことは必要だろう。


 戦闘は得意ではない。特に近接戦闘はダガーを振るのが精いっぱいだ。その戦闘を避けるためにも索敵は重要なスキルとなってくる。基本的に索敵でどういったことをすればいいのかさえ知らない。周りをよく観察することぐらいはわかる。まずは本から知識を教えてもらうことにする。


「索敵って何をすればいいの?具体的に説明してほしいわ」


『承知しました。まず、索敵とは「敵がどこにいるか、どんな状態か」を事前に察知し、奇襲を防いだり、逆に奇襲を仕掛けたり、退避したりするなど有利な状況を作るための行動を指します』


「なるほど、理解したわ。続けて」


『次に索敵の手段はいくつかあります。最も使われているのが、聴覚、視覚、嗅覚を使った索敵です。聴覚による索敵は、足音や環境音に耳を澄ませることで、風の音、鳥の鳴き声が急に止まった場所、枝の折れる音などを探します。次に視覚を使った索敵ですが、茂みの揺れ方が不自然だったり、魔物の足跡や、不自然に踏み荒らされている形跡を見つけたりするものです。最後に嗅覚ですが、獣の臭いなど不自然な臭いが漂ってきたりしないか確認します。以上が最低限になります。

 聴覚、視覚、嗅覚の索敵は、普段から無意識に行っています。人は誰しも聞きなれない音がしたり、見た目に違和感があったり、普段嗅いだことのない臭いがすれば警戒します。それを強化したものが索敵です。貴女も薬剤の状態を観察する際に、これらに近いことは実行されていると思います』


「そうね、確かにやっているわ……それから?」


『次に魔法を使った索敵があります。いくつか種類があるのですが、一般的なのは風属性の《ウィンドソナー》です。自分の周りに微細な風を飛ばし、跳ね返りで地形や敵を把握する魔法です。次に、土属性の《グランドソナー》で、大地に魔力を浸透させ跳ね返ってくる振動で周囲の状況を確認する魔法です。そして、闇属性の《マジックソナー》です。風魔法と同じように魔力を周りに飛ばし、対象の魔力を感知することで敵を把握します』


 物理的な索敵と魔法を使った索敵、両方を駆使することで魔物との遭遇はかなり減らせるのかもしれない。この領域には動物や魔物がいないので、物理的な索敵は外に出てからいろいろ試すしかない。だが、魔法による索敵は何らかの物体があれば反応するので試しておくことにした。小屋の入口付近に立ち魔法を唱えてみる。


「まずは、ウィンドソナー……」


 領域にある小屋や岩、草木の反応が感じ取れた。他にもある程度の地形情報も頭の中に入ってくる。領域の外側になる柵の向こう側は、視覚では見えているのに何も存在しないように感じた。


「ある程度、何があるか判別することは可能なようね、詳しくはわからないけど……」


『熟練度が上がると、詳細な形までわかるようになるそうです。こればかりは、何度も使用して慣れていくしかありません』


 傍らの椅子に置かれた本が答えた。最近は椅子と本を持って移動している。さすがに森の中までは、持っていかないが近くには置いてある。それと、心の中でこの本の事を「プロフェッサー」と呼んでいる。いろいろな知識を授けてくれたり、相談に乗ってくれるからだ。


(プロフェッサーに直接伝えてはいないのだけど……ある程度思考は読まれているので、バレている可能性も否めない……)


「そうね……次は、グランドソナー」


 地面に手をついて唱えてみた。しかし何も感じることはできなかった。


「そりゃそうよね、私以外に振動を発生させる生物がいないのだから……」


『おっしゃる通りです。この魔法は外に出てから試すのが良いかと思います』


 最後は《マジックソナー》だ。これは魔力を感知するので反応があるだろう。意識を集中して魔法を唱えた。


「マジックソナー」


 すべての感覚が真っ白に塗りつぶされた。すぐに魔法の行使を止める。何もかもが見えなくなり、真っ白な世界に自分一人が残された感覚になった。


「今のはなに?何の情報も得られなかったのだけど……」


『はい、この領域はご存じの通り特殊な空間です。すべての物質が膨大な魔力によって維持されています。貴女やわたくしを含め、全てです。そのため魔力を感知する魔法ではすべてが膨大な魔力に塗りつぶされてしまいます。あえて注意しなかったのは、危険がなく貴女にどのような魔法なのか体験して頂きたかったからです』


 確かにここは特殊な空間だ。そのことを意識せず《マジックソナー》を使ったのは、失敗だった。なら、魔力感知の感度を低くして使用すれば情報は読み取れるかもしれない。これは随時検証していこう。


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