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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第3章 構築(こうちく)

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第122話 蒼穹を舞う

 ヴェンティスの屋敷からヴェニカに乗って空に舞い上がった。すぐにリデナスタの街が小さく見える高さまでたどり着く。北側には雄大な大河と、広大な農地、草原が広がっていた。ヴェニカはリデナスタの南側にあるリデナ大森林に向きを変えた。リデナ砦が小さく見え、その先には鬱蒼とした森がただ広がっているだけだった。


『どうじゃ?問題ないか?』


『ええ、大丈夫よ。すごい景色ね……』


『そうじゃな、3時間ぐらい飛べば深域にたどり着く。しばらく何もない森が続くだけじゃ』


 ふと横を見るとフェシーが飛んでいた。問題なくついて来ているようだ。


『フェシー大丈夫?』


『はい、大丈夫ですよ。ヴェニカも私の飛行速度に合わせてくれていますので』


『わかったわ。無理はしないようにね。ところでどの程度のスピードが出ているの?』


『時速100km程度だと思います』


 そうなるとリデナ大森林の深域まで最低でも300kmはあることになる。魔物が闊歩するこの大森林で人種が到達するには無理がある距離だろう。深域は完全に未開の土地だということだ。


 西側を見ると大きな山脈が見える。リデナスタからは見ることができないのでかなり遠い位置にあるのだろう。東側はもう森林しか見えなかった。


『ほぼ風を感じないわね、これは風のシールドの効果?』


『そうじゃ、外気温や風圧を遮断しておる。飛ばされることはないと思うが切ってみるか?』


『遠慮しておくわ。この方が快適だもの』


『そうじゃな。風圧よりも、その装備だとこの高さでは寒すぎて凍えてしまう』


『フェシー、ここで上空どのくらいの高さなの?』


『上空約6,000mになります。現在の外気温はマイナス30℃程度です』


『フェシーは寒くないの?』


『種族特性上この程度の気温は問題ありません。魔法で体を守っているのもありますが……』


 1時間程度飛行した。風景はそれほど変わり映えしない。四方を見てもただ森が広がっているだけだった。


『大森林の中域に入りました。ここから先は飛竜などの空を飛ぶ魔物に遭遇する可能性があります。ヴェニカがいるので寄ってくることはないと思いますが、注意はしてください』


『大丈夫じゃよ、いくら大森林の無鉄砲な魔物でもドラゴンに突っ込んでくる阿保はおるまい』


(今回はフラグになってほしくないわね……)


 さらに進んでいくと、たまに下方を飛んでいる魔物がいる。こちらに意識を向けている様子もないのでそもそも気が付いていないのかもしれない。


『たまに下の方を魔物が飛んでるわね』


『ええ、大型の鳥の魔物ですね。ハウルイーグルと呼ばれる魔物です』


『ところで、ヴェニカはまだ不可視の状態なの?』


『いや、大森林に入ってリデナ砦が見えないあたりから通常の状態だぞ』


 遠くを飛んでいる大型の魔物などを見ながら、空の旅が続いている。変わり映えのない景色が続くので実は少々飽きてきている。飛び立って2時間程度飛行したところだろう。


『そろそろ深域に入ります。大森林を見てください。所々荒れ地があります。ヴェニカの言っていた大型の魔物が争った跡でしょう』


 大森林に目を向けると、確かに所々地面が見えている。この高さから見てそれなりの大きさに見えるのだから、どれだけ暴れるとあのような荒れ地になってしまうのだろうか……


『深域に入ったことじゃし、高度を下げよう。1,000m程度からであれば、索敵でエルダートレントが見つかるかもしれん』


 すぐに高度が下がり始めた。徐々に大森林の木々が大きく目に映るようになってきた。ぽっかりと空いた荒れ地の様子もわかるようになった。《マジックソナー》を使ってみるが、速度が速すぎて処理が追い付かない。索敵はヴェニカに任せて、私は慣れるまで練習することにした。


『魔物はそれなりにおるが、エルダートレントはわからんのう。さすがに降りないと無理かもしれん。この先の荒れ地に降りるぞ』


 しばらく進みヴェニカがさらに高度を下げた。目の前には広い荒れ地が見えている。ズドンッという音と共に地上に着陸した。私への振動はほぼなかった。


『ここでええじゃろ。荒れ地と森林の境界を探せば、1匹くらい見つかるじゃろ』


 尻尾で私の身体を巻き付けると地上に降ろしてくれた。フェシーはすでに私のバックパックの上に止まっている。すぐにヴェニカが姿を変えて人の姿になった。


「さて、探すとするか」


「そうね、私も探すわ」


『エルダートレントは大きな木の魔物です。普段は動かずじっとしており、獲物が近づくと枝で攻撃して倒し、その魔力や血を吸い取ります』


 索敵のために《ウィンドソナー》と《マジックソナー》を使用する。荒れ地と森の境界に向かって進んでいくと、森の中に何か反応はあるが、こちらに気付かず移動している。


「何かいるけど、エルダートレントではなさそうね」


「そうじゃな、これは……アイアンボアかのう?」


 魔力はそこまで大きくないが、大型の牙があるように感じる。魔物が向かってきてもすぐに攻撃できるように《ソニックバレット》の《装填:遠》と《装填:強》をそれぞれ2発ずつ待機させて、探索を続けた。


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