85.しっぽ取り開始!
少し前に登場した式神達ですが、一応主からのセーフティとして、"主に危害は加えられない"+"主の指示には逆らえない"+"主なしでの活動時間が設定されてる"という3重の反抗予防策はあったんですが、これ指示にギリギリ逆らわない範囲で行動して使い魔契約したら普通に術式ごと上書きされちゃうという……
(禍津 明視点)
休憩時間の終了直前……
『あァ、それと取ったしっぽは自分が付けてるしっぽに吸収されるから重量関係は心配すんなァ!』
『あ、原理については聞かないで欲しいのじゃ!』
『まあ、校長が作った物ですからメェ~』
……そんな放送が、会場に響き渡った。
「えぇ……ほんと、何でもありだな……」
「う~ん、ボクは異能でしっぽを差し出させるのが1番安全な戦法かな?」
「……うん、アヤノ君はそれで良いと思うよ」
直に始まるであろうしっぽ取りへ向けて、俺達は覚悟を決めていた。
……んで、そこから間髪を入れずにその時はやって来る。
『さて、そうこう言っとる間に開始の時間じゃし、そろそろ生徒全員を特別なしっぽ取り用エリアへ転送しておくのじゃ!』
『んで、向こうに着いたらカウントダウンが始まるから、それが0になったらスタートだかんなァ?』
『では皆さん、健闘を祈っていますメェ~!』
「…………え、ちょっと待ーーー」
ーシュン!
本当に唐突にしっぽ取り用のエリアへと転送される事になった俺達。
恐らく、立ち位置は完全ランダムだろう。
で、気付けば……
「……な、何だここ……」
広大なエリアにゴツゴツとした岩場が広がるエリアにて、俺は他の生徒と共に立っていた。
とはいえ、事前の予想通り生徒の転送位置はランダムらしく、周囲に居る生徒の学年はごちゃ混ぜだった。
『それではカウントダウン開始ですメェ~!……10、9、8、7……』
「い、いよいよか……」
俺はすぐにでも【禍神纏装】を発動出来る様、気を張り詰めてカウントダウンを見続ける。
『4、3、2、1、0……開始ですメェ~!』
ーパンッ!
「【禍神纏装】からの飛翔脱出!」
ーバサッ!ダンッ!
「あ、男子が1人逃げたわよ!」
俺はしっぽ取りが始まった直後に【禍神纏装】を発動し、高所へ飛んで戦場になり得る地上から離れた。
にしても……
「……【禍神纏装】をしても、しっぽは鎧の外に付くのか……こりゃ常にしっぽに気を回しとかねぇと奪われかねねぇぞ……」
鎧があろうと外へ付くしっぽを見るに、全員がしっぽへ気を回しとかねぇと駄目な種目っぽいな。
……他の奴等は大丈夫なのか?
「まず3年から奪うわよ!」
「異議なし!」
「は!?……おい、まさか下級生が手を組んで……うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」
なんて考えてる間に、地上は地獄絵図だ。
主に3年生が2年生と1年生に追い込まれてやがる。
……やっぱ数の暴力は正義だな。
「……んじゃ、俺もあいつ等と合流するか……」
そうして俺は【竜脚】と【刃羽】で跳躍と飛翔を繰り返しつつ、他の面々と合流するために宙から捜索を開始するのだった……
……それが目立つ事になるなんてのは、考えりゃすぐ分かる事だったってのに……
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(俯瞰視点)
同時刻……
「皆ボクを見て♥️!……【狂った偶像崇拝】♥️!」
ーピカ~ン!
「あっ……アヤノきゅぅぅぅぅぅん!」
「こっち見てぇぇぇぇぇ!」
「あ、ウインクしたぁぁぁぁぁ!」
ある地点ではアヤノが【狂った偶像崇拝】を発動し、周囲の生徒を虜にしていた。
「それじゃあ皆~♥️!……3年生はしっぽをボクに献上して、1年生と2年生は3年生からしっぽを剥ぎ取って来て~♥️!」
「「「「「は~い♥️!」」」」」
当然ながら、アヤノの虜になった者達はアヤノの指示を断れないどころか嬉々としてやる。
……しっぽ取りの開始早々、3年生は一気に数を減らす事となった。
また、別の地点では……
「あ~もう勘弁して欲しいっす~!」
「しっぽ取らせろ~!」
「3年生だけ不利過ぎるわよ!」
「お前は普通っぽいから優先だ~!」
「嬉しくないっすよ~!」
……良くも悪くも一般的生徒の範疇を出ない実力の写美が、周囲の3年生集団から追い回されていた。
と、そんなタイミングで……
「ひゅ~、写美さんモテモテなのですね~!」
……突如として、付近の岩山から影華の声が聞こえて来たのだ。
「影華さん、アタイを弄る暇があるなら今すぐにでも助けて欲しいっす!」
「……クレームしないなら良いのです」
「この際何でも良いっす!」
余裕がなかった写美は、藁にも縋る思いで影華に助けを求めた。
………それが諸刃の剣である事に気付かないで。
「じゃ……十八番の【エレクトリカルパンジャンカーニバル】なのです!」
ードドドドドドドドド!
