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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第1章 隠遁(いんとん)

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第11話 魔法研究と製薬の日々(ポーション)

 こちらの世界に飛ばされてから30日が経過した。表紙の隅に経過日数が浮かび上がるようになった。10日程度経過した時点で日数が出るようになった。


 魔法の研究をしながら小屋の周りの調査や、小屋に置いてある道具を細かく調べたりもした。特筆すべきことは小屋の裏側に薬草園と野菜畑、果樹園があったことだ。最初の数日は魔法の研究が楽しくてこればかりに没頭していた。徹夜したこともある。


 この領域に居るおかげで生理現象が無いため、食事や睡眠を必要としないことも大きな要因の一つだ。風呂には入ってるが……


 薬草園を見つけたことでポーションに興味を持った。その時点で部屋が2つ増えた。製薬用の部屋、私は研究ラボと呼んでいる。それと魔道具庫だ。魔道具庫には様々な()()()や魔道具が保存されており、その中から製薬に必要そうな魔導具を研究ラボに置いている。代表的なのは分離の魔導具だ。


 分離の魔導具は本当に便利で、液体であればなんでも完全に分離できる。水が酸素と水素に分離されるのだ。両方とも気体なので目には見えない。通常は電気分解で行うが、この世界に電気はない。代わりに魔法が何かやっているのだろうけど、さすがに仕組みの解明には至っていない。理由は古代文明で使われていた魔導具の回路だと思われる部分が全く理解できないからだ。


 しかし、この魔道具庫にある遺物と言っても差し支えない魔導具は、基本的に領域からの持ち出しが禁止されている。理由は言わずもがなだが、こんなもの持っていたらそれこそ戦争をしてでも欲しがる国が出てくるだろう。


 一部持ち出しができるのは、現在この世界で流通している魔道具だけだ。温めの魔道具と乾燥の魔道具もあった。


 薬草園にはこの世界の薬草と呼ばれるものや、毒草と呼ばれるものなど、ありふれた薬草から劇薬になりうる危険なものまでたくさんの種類が無造作に植えられていた。重い本を持ちながら一つ一つ確認していき、どのような薬草があるのか調べていった。


 ちょっと笑ってしまったのが、薬品をこぼしたときに簡単に拭き取れて破棄できるものが欲しくて引き出しを開けると、キ〇ワイプが出てきたことだった。同時に廃棄ボックスも研究ラボに出現した。足踏み式になっており、中を覗くと真っ暗で底すら見えない。どのような仕組みなのか知るのも怖いので触れないようにしている。便利なのでゴミはポイポイと捨てている。


 ちなみに研究ラボの棚には、試験管やビーカーなど実験や製薬で必要な一通りの機材が完備されていた。


 ここまでされたらポーションを作らない訳にはいかない。この世界のポーションの作り方を本から学んだ。便利な本である。


 この世界のポーション作りはなかなか手間だった。薬草を自然乾燥させ薬研やげんで細かくして鍋などの容器に移す。そこに水を入れて専用の棒で攪拌かくはんしながら温め、最後に棒を経由して魔力を注入する。


 ここまでやって市販品のポーションができる確率が30%程度である。薬草の成分濃度や魔力を込める量で失敗したり、極端に効果が高いポーションが出来てしまったりする。要は運任せな部分がかなりある。


 さすがに自然乾燥は手間なので《ドライ》を使ったが、それ以外は手順通りにやってみた。私も成功率は40%程度にとどまった。


 ここからは改善の時間だった。最初に行ったのは攪拌かくはんするときの温度調整、次に分離の魔導具を使用した成分の分離だ。《ウォーム》を使い様々な温度での攪拌かくはんを試す。成功率が一番高い温度は60℃だった。次に分離の魔導具を使い、成功率が一番高い温度で攪拌かくはんした液体の中からポーションの成分と水分だけを抽出した。これだけで成功率が85%まで爆上がりした。


 最後は魔力の注入だが、これは魔力量で効能が多少変化するだけなので、結構適当でも大丈夫だった。少ないとさすがに失敗するが、多い分には効能が多少高くなるだけで、特に問題は発生しない。ただ、通常のポーションでも効能が高いものは珍しいので高値で取引されるらしい。そのため私は効能の高いポーションをポーション(高)として規格外品扱いにしている。もったいないので破棄はしていない。


 なぜ、ポーションが問題ないことを知ることができるかというと、検査用の魔導具が存在するからだ。これも遺物の一種だった。使い方は簡単で、指定の容器に検査する対象のポーションを入れて魔導具にセットする。ボタンを押すと、すぐに魔導具に結果が表示される。




【検査結果】

 薬品名:治癒ポーション

 効能:一級品

 薬効抽出率:92%

 製薬者:ミオ カンザキ

 検品:問題なし




 検査結果は製薬者の名前まで表示される。ここまでくると便利であるが訳が分からない。失敗したポーションを検査すると薬品名が「薬草抽出物」になったり、効能が「低級品」になったりする。検品の項目も「支障あり」になる。また、効能が高いものは、「効能過多」となる。検品自体は「問題なし」のままだ。


 もちろん今の時代にも検査用の魔道具は存在する。劣化複製であるため、薬品名と検品しか表示されない。とりあえず通常の流通経路であれば失敗作は流通しないようになっている。


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