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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第13話 魔導具の驚異

 とある魔導具の前で私は乾いた笑いを漏らしていた。魔導具の名前は「結合の魔導具」セットした物体から必要な物だけを取り出して結合し排出する。言葉にするとこの程度だがやっている内容はヤバい。


 これを見つけたのは数日前だ。ポーションの魔法製薬に煮詰まった私は、何か面白そうな魔導具がないか本に聞いてみた。


「何か面白い魔導具はない?」


『どのような種類が良いでしょうか?』


「そうね、分離の魔導具があるなら、反対にくっつけるような魔導具はある?」


『存在します。名称は結合の魔導具になります。効果は、岩石などから金属を抽出し、その抽出物を排出する魔導具です』


「何それ、面白そうね、魔道具庫にある?」


『存在します。魔道具庫の一番手前に準備しました。少し大きく重いので注意してください』


 魔道具庫に行ってみると、扉を開けた右側に小型冷蔵庫程度の箱があった。上下に扉が付いてる。上の扉を開けてみると材料を入れる箱が入っていた。外側は木製だが、内部のフレームは金属のような物を使っている。


(岩石とか入れるから丈夫に作ってるのは当たり前か……)


 上の扉を閉めて、下の扉に目を移す。扉の間には不自然な空間と、魔力を込める場所があった。たぶんこの空間が魔導具の回路なのだろう。


 下の扉を開けてみる。上と同じような構造で、自然に考えれば、上に材料を入れて下から取り出す構造だと思う。


 ラボと魔道具庫が隣だとしても私の力だけで運ぶのは無理だろう。試しに移動しようとしたけど、傾けるのが精一杯で動かせる気がしない。ラボに戻り本に話しかける。


「で?これって私じゃ動かせなくない?」


『指定していただければ、ラボに移動します。どこに設置しますか?』


「それじゃ、空いてるスペースは……棚の隣しかないか、位置的に少し面倒だけど他に置く場所もないから……」


 魔導具を設置する空間に先ほどまで魔道具庫に存在した結合の魔導具が現れた。どうやって移動したかは聞いても教えてくれない。聞いたところで理解できるとも思えない。ただ、便利だなと思うことにする。


「一応、使い方の説明をお願いしていい?」


『承知しました。抽出したい物質の元になる材料を下段に入れます。中心にある回路にどのような物質をどのように排出するかイメージして魔力を込めてください。使用する魔力は物質の量や特性によって変化するのでご注意下さい。また、少量であれば液体も排出可能ですが、基本的には固体の物質に特化しているとお考え下さい』


(インプットとアウトプットが逆だった……使えるならどっちでもいいけど……一応聞いてみるか)


「なんで下に入れるの?」


『岩石などは重く持ち上げるのが大変なため下側が材料の供給口になっています。また、基本的に元の素材より抽出される物質の方が重量が軽くなるためです』


「確かに合理的なのかもしれない。わかったわ。ありがとう」


 早速使ってみよう。手ごろな岩は領域の庭に転がっているのでいくつか持ってくることにした。5、6個あれば大丈夫だろう。ラボと庭を往復して岩を準備した。こぶしより少し大きい岩が作業台に並べられる。さて、この岩は砂岩質だから石英は確実に入っている。岩を下部に入れ、扉を閉める。


「とりあえず石英ね、抽出して結晶化で排出。わかりやすくていいかも」


 抽出して結晶化するイメージをまとめ、魔導具に魔力を注入する。すぐに下の扉の中から何かが崩れる音がした。下の扉を開けてみると岩がボロボロになり砂状になっている。


「石英を多めに含んだ砂岩だったのね、3割程度しか残ってないわ」


 確かに少し白っぽい砂岩なので石英の量が多いのだろう。続いて上の扉を開いてみた。長さ10cm程の透明な六角柱が入っていた。石英の結晶化には様々な形があるが、私がイメージしやすい水晶になったのだろう。透明度が高いのでかなり純度の高い状態だと思われる。結晶を取り出して作業台に載せる。観察してみるが、やはり透明度が高くきれいな結晶構造であるのが見て取れる。


 備品棚からガラス棒を取り出して水晶を持ち上げ軽く叩いてみた。キーンっと水晶とガラス棒、双方から高い音が聞こえる。硬度も高いだろう。


「残りの砂に含まれてるのは、ほとんどが長石で微量に粘土とか鉄とかが含まれてるかな?抽出する意味もないし廃棄するか……」


 ボロボロになった砂は廃棄ボックスに捨てた。水晶の六角柱は衣装部屋から持ってきたタオルを敷いて棚にしまっておく。持ち出しても良いけど価値が高すぎる。この小屋に寄付してしまおう。


 2つ目の岩石を手に取り下に入れる。同じように水晶を作り出した。次の検証はここからだ。作り出した水晶を下の段に入れる。そして今度は、ケイ素だけを抽出できるか試してみる。イメージして魔力を込めた。


(……なんの音もしなかったけど、成功したのかな?)


 下の扉を開けたが何も入っていなかった。そして上の扉を開けると暗灰色の金属光沢がある塊が鎮座していた。ケイ素だけが分離され再結晶化したのが確認できた。


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