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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第14話 化学物質の合成

 砂岩から石英を経てケイ素の抽出に成功した。元素の単離ができたので後は、単離した元素を他の元素と結合して、分子構造が構築できるかを試すことになる。この魔導具は結合の魔導具だ、単純な結合の再結晶化ではなく、分子構造の結合も出来ると予想している。


 材料用の箱を片手に庭に出て、適当に草をむしってくる。枯れ枝なども放り込む。箱が満杯になったのでラボに持ち帰り、結合の魔導具にセットする。追加でキッチンから岩塩の塊を持ってきて放り込んでおいた。


「さて、備品棚にはもうあるけど、高密度ポリエチレンの容器を作ってみよう。再結合時に形を指定できるみたいだから、一般的な広口容器と蓋で……」


 分離は魔導具に任せて、構築だけ考えよう。元素をポリエチレンの分子構造に結合してそれを、密度の高い状態で結合していく。結合してできた物質を広口容器の形にして、それに合うような蓋も作る。イメージをまとめると魔導具に魔力を込める。


 今までの検証からするともう終わっているだろう。上部の扉を開けると、見慣れた白色の容器があった。蓋もそばに置いてある。手に取って蓋を閉めてみるが、きっちりと閉まった。


 有機物の合成ができるならいろいろなものが生成できる。有機物なら山ほどある。食料棚の中身もそうだし、果樹園にある果物や、畑にある野菜も全てだ。この日から私は化学物質を合成し続けた。各種ビタミン、それらを封入するためのカプセル。抗生物質や鎮痛剤。それに毒劇物なども試している。シアン化合物やテトロドトキシンなど扱いが危険な猛毒も作ってみた。


 キ〇ワイプやニトリル手袋、N95防護マスクやゴーグルなども作ってみた。でもこれは机の引き出しを開けると用意されているものなので、試しに作ってみたに過ぎない。既製品が用意できるなら自作の必要はないので破棄した。拭き取りクロスはともかく、私の記憶から作った物なので機能するかわからなかったからだ。


 10日もの間、思いつく限りの化学物質を作ったが、10日目にして気が付いてしまった。単純な合成物はともかく、薬品などはどうしても酸化を始めとする劣化の問題が付きまとうのだ。たとえ抗生物質を純度の高い状態で作りだせたとしても、空気中にある以上、劣化はするのである。


「ねぇ、ポーションは劣化しないの?」


『専用の容器に入れない限り徐々にですが劣化します。ただ劣化の速度は遅く、効能が80%になるまで約5年、完全に効能が消えるまで10年かかります』


「専用の容器は簡単に作れるの?」


『光魔法に状態維持の魔法があります。これを容器に施せば半永久的に保存できます。またそれを施す専用の魔道具も流通しています。半永久とは言っていますが、1000年程度です』


「1000年持てば十分よ……でも容器を作るにしてもお金がかかるでしょ、この世界の薬師たちはどうしてるの?」


『通常の容器であっても3年間は使って問題ないので、通常の容器を使用しています。国の研究所や軍の備品など長期保存が必要な場所で、状態維持の容器が使用されています』


 この世界で流通しているポーションの容器を取り出した。これはこの世界の製薬で必要な道具が入っている棚に保管されていた。触った感じはプラスチックと似ている。透明度はあまりなく乳白色で中に色のついたポーションを入れれば十分に判別できそうだ。試験管を太くしたような形状で、コルクのような栓がされている。ガラス瓶のような重さもない。


「不思議な感じがするわね、この容器にはどんな特徴があるの?」


『この容器は耐魔法性に優れており、汎用性の高い容器です。一般的にはポーション瓶と呼ばれ、ある程度の耐衝撃性もあります。落としても割れませんが、投げると割れるという特性があります』


「なにその特性……ちなみに材料は?」


『スライムです』


「は?」


『スライムです』


「2回書かなくても見えているわよ……」


 この容器はさすがに作れない。スライムがどのような生物?なのか私は知らない。まあ小説などで出てくるスライムは知っているが、それとイラストに描いた記憶がある。確かアメーバ状の気持ち悪いやつだ。


「この容器は安いの?」


『スライムはこの世界のいたるところに生息しているため大変安価に作成できます。また作成専用の魔道具も大量に流通しています。ただ100ml程度の内容量なのでポーション類以外での使用は少ないです』


 試しにこのポーション瓶に状態維持の魔法をかけてみる。状態を維持保存するイメージで魔法を唱える。


「ステイシス」


 ポーション瓶が青白く光った。光が収まると魔法をかける前と変わらない状態になっている。


「これって、状態維持の容器になっているかわからないの?」


『瓶の底に”#”マークがあると思います。それが表示されていれば状態維持の容器になっているということです』


 私は瓶の底を見てみた。確かに”#”のマークが表示されている。これでこのポーション瓶は状態維持の容器になった。私は状態維持の容器を大量に作成し一級品のポーションを封入した。


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