第112話 工房と照明
風呂場とキッチンの排水口を確認してからトイレにやってきた。すでにドアも付けられており利用しているようだった。もちろん使用して良いかの確認はされている。スライムを処理施設に入れる条件で自由に使ってもらっている。トイレの内装も最低限なので工事終了間際に掃除して内装も整えるのだろう。
「ここは特に何かすることはないですね、このまま使っていただいて大丈夫です」
「そうだな、トイレなんぞ代わり映えする場所じゃないからな」
玄関を通り工房に向かう。玄関は外に出るための出入り口と、工房兼店舗に出るための出入り口の2か所がある。工房も床は石板になっていた。水場の場所を確認して排水管を作る準備をする。排水口はキッチンと同じ150mmにして、その先の排水管は100mmにする。地面から深さは30cmにして風呂場の排水管と同じ位置に合わせる。風呂場からの排水管が近いのでそれにつなぐようにイメージする。
「あ、少し待ってください。一度風呂場に行ってきます。すぐに戻るので……」
急いで風呂場に行き排水管に掛かっている《ステイシス》を解除した。《ステイシス》が掛かっている状態だと魔法での変更を受け付けてくれないので、排水管同士の接合ができないのだ。
「お待たせしました。続きをやります」
合流地点を少し改善するので、合流から処理施設の排水管は作り直す。勾配に合わせて少し深さを調節してから魔法を行使する。排水口が開いたので開通しているだろう。《ウィンドソナー》で確認すると、風呂場と処理施設につながっていることが確認できた。排水管内のコーティングを行い、再度全体に《ステイシス》を掛けた。これで問題ないだろう。
「終わりました。水を流してみますね」
《ウォータ》で水を出し排水口に流してみる。《ウィンドソナー》で流れの状況を確認すると、詰まることなく流れていった。風呂場の排水管に対しては斜めに接合し、風呂場からの排水管との段差も作ったので逆流量も抑えられるだろう。
「水回りの確認はおしまいですかね?」
「そうだな、とりあえずこんなところだろう。何かあるか?」
「処理施設のスライムなんですけど、放っておいて良いんですか?」
「ああ、基本的には放置で大丈夫だ。たまに増殖するが、水と一緒に勝手に外に流れていく。爆発的に増えない限り何もしなくてもいい」
少し気になっていたスライムについて聞くことができた。外に流れ出したスライムは水と一緒に水路を流れていき、領都の外にある施設に集まる。そこで増えすぎたスライムを処分してスライム板ガラスやスライム瓶に加工するようだ。水はきれいになっているので、汲み上げて川に流している。ただ、1カ月以上留守にした場合は、スライムがいなくなるので補充するように言われた。
「わかりました。それから、図面に照明を取り付ける位置を記載して欲しいのですが、大丈夫ですか?一般的な工房や住宅の配置で構いません」
「わかった。嬢ちゃんに渡した図面を出してくれるか?ここで書き込んでしまおう」
バリムさんは渡した図面に照明の位置を記載してくれた。基本的にはオイルランプになるので、手の届く壁に配置されている。広い部屋などは、テーブルやチェストの上などに置いて明かりを確保することになる。
「これくらいだろう。壁掛け用のランプはこっちで取り付けるが、それ以外は用意してくれ、交換用のランプも忘れないようにな」
「ありがとうございます。数日後に浴槽を作るのでリムストを多めに用意しておいてください」
「わかった、もともと2階の壁塗りに使うし、建築の最後まで使う素材だから大量に持ち込んである。ここに来ればいつでも使えるから声をかけてくれ」
「わかりました。今日はこの辺で失礼します」
数日後とは言ったが、明日で良いだろう。いくつか作りたい魔導具を思いついたので、リデナスタの外に出ていつもの場所でシェルターを作った。
「風呂を溜める魔導具を作ろうと思う。触れると《ウォータ》で40℃のお湯を出し、風呂にお湯を張る魔導具」
「ふむ、洗浄便座じゃったか?あれに比べればかなり簡単だのう。魔力通信もいらんじゃろうし」
「そうね、パネルに触れたら魔力線から供給される魔力を使って、40℃のお湯を指定量排出する。排出が終わると魔力が遮断される仕組みにするつもり」
温度は固定になるが、自分で《ウォーム》を使い温めてもいいし、《ウォータ》で水を足して冷ますこともできる。今は仕組みを考えなくてもいいだろう。
トイレの右側に新居の風呂場と同じ大きさの部屋を新たに作った。さらに図面と同じように浴槽部分を掘り下げて準備完了だ。浴槽の内寸は1,800mm×2,700mm×500mmと決まっているので、同じ大きさで土の浴槽を作成する。硬化とコーティングも忘れない。今回は検証なので排水口は作らなかった。風呂の大きさから内容量を計算する。2人で入れる大きさなので最低でも2,000Lは必要だろう。