「「「「「「「「「へ?」」」」」」」」」
ードッカァァァァァァァァァァァァァァァン!
「「「「うぎゃぁぁぁぁぁ!?」」」」
当然ながら、影華が繰り出す手段は改造パンジャンドラムによる大進撃。
一応、写美をギリギリ巻き込まない範囲で突撃させてはいたものの、がっつり最後の爆風には巻き込まれてしまっていた。
「……あちゃ~、巻き込まれたのです……」
「あ、アタイの安全も考慮して欲しいっすよ……」
「ん?……ああ、無事だったのですね?」
「ギリギリだったっすけどね!?」
ただまあ、最初の写美を助けるという目的自体は遂行しているので写美もそれ以上の文句は言えなかった。
と、ここで終わっていれば影華のトンチキエピソードで終わったのだが……
そうは問屋が卸さなかった。
「隙ありでござる!」
ーシュタッ!
「っ!?」
ーギィィィィィン!
突然、爆風の中から両手に苦無を持った本江が現れ、影華に襲いかかったのだ。
対する影華は隠し持っていた2丁の自動式拳銃で苦無を受け止め、2人は向い合わせの体勢に入った。
「お、今のに反応するでござるか!」
「くっ……というか、苦無なんてどうやって持ち込んだのです!」
「なぁに、同級生に物体生成系の異能持ちが居たから作って貰っただけでござるよ♪……まあ、その同級生はさっきの爆発でバタンキュ~でござるがな!」
「ふん、それは良い事を聞いたのです!……写美、そこで伸びてる3年生共からしっぽを剥ぎ取っておくのです!」
「わ、分かったっす!」
影華に言われ、写美は爆発でぶっ倒れた3年生達からしっぽを剥ぎ取り始める。
「……で、邪魔しないのです?」
「別にどうでも良いでござるからな……何より、某にとって用があるのは影華でござるからな!」
「えぇ……まさか私への復讐とか言うつもりなのですか?」
「そのまさかでござるよ!」
本江の目的は、影華への復讐だった。
とはいえ、彼女の相手をする羽目になった影華にしてみれば、面倒な事この上ない目的であったが。
「ハァ……ちゃちゃっと終わらせてやるのです!」
「望むところでござる!」
こうして影華と本江はお互いが目と鼻の先という距離の中、戦いを始めるのだった……
更に別の地点。
「あらあら、その程度ですの?」
「くっ……どうしてこう、嫌な時に限ってお前と一緒なんザマスか!」
「僕に聞かれてもねぇ……」
そこでは偶然にも出くわした秀光とカミラエルが、こちらも偶然遭遇した真梨亜に圧倒されていた。
「くっ……こいつの結界を突破してしっぽ取るとか無理ザマスよ!」
「くっ……纏うタイプの鎧形式だとしっぽも外に出るらしいけど、一定範囲の結界形式にされると普通に中判定になるらしいね……」
鉄壁の防御を誇る結界に守られている、真梨亜と彼女のしっぽ。
それを奪取すべく、秀光とカミラエルは彼女へ挑むのだった……
そして、これまた別の地点。
「光華はん、見つけたで!」
「……よりにもよって寂子先輩ですか……未だお兄様に出会えていない事といい、今の私は相当ツいてないらしいですね……」
そこでは、光華と寂子が邂逅していた。
「ウチはまだ、障害物競走での雪辱を忘れとらかんからな!」
「……分かりました……もし私が寂子先輩に負ける事になるとしても、ここで逃げるのはお兄様の名に傷が付きかねません……」
「ほ~、分かっとるやん♪」
「ええ……寂子先輩、お覚悟を!」
未だ雪辱を引き摺る寂子と、そんな彼女から逃げないと決めた光華。
そんな2人の勝負もまた、幕を開けるのだった……
ご読了ありがとうございます。
バトル描写は期待しないでください。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




