76.冷酷な殺戮者
アイシャも実力は本物です。
("裏勾陳"視点)
「……という訳で"裏勾陳"様、私の使い魔にならないでございますか?」
「ふ~ん、つまりスカウトって訳シュラ~ンね?」
「ひっ!……え、ええ、そう認識していただいて大丈夫でございます……」
使い魔への勧誘……
確かに、それは今の主へ内心不満たらたらな私にとって渡りに船な提案だったシュラ~ン♪
……でも、その誘いを簡単に呑める程、私の心は軽くないシュラ~ン♪
「私をスカウトしたいなら、失血死するまでに認めさせてみろシュラ~ン!」
「っ!……そうでございますか……」
私達の創造主である彼は、確かに器は小さく性格も悪い人間だシュラ~ン♪
それでも、裏切るからには相応のものを見せて貰わないと裏切る決心もつかないシュラ~ン!
「私の名は"裏勾陳"!……輝きの中を縦横無尽に暴れ回る流星だシュラ~ン!」
ーピカ~ッ!
「ひぃっ!?」
あ~あ、せっかく適度に暴れて後は倒されて退場するつもりだったシュラ~ンのに……
……私に本気、出させちゃったシュラ~ンね?
「あんな主でも一応は創造の大恩ある相手なれば、最低限の義理は通させて貰うシュラ~ン!」
ーダンッ!ダンダンダンダンダンダンッ!
私は長い蛇の体を上手くうねらせ、猛スピードのまま一直線に突っ切っては地面や壁にぶつかり方向を変えるという行動の繰り返しで攻撃のチャンスを伺っていたシュラ~ンが……
「……そこでございます!」
ーブンッ!ザシュッ!
「シュラッ!?」
ーバタァァァン!ザザザザザ!
ぐふっ!
また、切り裂かれたシュラ~ン……
……やはり、この者の実力は本物。
私が何処から攻撃しようと、驚く程に的確な対応をして来るシュラ~ン……
「ひっ!……そ、そろそろお認めになられたらどうでございますか?……私としても、これ以上本気で相手すれば殺してしまいそうで……」
こ、この者……
「君、卑屈で臆病って割には傲慢シュラ~ンな♪」
「……な、何か悪いでございますか?」
「いや……歪だと思っただけシュラ~ン♪」
自分に対しては卑屈で臆病。
なのに傲慢さも同居しているシュラ~ン。
……何だ、この者はは……
「い、歪でございますか!?……あ、時間をかけても失血死でございましたね!」
ーブンッ!ザシュッ!
「シュラッ!?……ゴフッ!」
「は、早く私をお認めにならなければ死んでしまうでございます!……それでは、あまりにも……」
「その割には躊躇ないシュラ~ンね?」
そう。
この者の攻撃からは、まるで躊躇が感じられないシュラ~ン。
まるで、淡々と作業している様な……
「ふぇ?……だ、だって貴方がご自身に認めさせろって言ったんでございますよ?……なら、貴方相手に手を抜く行為は無礼千万でございましょう?」
「……私、死ぬシュラ~ンよ?」
「そ、その時はその時でございます。……す、救いの手を拒み続ける者を救うなど、それこそ傲慢極まりない考えでございますから……」
脚部に生成した氷の刃をちらつかせながら、水色髪の吸血鬼は私へ迫って来たシュラ~ン。
……この者、私を救おうとする甘さを抱えつつも、結果的に私が死のうと受け入れる冷酷さも併せ持っているシュラ~ン……
「…………ハァ、本気出すシュラ~ン♪」
「え、今更でございますか?」
「舐めプで悪かったシュラ~ンね!……とっておきの【人神変化】だシュラ~ン♪」
ーピカピカピカ~ッ!
