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64.玉入れは端的に

今回の休みはアイデアが湧かなかったのでこれだけです。

(禍津 明視点)


俺が2年生の待機エリアへ戻ってからしばらくして……


『さ~て、現時点で各学年が獲得した持ち点は1年生が14点、2年生が18点、3年生が22点となっておるのじゃ!』


『まだどう転ぶか分からねぇ点差だなァ』


『そうですメェ~……それはそうと、次の種目である玉入れの説明をお願いしますメェ~』


次の種目は玉入れ。


とはいえ、普通の玉入れじゃねぇ事は確かだ。


『じゃあ説明するのじゃ!……この玉入れじゃが、基本的に3学年の玉は1年生が赤、2年生が青、3年生が黄色となっておる!』


『それをカゴに入れるんだよなァ』


『そうなんじゃが、ここで2つ注意すべき要点があるのじゃ!……まず1つ目じゃが、玉入れの玉は3学年分がごちゃ混ぜの状態で地面にばらまかれておるんじゃよ』


ほう?


混ざりまくった3色の玉から正確に自分の学年の玉を回収する精密さと正確さが求められると。


まあ、このぐらいなら……


『なお、違う学年の玉がカゴに入っておった場合は別学年の玉1個につきマイナス1個換算されるのじゃ!』


「……え、やけに面倒なルールだな……」


……えぇ……


要するに、違う学年の玉が混ざってる分だけ自学年の玉がマイナスされると……


計算が面倒になりそうだ。


『次に2つ目じゃが、異能の使用は玉を入れる場合にのみ認められる……つまり、徒競走とは違い直接的な妨害は認められておらんのじゃ!』


『ま、妥当だなァ……』


なるほど、異能の使用は玉を入れる場合にのみ許可されて直接的な妨害は禁止と……


いやまあ、徒競走と違って集団競技で収拾がつかなくなるからだろうけど……


『獲得点数は1位が30点、2位が20点、3位が10点となっておる!』


『1年の奴等も逆転するならここだぞォ!』


う~ん、これはマズい。


今のところ2位の俺達2年生もビリになる可能性があるんだよな……


「……僕としては、玉入れが捨て試合になる可能性も視野に入れないと……ここから勝ちを取れる種目は……」


「秀光も大変そうだな……」


秀光は纏め役をやってるつもりだからか、だいぶ責任を感じてるな……


よし、こっから勝ち上がってやろうぜ!



……なんて、考えたのは間違いだった。


「あ~もう、これ1年の玉ですわ~!」


「あかん!……ウチの異能で玉を入れようにも、別学年のも混ざってまうんは自明の理や!」


「これどうするんでござる~!」


「うぅっ……【魔術百科(マジックブック)】、【ウィンド】!」


「あ~っ!……風魔法を使うのは良いんすけど、他学年の玉も混ざっちゃってるっすよ~!」


「イライラするザマス~!」


「……こ、これは酷い……」


何だかんだで始まった3学年合同の玉入れ。


しかし、そこに広がっていたのは混ざりに混ざった3色の玉をどうにかこうにか選別しなければならねぇという地獄みてぇな光景だった。


「あはは……ボク達は地道に挑戦するしかないね」


「3年の先輩方もあの有り様……僕としては、どう反応すべきか困っちゃうね……」


現状、俺達2年生や1年生だけでなく、3年生すら苦労していた。


……けど、3年生や2年生はこれまでもやってる筈だよな?


『ほんと、今年は大変そうだなァ』


『まあ、これまでじゃと玉は色ごとに分けて配置しておったからのう……じゃが、流石に今回からは難易度も上げる事にしたんじゃよ!』


………なるほど。


色が混ぜられたのは今回からか。


道理で2年生と3年生が苦労してる訳だ。


……が、そんな中でただ1人だけ、勝利への活路を見出だす奴が居た。


「これをそうしてああして……うん、脳内設計の方はこれでバッチリなのです!」


「ん?」


「という訳で【兵器錬成(ウェポン・クラフト)】、【量産型自動色識別式玉入れロボット】10機投入なのです!」


「………………は?」


そいつは2人居る俺の妹の片割れにして禍津家で最も我が道を進み続ける兵器馬鹿、禍津 影華であった。


……うん、まあ驚きはしても意外ではない。


「さ、流石は影華ザマス!」


「本当に、僕を驚かせてくれるね……」


カミラエルと秀光が好意的に反応する中、影華により10機のロボットが錬成された。


……で、そっからの1年生による追い上げはヤバかった。


ーパシッ!……ポイッ!


