70.劣化コピーに引導を
なお、今回のそれは原典ハスターより遥かに弱いです。
(俯瞰視点)
本来、本江の【本の世界】は選択した対象と本江自身にのみ内容を追体験させる異能だった。
しかし、その影響でハスターを讃える詠唱の一部が完璧な形で唱えられてしまった結果……
「さ■、何■か■■も来■」
限りなく本物に近いハスター……らしき"何か"が顕現するに至ってしまった訳だ。
「ま、マズいですわ!」
「本江はん、何やっとるんや!」
「あ~、アレはヤバそうニャ」
「顕現させたら駄目な奴アル」
「おいおい、ありゃ茜さん案件だろ……」
真梨亜、寂子、魅怪、胡蘭、冥堂は即座に異常を察し、警戒を強めた。
そして、それは体育祭運営陣も同じで……
『おいおい、こりゃどうすりゃ良いんだァ?』
『どうしますメェ~?』
『ううむ、観客席や待機エリアは巻き込まれん設計になっておるが……カミラエル、続行を選ぶって認識で良いんじゃよな?』
3人の運営は警戒を強めるも、最終的な決定権はカミラエルへと委ねられた。
「ええ……これはあくまでも本江の異能、競走の範疇ザマス!……だから、誰も手は出すなザマス!」
対するカミラエルも、これを異常扱いされるのは体育祭の続行に関わると判断し、誰も手を出すなと告げた。
結果、他者からの横槍が入れられる事はなく、ハスターとカミラエルの戦闘が幕を開けるのだった……
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(金霊院 秀光視点)
いあ!いあ!はすたあ!
はすたあ くふあやく ぶるぐとむ
ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい!あい!はすたあ!
あばばばばばばばば!
『……いつまで、狂ってるつもりだい?』
「あばばばばばばばば!」
いあ!いあ!はすたあ!
はすたあ くふあやく ぶるぐとむ
ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい!あい!はすたあ!
あばばばばばばばば!
『カミラエルさんは必死に戦ってるよ?』
「あばばばば……くはっ!」
うっ……いあ!……何が……いあ!……
黙ってくれ!……はすたあ!……
ああもう……黙れって言ってるじゃないか!
『やあ、正気には戻ったかい?』
「………君は?」
『【聖騎士】の化身とでも思ってくれ』
「……………そうかい」
ああ、ようやく思考がクリアになって来た……
正気に戻れたのは、【聖騎士】の効果かな?
『その認識で大丈夫だよ』
「……それで、状況は?」
『ハスターに限りなく近い"何か"とカミラエルさんが戦ってるよ……言わずもがな、劣勢だけどね?』
「……悪夢かな?」
どうして外なる神……というか邪神が?
『あ、ハスターは正確に分類すると外なる神じゃなくて旧支配者の方だからね?……今回使用された本じゃ混同されちゃってたみたいだけど』
「ああ、そういえばそうだっけ……余計にマズくない?」
『うん、現時点で完全顕現はしてないけど、もししちゃったら本来より格の高い存在になっちゃうね』
「……うん、今すぐ助太刀に行かないと!」
明らかにカミラエルさん1人でどうこう出来る相手じゃない!
……早く目覚めるんだ、僕の体!
『へぇ~、助けに行くんだ♪』
「行くに決まってるよ!……カミラエルさんは、僕にとって影華さんの次に大事な人だ!」
『了解、それなら頑張ってね』
「言われなくてもそのつもりだよ!」
『ほ~、カミラエルさんは幸せ者だね~』
早く助けに行かないと……
……いくらカミラエルさんが不死身でも、相手は別格の存在なんだから……
「んっ……カミラエル……さん……はっ!」
よし、目覚められた!
それで状況はどうなっ……て……
「■?……■手■?」
「ゴフッ!……ふん、遅いザマスよ」
どうにか目覚めた僕の目に映ったのは、無数の触手に全身を貫かれたカミラエルさんの姿だった。
「だ、大丈夫かい!?」
「再生は可能ザマスよ!」
ーファサッ……
カミラエルさんは肉体を霧化させ、触手の拘束からどうにか逃れられた。
「■う……」
ーニョロニョロニョロ……ヒュンヒュンヒュン!
先端が尖った触手が何本か、こちらへ向かって来た。
……うん、防御1択だ。
「カミラエルさん、僕の後ろに!……【聖騎士】、【防魔の大盾】さ!」
ーギィィィィン!
「助かったザマス!……んじゃ、行くザマスね!」
ーファサッ……
僕が触手攻撃を受け切ると、カミラエルさんは再び霧化してハスターへと迫る。
「諦め■か……」
「絶対に諦めてやらんザマスよ!……【串刺し刑】の【万死の呪い】増し増しザマス!」
ーヒュンヒュンヒュン!……ブスブスブスッ!
