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自分が描いたイラストの異世界に転移してしまった  作者: マホロ
第2章 邂逅(かいこう)

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第100話 生活環境を整える準備

 宿に戻りリムストが運ばれてくるのを今か今かと待ちわびる。私がソワソワしたところで早く着くわけではないのだが楽しみで仕方がない。ヴェニカに「落ち着け」と言われてしまった。なので先に魔導具を設計することにした。


「大きさはギルドカード4枚分ね、それから入力用の魔石は3つね……」


「今度は何を作るんじゃ?魔導具のようじゃが……」


「今は設計だけね、調整しないと作れないから、トイレで使う魔導具よ」


「ふむ、《ウォッシュシャワー》と《ウォッシュシャワー・ビデ》か、それを魔導具で再現するわけじゃな。なるほど面白いかもしれん」


 一つ目の魔石に魔力を入力すると《ウォッシュシャワー》が発動する。二つ目の魔石に魔力を入力すると《ウォッシュシャワー・ビデ》が発動する。そして三つ目は停止用の入力で、同時に《水分除去》の魔法が発動する。指で触ると自動的に使用者の微量の魔力を吸うようにする。


 実際に魔法を発動するための魔力は、別の場所において私かヴェニカがたまに注入すれば良いだろう。


「おおまかな設計はこれでよし、後は実際に作って試行錯誤するしかないわね……明日以降時間があるときにリデナスタの外で実験すれば……」


 魔導回路の設計などをしていると、部屋にリムストの箱が運ばれてきた。同時に明日の朝に工房へ来てほしいとの手紙も受け取った。重いものを運んでくれた従業員に少しだけチップを渡しておく。開けてみると真っ白な石灰石の粉が入っていた。魔力視眼をつかってみる。




【リムスト】

 成分:消石灰、麻、植物糊

 配合:消石灰95%・麻2%・植物糊3%

 備考:30kgに対して、18L~の水を混ぜることで壁塗り用の素材となる

    乾燥させることで壁に付着し固形化する。わずかに乾燥収縮が発生する




「なるほど、こうやって使うのか……」


 実際に使ってみる。今までトイレは土を硬化してコーティングすることで作ってきた。それをリムストに変更して水を混ぜてから乾燥することで一旦形を作る。それをさらに硬化してコーティングを施す。これで便器部分が作れるだろう。大きさは10分の1で問題ない。イメージを固めて魔法を発動する。


 テーブルの上に小さな便器が現れた。きちんとコーティングもされており、日本で見る便器と遜色がないと感じる。


「色と形は問題ないわね……それからコーティングも大丈夫、後は乾燥が魔法だからひび割れとかが入ってなければよいけど……」


 小さいがきちんとした便器なので、じっくりと見ていくがひび割れなども発生していない。引き続き耐久テストなども必要だろうが、それはリデナスタの外で検証するときにやれば良いだろう。


「ヴェニカ、小さいけど便器ができたわよ」


「ほう、白いからか土の茶色のトイレより清潔感があるな」


「ええ、それだけではないわ。尿などの色がわかることで自分の健康状態の把握も可能よ」


「なるほどのう。そういうのも体調管理の1つか……それと《ウォッシュシャワー・ビデ》は助かった。月の物の血液のべたつきが洗い流せるのは下着をつけた時の不快感が減って良かったぞ」


「そう、役に立ったのなら魔法を開発して良かったわ」


 これなら浴槽もリムストを使って作れるだろう。複雑な作りではないので、実際に作るのは風呂場ができてからで問題はないと思う。洗面台なんかも魔導具を組み込んで水が出るようにすれば便利になるだろう。次は水栓の開発をしても良いかもしれない。水栓ができるまでは自前の《ウォータ》を使えば問題ない。





 翌朝、千釘工房に行き細かい図面に必要なものを記入してもらう。私が口頭で説明して図面を引いてもらった方が早いので説明していく。工房の壁などは問題なかったが、風呂場の仕様を伝えるのに苦労した。


「なかなか面白い作りだな、風呂場の壁や床、天井は水分に強い素材が必要なわけか……タイルが基本だと思うが、貴族の屋敷を作ったことがある仲間に聞いておこう。それと浴槽部分は地面でいいんだな。

 少し段差を付けるのは、水があふれても洗面所といったか?ここの床板に水が行かないようにするためか……こういう工夫は積み重ねでしか生まれない。嬢ちゃんの故郷は建築の研究が進んでいるのだな」


 排水する仕組みや風呂場の床を少しだけ傾けることなどを説明して図面を起こしてもらった。バリムさんたちも初めて作るものなので、完成後は様子を見ながら修繕を積み重ねていくしかないだろう。千釘工房とは長い付き合いになりそうだ。


 図面が完成したら、見積もりをしてもらい一度確認をする予定だ。バリムさんは同じ大きさの家より少し値段は高くなるが、大幅に増えることはないだろうと言っていた。ちなみに同じ規模の2階建てであれば、白金貨4枚、4,000,000シル程度が相場になっているらしい。


 新居が完成したら家具なども購入しないといけない。工房の準備や、すぐに始めるつもりはないが店舗の準備も必要になるだろう。ポーションを定期的に納品することで十二分に稼げるが、薬草類の仕入れも必要だ。やることは多いがこれから始まる暮らしにドキドキとワクワクが止まらなかった。

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