第118話 オーダーメイドベッド
フェザー・ベルベット寝具店にベッドマットや寝具一式を新調しにやってきた。ベッドマットは決まったがベッド本体がまだだったので一緒に注文することにした。
「それなら、ベッド本体も同時に注文します。どういった手続きを取ればいいですか?」
「左様でございますか。承知いたしました。早速、家具工房の者をこちらへ呼んで参ります。到着いたしましたら、ベッド本体の詳細について、どうぞ心ゆくまでお申し付けくださいませ。
職人が参りますまでの間、わたくしと共に他の寝具……枕や掛け布団などをお選びになりませんか?最高のものをご用意させていただきます」
寝具一式がそろっているコーナーに案内された。いろいろと種類があり、また悩んでしまいそうだ。
「ウールマットレスを使う場合のお勧めはありますか?」
「ウールマットレスをお選びになるのであれば、こちらの枕と掛け布団が最もお薦めでございます。
枕は、マットレスと同様にフォレストシープの毛を使用した『ウールピロー』でございます。マットレス同様、頭部や首筋の湿気を速やかに逃がすため、吸湿・放湿性に極めて長けております。
そして掛け布団は、当店の名を冠しております、フェザーを詰めた一品でございます。高空を住処にするスカイアイビスの羽毛は重さを一切感じさせません。たっぷりと空気を含んだ羽毛が、ミオ様のお体を優しく包み込みます。軽さ、温かさ、機能性のバランスが最も優れた、万能の逸品でございます。
最後に、これらを包むカバーやシーツでございますが、こればかりはシルクスパイダーの糸を用いたもの一択にございます。他の素材では、せっかくのウールやフェザーが持つ本来の持ち味を活かしきることが叶いません」
「なるほど、わかりました。ヴェニカはどう?何か希望はある?」
「いや、ないな。その内容で十分じゃろ」
「それでは、寝具一式はそれでお願いします」
こちらに従業員がやってきて、「失礼します」と一言挟み、ベルゼリオさんに耳打ちをした。たぶん家具工房の職人さんが来たのだろう。
「お待たせいたしました。家具工房の職人が到着いたしましたので、1階の応接室にてベッド本体の詳細を伺いたく存じます。恐れ入りますが、1階へとお運びいただけますでしょうか」
1階に降りて応接室へと案内された。中ではドワーフの職人さんが待っていた。
「ミオ様、ご紹介いたします。こちらがグランバレル工房の親方、バルカス殿です。ミオ様のご要望を伺い、その場で完成図を書き起こさせていただきます。まずは図案をご覧になり、細かな仕様を共にお決めいただければと存じます」
「グランバレル工房のバルカスだ。俺はそいつのような話し方はできん。それは了承してくれ、ベッドマットの素材と大きさは聞いている。細かな意匠がある場合は先に教えてくれ、特に要望がないのであればベッドマットに合ったデザインを描こう」
「ミオです。こちらがヴェニカ、よろしくお願いします。決まった意匠はありません。一度デザインを起こしてもらえますか?複雑にする必要もないので……」
「わかった。意匠がないのであればすぐに描ける。少しだけ待ってくれ」
そう言ってバルカスさんは紙に羽ペンで図案を描き始めた。その手に迷いはなく、どんどん描きあがっていく。シンプルなデザインだが、所々に風を思わす紋様が入っている。
「こんな感じでどうだ?複雑なものはいらないと聞いたから、最低限にしてある。追加するとすればヘッドボードくらいだろうな」
「そうですね、ヘッドボードはお願いします。それとベッドの下に、ウールマットレスの機能を損なわない程度の引き出しが欲しいです。替えのシーツやカバーを入れる場所として使用します」
「なるほど、寝具の保管場所か……そうだな……」
バルカスさんは少し考えると、ヘッドボードと引き出しを追加した図案を描き始めた。引き出しにも邪魔にならない程度の紋様が描かれていく。
「ダブルサイズだから、引き出しを付けても通気性などに問題はないだろう。足元に2か所用意した。寝具の保管以外にも、夜着やタオル程度ならしまえる大きさだ。ヘッドボードは余計な棚などを付けずにシンプルにしてある。少しくぼませているから、物を置いても落下することはない」
「問題ありませんね、意匠も気に入りました。ヴェニカは何かある?」
「いや、問題ない。しいて言えばベッドの高さが気になる。ミオと私ではベッドの高さが異なるだろう。そのあたりはどうなっておる?」
「うちの工房で作るベッドは全て高さの調節が可能だ。最初に足の長さを測らせてもらえれば丁度良いサイズで作っておこう。調整用の部品も渡すので、気に入らなければそれで調整してくれ。その部品は引き出し内に収められるようにしておこう」
「ありがとうございます。他に決めることはありますか?」
「そうだな、後はベッドに使う素材だけだ」
ベッドに使う木材は何が良いのだろう?私は詳しくないので聞くしかない。




