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恋愛請負人・鉄平 ―ギャルゲー主人公の友人として恋を請け負っていたら、女神様が筋肉(からだ)目当てで距離を詰めてくるんだが  作者: 強炭酸
Case9 ハロウィン 主人公 咲也

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Case9ハロウィン②

【鉄平共闘パート/鉄平視点】


「なるほどな。話は分かった」


咲也の話を聞き終えて、俺は腕を組む。

秋の空気は少し冷えていて、窓から入る風が頬を撫でた。


ハロウィンが近いことは分かっていた。だから俺は先回りして、手芸部に入っていた。採寸の仕方、布の扱い、ミシンの基本。放課後の教室で、糸の匂いと機械の低い振動を聞きながら、少しずつ覚えてきた。


準備はしてある。


「うちにもミシンあるよ」


横から声を挟んできたのは紗理奈だ。


「学校の借りるつもりだったけど……紗理奈のミシンも使わせてもらおうか」


頭の中で段取りを組み立てる。

布、型紙、採寸、衣装――


その前に、もう一段階必要だ。


「俺たちはコスプレには素人だ。だから、実際にコスプレしてる人達に話を聞きたい」


咲也が少し眉を上げる。


「ハードル高すぎない?」


「別にプロの人の時間を借りるわけじゃない。素人でも、色々工夫してる人はいる。そういう話を聞ければいい」


スマホを取り出し、イベントのホームページを開く。

画面の光が指先を照らす。


「ここで定期的にコスプレイベントやってるみたいだ」


俺は画面を二人に見せた。


――現場に行く。

まずはそこからだ。



数日後。

コスプレイベントの会場になっている公園。


秋の空気の中、色とりどりの衣装が視界に広がっていた。

風に揺れるマント、煌びやかな装飾、カメラのシャッター音。


紗理奈はコスプレ姿で立っている。

俺と咲也はカメラマン兼付き添いだ。


紗理奈の衣装は、アニメ『負けヒロインはまだ負けてない』のキャラクター。

ヒロインの幼馴染の女の子。


挿絵(By みてみん)


中学と高校のジャージ、体操服を組み合わせ、ウィッグで雰囲気を合わせた。


「だいぶそれっぽくなったね」


咲也が感心したように言う。


紗理奈は少し照れくさそうに肩をすくめた。


「ていうか鉄平のメイク、どこで習ったの? 手慣れすぎでしょ」


「練習したからな」


それだけだ。

鏡の前で試して、やり直して、また試した。

マネキン使って他の人にするやり方も試した。


日々の積み重ね。

トライアンドエラー。


その時だった。


「すみません、『負け負け』のアニメですよね? 一緒に写真よろしいですか?」


別のコスプレイヤーが声をかけてきた。


――チャンスだ。


「はい、チーズ!」


シャッターを切る。

同時に、自分のデジカメでも写真を撮る。


「こちらのカメラでも撮りますね」


撮影が終わったタイミングで、さりげなく話を振る。


「その衣装、素敵ですね。私たち学生で予算なくて……皆さんどうしてます?」


コスプレイヤーは気さくに笑った。


「私も基本、既製品を改造だよ」


「なるほど」


「ポイントはね、採寸と、絵を描くこと」


「絵?」


「完成形をイメージするの。どんな姿にしたいか」


なるほど。


「100点を目指すより、いかに近づくか、かな」


その言葉が妙に胸に残った。


「ありがとうございました。大変参考になります」


頭を下げる。


それからも、何人かに話を聞いた。

布の選び方、ウィッグの整え方、小道具の作り方。


みんな最初から上手かったわけじゃない。

初心者だった。失敗して、試して、覚えて――


そうやってここに立っている。


横のつながり。

知識の共有。


少しずつ、道が見えてくる。


公園の風が木の葉を揺らした。


俺はカメラを下ろし、空を見上げる。


――よし。


「次は衣装作成だ!」

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