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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第15話 魔法製薬

 状態維持の容器が作れるようになった私は、今まで作った抗生物質やビタミン剤などの化合物を状態維持の容器に入れ保存した。保存した容器は、ラボの棚にあった高密度ポリエチレンの容器だ。たまに様子をみる必要はあるかもしれないが、基本的には問題ないだろう。状態維持の容器に入れた状態で、検査用の魔導具を通すと、検品の所に「問題なし(保存)」と出ていた。


 数日間だったが化学化合物を作ってリフレッシュ?できた私は、ポーションの魔法製薬研究に戻ることにした。やはりポーションの効果は不思議だ。細胞が再生していき、傷口がなくなってしまう。


「再生ねぇ……」


 人の体の中でも細胞の再生は絶えず起きている現象だ。もしかして薬草の薬効成分は関係ない?もちろん何らかの作用はあるのだと思う。でも再生の観点からすると、薬草の再生力というかそんな効力が必要なのかもしれない。


「ねぇ、ヒールってその人の体力を使って傷口を再生してる……で、あっている?」


『その認識で問題ありません。ヒール魔法をかけることで傷口周辺の正常な細胞を活性化し、代謝を促します。ただし細胞を分裂させ新しい細胞を作るエネルギーは患者からしか供給できません。もちろんヒールにも多少の体力回復効果はありますが、傷口の修復を補うほどではありません』


「重傷者の治療はどうやってるの?」


『骨折や大型の切創せっそう裂傷れっしょうの場合は、ハイヒールの魔法を使用します。基本的な効果はヒールと同じですが、治療と同時に患者の体力回復を行っています。これは補助治療魔法に分類されるリジェネとヒールを続けて使ったときとほぼ同等の効果ですが、リジェネは患者の体力の上限までしかエネルギーは回復しません。しかしハイヒールであれば行使している間、魔力により体力を回復し続ける効果があります』


 そうなるとポーションは再生を促す力が必要になるということだろう。薬効成分は補助的な役割に過ぎない。私の分離魔法が失敗し続けた理由は、再生を促す力を不純物として取り除いてしまっていたのかもしれない。分離の魔導具を使っていた時、私はどんな指示を出していたかを思い出す。確か「ポーションの成分」と考えていた。特に意識したわけではないが、この時は薬効成分とは考えていなかった。


 ビーカーに《ウォータ》で純水を入れる。薬草園から摘んできて綺麗に洗った薬草をそのまま純水の中に沈める。薬草からポーションの成分を抽出することを意識して魔法をかけた。


「……」


 ビーカーの中から薬草だけが消失した。そこにはポーション特有の緑色の液体だけが残った。透明度は高い。加熱攪拌しただけではここまで濃い色にはならない。魔力を込めて初めて発現する色だ。出来上がった液体を、状態維持のポーション瓶に移した。薬品検査用の魔導具にセットし、ボタンを押す。




【検査結果】

 薬品名:治癒ポーション

 効能:特級品

 薬効抽出率:100%

 製薬者:ミオ カンザキ

 検品:問題なし(保存)




 完璧と言って問題ないだろう。複雑な手順はいらない、容器に水と薬草を入れて魔法をかけるだけで特級品のポーションが完成する。馬鹿みたいに聞こえるかもしれないが、これが正解だ。


「いい物が作れたわね、あなたはこの結果をどう見る?」


『そうですね、薬師として最高の結果と言えるでしょう。ですが現在活動している薬師達が同じような結果にたどり着くとは思えません。薬の知識、物質の知識、そして魔法の知識すべてにおいて、貴女の知識は、この世界にいる人々の知識量を凌駕しています。もちろん分野的な偏りはあるかもしれません。しかしながら、薬師としてみたとき貴女はこの世界唯一の人と言えるでしょう』


 少し褒めすぎな気もするけど、本の意見は間違っていないと思う。ただ魔導具なしで三級品から一級品を製薬できないと意味がない。今確立した方法はあくまで特級品を製薬する方法だ。それに他の等級とどの程度効果が変わるかの検証も必要だろう。





 数日間、各等級品を製薬するための実験を行った。まあ、あっさりと作れたと言っておく。製薬の魔法を行使する際に、ポーション成分の割合をイメージすれば良いだけだった。90%以下にすると沈殿物や不純物が残るので、漏斗ろうとと濾過布を使ってろ過すれば問題がなかった。


 その後も魔法製薬を続け、各等級品は今までに製薬したものを合わせて、1,000本ずつの在庫になった。すべて状態維持のポーション瓶に入っている。ラボの保管棚だけでは管理できないので、魔道具庫の隣に保管庫を準備してもらった。


「ねぇ、ここを出るときにポーションは数本ずつ持っていくけど、後はここに寄付するわ。単に扱いきれないだけってのもあるけど」


『承知しました。こちらで有効活用させていただきます。こちらで使用する場合は、製薬者の名前を変更してもよろしいでしょうか?』


「ええ、任せるわ。そちらの都合のいいようにして」


 これでポーションの製薬はひと段落だ。このとき、この世界に飛ばされてから90日が経過していた。


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