63.秀光の恋心
全く今回の話に関係ありませんが、"異能の夜明け"幹部勢の思想スタンスをこのスペースで開示します。
No.0→話は通じるし無闇に被害は増やさないが、最終目標は割かし過激思想 (一応穏健派)。
No.1→No.0に懐いてるだけで、これといった思想はない (穏健派)。
No.2→No.0に忠誠を誓っている (穏健派)。
No.3→組織に育てられたから所属してただけ (脱退済・元穏健派)。
No.4→組織を都合の良い隠れ蓑と思ってる (過激派)。
No.5→No.4に仕えている (過激派)。
No.6→組織を都合の良い隠れ蓑と思ってる (穏健派寄りの中立)。
No.7→組織を自分がのし上がるための踏み台と思ってる (過激派)。
No.8→組織を都合の良い隠れ蓑だと思ってる (過激派)。
No.9→組織を都合の良い隠れ蓑だと思ってた (脱退済・元穏健派寄りの中立)。
……とまあ、こんな感じなので各々の見てる方向が一致していません。
(金村 冥堂視点)
徒競走の最終レース直後。
「も、本江がビリってマジかニャ……」
「1位でゴールとか、やっぱり影華は最高アルな~!」
「……ようやく空気が変わったか、ベイビ~……」
レースの結果を受け、俺っちの両隣に座る2人は思い思いの反応をしていた。
……ようやく場の空気が変わってくれたから良かったものの、本っ当に胃が痛かったぜ。
「み、ミャ~の子供達は本当に凄いニャ~……いや、今回は徒競走という速度勝負だったのが功を奏したかニャ?」
「何でも良いアルよ!……私は影華の活躍が見れるだけで満足アルからな!」
「……ここまで見ると、胡蘭は本当に影華の友達として来ただけみたいニャね」
「最初からそう言ってるアルよな?」
……さ~て、俺っちはどうするべきだ?
現状、ここから席を替える事も出来ず、ただただ険しい空気の中で胃の辺りを優しく擦る事しか出来ない。
胃薬を飲んで来るべきだったぜ。
とか思ってたら……
「……にしても、どうして影華はモテるんだニャ?」
「あ?……それは影華を侮辱してるアルか?」
……禍津 魅怪が、こりゃまた口喧嘩の火種になりそうな事を口走りやがった。
勘弁してくれよ!
「違うニャ違うニャ!……こればっかりは単純な疑問でしかニャいニャ!」
「……私は影華のパンジャン捌きに惚れたアルし、当人から話を聞いてる限りだとカミラエルも似た様な理由だとは思うアルよ?」
「ニャ?……ぱ、パンジャン捌きっていったいどういう意味だニャ?」
「……説明はしないアル」
あ~、うん。
まあ訳が分からん理由だな……
俺っちじゃ理解すら不可能だろう。
けどまあ、本人達にしか分からねぇ理屈もあるって事は何となく伝わって来る。
「そうかニャ……じゃあ、女性陣2人はそれとしても秀光が惚れた理由はニャんだニャ?」
「……流石の私も秀光とやらをそこまで知らないアルから、こればっかりは何とも言えないアル」
「そうかニャ……」
秀光……
見るからに色んな能力が優れたエリートで、同時に努力も欠かしてなさそうな優男。
つっても、俺っちには分かる。
あれはあれで、苦労しそうだ。
そんで、その末に影華に惚れたんなら……
「……俺っちが思うに秀光は……いや、やっぱ何でもねぇぜ、ベイビ~……」
「ニャニャ!?」
「そこまで言ったなら言えアル!」
「いんや、今回ばかりは俺っちが推測を垂れるのすら野暮ってもんだぜ、ベイビ~……」
……言うのすら、野暮ってもんだ。
ってか、そもそも俺っちのも推測も穴だらけだろうよ。
何せ、俺っち自身が秀光の内心や事情をあんまり知らねぇんでな。
「……ま、影華が変にモテてる理由ニャんて気にしても仕方のニャい話題ではあるニャね」
「その言い方は気になるアルが、こういうのは理屈だけじゃないもんアルからな」
「納得したなら良いってもんだ、ベイビ~!」
………ハァ。
また逃げる機会には巡り会えなかったな~。
……俺っち、いつまでこの地獄を耐えりゃ良いんだか。
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(金霊院 秀光視点)
「……影華さん、いくらスピード勝負だからって本江先輩と明君相手に余裕で勝っちゃうとはね……」
僕は2年生の待機エリアで、そう呟いていた。
……加えて僕は、自分の学年が2位だったのに影華さんが1位の座を得た事を喜んでもいた。
