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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第30話 旅装と鞄の選択

 魔導回路の動作は全く問題なかった。本に手伝ってもらいながら、いろいろな環境で検証を行った。中でも驚いたのは、水に沈めた状態で蓋を開けた時だ。魔力を使わずに開けるともちろんケースの中に水が入った。だが、魔力を使って開けると水がケースに入っていかなかった。意思をもって収納しないと拡張空間に物が入っていかない。これは見ていて不思議だった。


「検証はこの程度で大丈夫よね?」


『問題ないと思います。通常の機能はすべて動作しています。唯一、試せていないのは、貴女以外の存在が魔力を使い解錠を試みることです。残念ながらわたくしは、手がないため蓋を開ける動作を実行することができません』


「心配しなくても大丈夫よ、これはそのうち確認するわ」


 魔導回路は正常に動作することが確認できた。私が自作した記念すべき第一号の魔道具ができた。後は実際の鞄に空間拡張の魔法を使い作るだけだ。どういう形が便利なのだろう。


「鞄に触れていなければ、拡張空間に物を収納したり、そこから取り出したりするのは不可能よね?」


『はい、おっしゃる通りです』


「触れているというのは、間に服があっても問題ない?それとも鞄と皮膚が触れていないとダメ?」


『服が間にあっても問題ありません。貴女と鞄が物理的につながっていれば動作します。極端な例を挙げれば、持っている木の棒で鞄に触れることさえできれば、拡張空間にアクセスが可能です』


 なるほど、何かの物質を通して魔力が伝わればアクセス可能だということだ。大気も物質ではあるが、魔素が含まれるため阻害されるのだろう。そうなると身に着ける鞄であれば形状はどのようなものでも問題ない。私は鞄を探しに武具室へ向かった。


 この小屋に来てから武具室には、数えるほどしか来ていない。そもそも武器も防具も必要のない環境だったからだ。武具室に入ると毎回圧倒される。おびただしい数の武器と防具が理路整然と並んでいるからだ。もちろんここには武器と防具だけでなく、鞄やベルト、帽子なども保管されている。それにランプやカンテラといった照明器具や、テントや毛布、果てはロープに至るまで旅に必要なあらゆる道具も保管されている。


 この中から鞄を探すのは流石に面倒なので、本に頼んで鞄をピックアップしてもらう。非力な私でも持てることが条件だ。


『こちらにご用意いたしました。どうぞご確認ください』


「ありがとう。見てみるわ」


 本が置かれているテーブルの後ろに新たなテーブルが現れた。そこには、軽量な布製から堅牢な革製まで、大小さまざまな鞄が置かれていた。まず自分の旅装を想像してみる。


 防具は必要だけど重い物は無理だ。上半身は長袖のシャツを着て、急所を守るために革の胸当てが妥当だろう。動きも阻害しないし、何より金属製のものより軽い。


 次は下半身だ、厚手のズボンと革のブーツを履く。そこになるべく動きを阻害しないグリーブを装着すれば、それなりの防御力になるはずだ。腰に剣帯を巻き、私でも扱えそうなショートソードまたはダガーあたりがメインの武器になるだろう。予備武器としてベルトの腰部分にナイフを装備すれば、何かあったときに対応しやすい。これが旅装の基本スタイルになる予定だ。


 後はフード付きの外套がいとう、それと荷物を入れるバックパックだ。このバックパックを拡張の鞄にしてもいいが、街中で出かけるたびに背負うのは少々億劫だし、周囲に違和感を与えるだろう。


「街での活動を考えるとベルトポーチあたりが現実的ね、通常空間は予備のポーションを入れておけば便利そうだし……」


 それにベルトポーチであれば、外套がいとうを羽織って隠すこともできるし、邪魔にもなりにくい。まあ、堂々と着けていた方が違和感が少ないかもしれない。


「なるべく丈夫なベルトポーチに絞ってもらえる。あと、旅人が使う汎用的なリュックも残してほしい」


『承知しました。こちらになります。説明は必要ですか?』


 ポーチとバックパックがそれぞれ2点ずつテーブルの上に残った。説明をしてくれるようなので聞いてみる。


「ありがとう。説明をお願いするわ」


『かしこまりました。では、ベルトポーチから説明します。まず右端の茶色のポーチですが、内容量はポーション瓶4本分、約600mlで少々小さいですが、動きを阻害されることはありません。ホーンバッファローの革を使用しています。馬具などにも使用されており大変堅牢な革になっております』


『次はその隣にある焦げ茶色のポーチです。内容量は先ほどより大きくポーション瓶6本分で、約900mlになります。先ほどのものより横幅が広くなっていますが、動きを阻害するほどではありません。ライトニングディアの革を使用しており、ホーンバッファローにはかないませんが、十分堅牢な革になっております』


 これは迷う。堅牢だが容量が小さいホーンバッファローのポーチか、それには劣るが十分堅牢で容量が大きいライトニングディアのポーチか、どちらの色も悪くないし、形も使いやすそうだ。これは一度旅装に着替えて装着感を試した方がよさそうだ。


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