「ひっ!?」
大蛇の体で行う高速突進は無意味……
であれば、本気の戦闘形態へ移行するだけシュラ~ン♪
……ただ、この変身で滅茶苦茶キラキラして他者がマトモに見れなくなるのが難点なんシュラ~ンよな~。
んで、変身が終わって光が収まると……
「じゃ、やるシュラ~ンよ♪」
陰陽師を連想させる狩衣を着つつも、豪華絢爛な黄金装飾に身を包む金髪の美丈夫……
それが、今の私だったシュラ~ン♪
「ひっ!……金髪のイケメンでございますか!?」
「そ~そ~、惚れちゃったシュラ~ン?」
「い、いえ別に……同じ金髪のイケメンなら、秀光様の方が万倍マシでございますね……」
「っ!……そ、そうシュラ~ンか……」
め、メンタル傷つくシュラ~ン……
とはいえ、失血死まで時間もないシュラ~ンし……
……勝負、さっさと決めるシュラ~ン!
「あ、申し訳ございません!……な、何も"裏勾陳"様の容姿が悪いという意味では決して……このアイシャ、心からの謝罪をさせていただきたく……」
「御託はもう良いシュラ~ン♪……アイシャ、今から無駄話はナシにするシュラ~ン♪」
「……承知したでございます」
アイシャ、そろそろ勝負を決めなきゃ私の体がマズいシュラ~ン♪
それこそ、せっかく認めたのに失血死とか目も当てられないシュラ~ンし……
……ってな訳で、こっからは私も本気で戦いに臨むとするシュラ~ン♪
「んじゃ……私史上、前例なき最高速度でブチ抜いてあげるシュラ~ン!」
ーダンッ!シュンシュンシュンシュンシュン!
「ひぃっ!?……もはや音速でございますよ!?」
私は自分に出せる最高速度、音速でアイシャの周りを縦横無尽に跳ね回ったシュラ~ン♪
……ついでに。
「ほれほれほれほれ~♪」
ードンッ!ドンッ!!ドンッ!ドンッ!
「ぐはっ!ぐふっ!あっ!だっ!」
直接当たらずとも、近くを通るだけで発生した衝撃波にアイシャを巻き込める……
もう、私を止める手立ては無に等しいシュラ~ン♪
……なんて、軽率に油断したつもりはなかったんシュラ~ンがね……
「ひひっ……死ねど死ねど死なない私に、この手の攻撃は無意味でございます……これなら親に傷つけられ続けた幼少期の方が地獄でございました……」
ーブンッ!ザシュッ!ブシャァァァァァ!
「ゴフッ!?」
なっ……
音速の私を……袈裟斬りに……したシュラ~ン?
そ、そんなの……あり得……な……い……
「ああ、調子に乗りかけたでございます……私は卑屈で臆病、調子に乗っては元も子もなくなってしまうのでございますから……」
「ゴフッ!……き、君……」
「ひっ!……さ、さあ……いい加減に私の使い魔になって欲しいでございます……それとも、まだ救いを拒むでございますか?」
「……う、受け入れる……シュラ~ン……」
嗚呼、この者はヤバいシュラ~ン……
今の主なんか比べ物にならない狂人……
その卑屈さも臆病さも本心であり、同時に冷酷さも内に秘める殺戮者……
「ひひっ……かつて暗殺者として不向きの烙印を押された私でも、やれるものでございますね……」
「ふ、不向きって……否、そうシュ……ラ……」
言われてみれば確かに。
殺戮者としては一流でも、こんな挙動不審な狂人じゃ暗殺者は務まらないシュラ~ンか。
「では、血の交換をするでございますよ」
「さ、さっさと……してくれないと……死ぬ……シュラ~ン……」
「あ~、死なないで欲しいでございます~」
「……ゴフッ!」
その後、私は何とかギリギリのところで一命を取り留めたシュラ~ンが……
その時アイシャから土下座で謝られ、今後の距離感のとり方が分からなくなったシュラ~ン……
ご読了ありがとうございます。
ただし、主へ不満持ってる式神はこれまでの2人だけです。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