ははは、本当に僕は駄目だな~。
「ねぇ、影華さん……君は今の僕を、どう評価してくれるのかな……」
無自覚に、僕はそう口にしていた……
思えば、これまでの人生で僕は常に他者から特別視されてばかりだった。
血筋、性別、才能、それに加えて異能まで……
僕を構成する全てが特別で、僕はそれに見合う男となるべく努力も重ねた。
でも……努力を重ねて才能を伸ばす度に、僕を見る目は次第に僕自身を見なくなった。
期待、羨望、嫉妬、憎悪、畏怖、崇拝……
そんな風に僕を特別視する者の視線は、どんどん僕を構成する要素だけを見る様になった。
当然、ここに入学した後も同じだったさ。
女子達はおろか、同じ男子まで……
僕を自分達とは違うものとして特別視した。
僕に惚れてない女子達ですら、僕を他の男子とは別格の存在として扱って来た程だ。
……けれども僕が2年生へ上がった直後、僕は影華さんと出会った。
彼女と初めて会った時、僕は内心で驚いていた。
何せ、彼女は僕を全く特別視していなかったから。
他の男性……否、他の人間と同じ種類の生命体としか見ていなかったんだ。
勿論、本人がそう言った訳じゃない。
それでも、確かに僕を見る影華さんの目から向けられた視線は氷点下を思わせるぐらい冷めていた。
……まるで、綺麗な雑貨を流し見ているかの如く。
「ま、それで一目惚れしたとか自分でもチョロい自覚はあるけどさ……僕にしてみれば、初めての事だったんだよ」
「ん~?……秀光、今何か言った?」
「別に、何でもないよ……そう言うアヤノ君は、明君の所へ行かなくて良いのかい?」
「良いの良いの!……こういう時こそ、ボクは明の恋人としてどっしり座して待たないとね!」
アヤノ君、本当に逞しくなったね~。
……やっぱり、恋をすると人って変われるのかな?
「あ、もしかしなくてもボクが恋をして逞しくなったとか思ってる感じ?」
「えっ………顔に出てたかい?」
「まあまあ分かりやすく顔に出てたかな……後、ボクは前々からふてぶてしくはあったからね?」
「あ~、それもそっか……」
ほんと、僕も将来的には腹芸が出来る様にならないといけないな~……
今のままじゃ、どんなに策を巡らしても全て相手に筒抜けだ。
「……あ、明が戻って来た!」
「アヤノ君、流石に迎えに行ってあげたら?」
「う~ん……じゃ、お言葉に甘えて~♥️!」
ータッタッタ……
「……だとしても、今の方が楽しそうじゃないか」
確かにアヤノ君は前々からふてぶてしかったけど、明らかに今のアヤノ君の方が人生を楽しんでいると断言出来る。
……僕としても、嬉しい限りさ。
「明~♥️!」
「アヤノ!?……ったく、盛大な出迎えだな」
うんうん、明もニヤケ顔が隠せてないよ?
ま、教えてあげないけど。
「……僕も、いつかは影華さんと……」
なんて、言ったところで仕方のない話か。
……まだ付き合えてないとはいえ、影華さんは僕にとって特別な女性だ。
もっとも、影華さんの方は僕を良い音で鳴る頑丈な玩具とでも思っている様子だけど。
……うん、心が折れそうだよ。
「でもまあ……僕を取り巻く環境だって変わり続けてる」
僕を取り巻く環境……
例えば、最近は影華さん以外にも気になる女性ができそうな気配があるとかね?
下手したら、更にもう1人増えるかも。
……こればっかりは誰にも言わず心の奥底にしまっておこうと思ってるけど。
「これまでだって、僕を純粋な好敵手として見ようとして来る相手は何人も居たさ。……でも、彼女はこれまでと何かが違うんだよね……」
まあ、こんな事を考えていても仕方ない。
……今は、どうにか3年生から勝利をもぎ取る道筋を整えないとね……
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(俯瞰視点)
今から描かれるのは、ほんの少しだけ未来の風景。
「バンバン刷るっすよ~!」
体育祭が終わった後、新聞部が刷った学校新聞。
その記事の1つには、こんな見出しが付いていた。
《金霊院 秀光、まさかの第1夫人 (ほぼ内定済み) に加えて第2夫人を指名!?》
……これが何を意味するか、それが分かるのは少し先のお話である……
ご読了ありがとうございます。
秀光の想いが向かう先は……
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