「■■■■■■■■!?」
カミラエルさんは何やら大量の杭を生成して、それでハスターの触手を串刺しにした。
すると、ハスターは意外にも言葉に言い表せない程の絶叫を上げたんだ。
「ふん、杭1本刺さるのにつき1万回死ぬのと同じ痛みが伴うザマスよ!」
「■ぬ……舐■■な■……」
……やっぱりだ。
ハスターにしては弱過ぎる。
本物?のハスターと存在としては限りなく近いみたいだけど、実力は正に雲泥の差!
そもそも僕達以外だって見てるのに、結局廃人にはなってない……
……つまり、所詮は本江先輩の異能が誤作動を起こしただけの存在って事かな。
あの呪文だって、別にハスターを呼べるものじゃないらしいし。
「お、■の■……」
「カミラエルさん、決めるよ!……【悪殺の剣】!」
「ふん……協力してやるザマスよ!」
さて、これ以上長引かせても意味ないしね。
……さっさと葬っちゃおう!
「も■舐め■は終■■だ!」
ーニョロニョロニョロ……ヒュンヒュンヒュン!
ハスターは先程までとは比べ物にならない量の触手を出し、こちらを刺したり横薙ぎにしようとして来た。
なら、こちらも全力で相手するまでだよ!
「ふぅ……【聖騎士・具現化】!」
ーキラキラキラキラ……
僕は巨大な鎧騎士としての【聖騎士】を具現化させ、その剣を振るう。
「■っ……」
「食らうと良いさ!」
ードゴォォォォォン!
「■おぉぉぉ■■ぉぉ!?」
巨大な鎧騎士の剣を受け、ハスターは吹き飛ばされる。
……けど、これで終わりじゃない。
「カミラエルさん!」
「分かってるザマス!……まだ、終わってないザマスよな!」
「ぐ■ぉぉぉ■■■ぉぉぉ!」
ーうねうねうね……ドシィィィィィン!
「巨大化したか~……」
「……やってられないザマスよ……」
平気そうにしてるけど、既に精神は限界。
……肉体も余力は残しているけど、この時点で結構消耗も激しい。
加えて、これでもハスターとしては超絶劣化品……
もう嫌になっちゃうよ。
「貴■ら、不■だぁぁぁ■■■■■!」
「ふぅ……カミラエルさん、僕が全力で斬るからトドメをよろしく頼むよ」
「ふん、しょうがないザマスね!」
本当に本江先輩は何を顕現させかけたんだか……
ハスターを連想させる容姿をしつつも、ハスターと比べると小物過ぎる上に弱過ぎる"何か"。
……ああ、頭がガンガン痛い……
「本の著者から外なる神と間違えられた旧支配者、その劣化コピーに引導を渡してあげるよ!……消え失せろ!」
ーブンッ!ドゴォォォォォォォォン!
「■ぬ■■■■■ぅぅ■ぅぅ!」
僕の声に合わせ、巨大鎧騎士が巨大化したハスターを縦に両断する。
けど、これで終わりじゃない。
「その存在ごと吸い取ってやるザマス!……【夢血吸収】ザマス!」
ーガブッ!チュ~チュ~チュ~……
カミラエルさんが両断されたハスターへ噛みつき、何かを吸い始めたんだ。
「ぬ■っ!?……や、■め■、■在が■■失せ■!」
ーチュ~チュ~チュ~
「もう、君は終わりさ」
「認■■!認■て■■■■■■■……」
ーパラパラパラ……
そうしてカミラエルさんに何もかも吸われ尽くし、ハスターの劣化コピーは消滅した。
……あ~、無駄に疲れた。
「ぷはっ!……うげぇ、マズかったザマス……」
「カミラエルさん、お疲れさま」
さて、後は障害物競走でゴールするだけかな。
「あばばばばばばばば!」
「あ、本江先輩はまだ正気に戻らないか~」
「そいつはもう無視するザマス!……ったく、やらかした責任として私達がゴールするまで発狂しとけザマス!」
……うん、そうだね……
とまあ、そうして僕達はゴールへ向けて進み始め、最終的にゴールした。
ちなみにカミラエルさんが1位で僕が2位。
いや~、やっぱ僕の方が消耗も激しかったのが仇になっちゃったよ。
……にしても、それはそれとしてあの邪神の劣化コピーは本当に何だったんだろうね……
ご読了ありがとうございます。
書いてて思った、私は何を書いてるんだ?と (※でも書いた) 。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