「更に10機投入なのです!」


ーパシッ!ポイッ!


「……あ、これ影華1人で充分ですね……」


「これ、もうあの人1人だけで良くないっすか?」


正確に1年生の玉である赤色の玉を回収し、完璧な軌道でカゴへと玉を投げ入れ続ける影華謹製のロボット達。


あ、光華が遠い目をし始めた。


それに写美も何処か他人みたいな話し方をしてるし……


「更に10機投入なのです!」


ーパシッ!ポイッ!


「……あ、これあかんわ……」


「追い上げられてますわね……」


「……あいつ、許せんでござる!」


あ~あ、影華が3年生から目をつけられてやがる。


……ってか、前々から気になってたんだが影華って何を代償に兵器を作ってんだろうな?


脂肪やら体力やらではなさそうだし……


……何気に謎だ。


「……とにかく、せめて3年生には負けねぇ様にしねぇと駄目だな……」


「いやね~、こんな事を言うのは駄目だって分かるんだけど……どうにもボクが見る限り地力の差で少し不利になってるかな~……」


「………そ、そうか……」


アヤノの言葉通り、3年生とも地力の差があり過ぎる。


……こりゃマズいかもな。


「ふぅ……ま、最後まで諦めず頑張るぞ!」


「そうだね、明!」


「明君もアヤノ君も、こんな時に縁起の悪い事を言わないでくれないかな!?」


とまあ、秀光に怒られながらも俺達は頑張った。


頑張ったんだが……



『そこまでですメェ~!』


教頭先生により終了の合図が上がり、玉の集計へ移る。


そんで、各々の玉を集計し終えると……


『え~っと、そういう訳で……1位は1年生で90個、2位は3年生で38個、3位は2年生で30個でしたメェ~』


『1年生の奴等、中盤の時点で自学年の玉を全部入れ切って途中から暇してたっけなァ……』


『本当に影華は規格外じゃのう……』


結果は惨敗。


影華が錬成したロボットによって怒涛の追い上げを見せた1年生だけでなく、単純な地力の差で3年生にすら惜敗を決した。


「……ねぇ明、これ大丈夫そ?」


「どうだろな……」


「ああマズい、僕が上手く出来なかったから……」


現状、これで各学年の点数は1年生が44点、2年生が28点、3年生が42点という形になった。


悔しいが、これはさっきまで2位だった2年生がビリへ転落した事を意味している。


「……ま、まだ次があるだろ?」


「そ、そうだね……」


俺は何とか慰めの言葉を発したが、どうにも嫌な予感というか不安は拭えなかった。


……ほんと、やる気なかった筈なんだがなぁ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(金村 冥堂視点)


玉入れ終了直後……


「う、うちの娘(こ)天才過ぎニャいか!?」


「今更アルか?」


「いや、分かってはいた筈ニャけど……いざ目にすると言いたくもニャるニャ!」


「俺っちを挟んで話さないでくれ、ベイビ~……」


ほんと、勘弁してくれ……


時間が経つ程に胃がキリキリすんだよマジで……


「それにしても、影華はニャにを代償に兵器を錬成してるんだろニャ~」


「え、お前も知らないんアルか?」


「基本的に物体生成系の異能は体ニャい脂肪やら周囲の物体やら特殊な力場やらを原料にするもんニャけど、影華はその全てに合致しニャいんだニャ」


「……え、何気に怖い話アルな!」


えぇ……


もう面倒事には関わりたくねぇよ……


「ニャニャニャ……ほんと、影華はニャんニャんニャ?」


「何でも良いアルよ……影華が何だろうと、私の親友に変わりはないアルし……」


「……ミャ~だって、影華がニャんだろうと娘に変わりはニャいニャ!」


「なら、気にする必要もないアルよ」


「……立場的にそうも行かニャいんニャ……」


あ~もう、勝手にしろ!


俺っちは耳を塞ぎ、虚空を見つめ続けた。


……これ以上、ストレスの種を聞かないために。

ご読了ありがとうございます。


影華の異能は明が思う以上にチート級です。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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