61.徒競走の裏で
第5走終了までカットします。
(金村 冥堂視点)
徒競走、その第1走の終了直後……
「影華、凄い奴等に好かれてるニャ~……」
「また影華が好きそうな手段を……私の好敵手達はきっちりしてるアルな~」
「……勘弁してくれよ、ベイビ~……」
観客席に居た俺っちは、凄い2人に挟まれてた。
何せ右には胡蘭、左には禍津 魅怪が座るという地獄絵図。
いや、どうしてこうなった!?
「ニャニャ?……その口振り、お前も影華に惚れてるのかニャ!?」
「その通りアル!」
「……マジかニャ~……」
「いやはや、それにしても影華がお前の娘だったとは驚きアルよ!」
や、やべぇ……
2人が俺っちを挟んで会話し始めちまった。
「あ、ミャ~を覚えてくれてたんかニャ?」
「当然アル!……私、記憶力だけは良いんアルよ」
「そ、そうニャんか……」
「ん?……それだけアルか?」
クソが。
……どう聞いても他愛もない話がなされてやがる。
普通、テロ組織の幹部と国直属のスパイが出くわしたら、もっと違う事を話すだろ!
「それだけってニャんニャ?」
「いや、娘はやらんとか言わんアルか?」
「既に金霊院家の男子と吸血鬼軍団のトップに惚れられてる影華に関しては、ミャ~もそんな事を言えニャいニャ」
「……大変そうアルな」
「まったくだニャ!」
うおぉ……
俺っちを挟んで話すなや。
……うん、席を替わろうか。
「べ、ベイビ~達……席、替わるぜ?」
「あ、結構だニャ」
「結構アル」
「……Oh、ベイビ~……」
席替え要求、拒否されちまったよ。
……ああ、お互いの立場的に間に誰かしら居て欲しい訳か。
これが親父なら上手くいなしてたんだろうし、お袋なら気にも留めなかったんだろうな~。
……風斗の姉貴はストレスMAXになってそうだが。
「それにしても、2人とも本当に凄かったニャ~」
「そうアルな~……さてはスカウト狙ってるアルか?」
「ノーコメントだニャ~♪」
「それ答え言ってるも同然アルよ……」
……う~ん。
和やかな様な、バチバチしてる様な……
何とも言えねぇ距離感だな……
「ベイビ~達、意外と話せるんだな?……腐っても敵対関係だろ?」
「そりゃ、かつての戦友だからニャ~♪」
「私も同じアル……そもそも、今の組織だって隠れ蓑に過ぎないアルし」
「え~、ニャらミャ~の組織に転職とかどうニャ?」
「う~ん、悩ましいアルな~」
おいおい、俺っちを挟んで引き抜き交渉が始まっちまったよ!
「実のところ、将来的には影華を副室長にする予定もあるんだニャ!」
「……それ、本人には言ってないアルよな?」
「うぐっ……それはそうニャけど……」
「まだ確定してない事柄を嬉々として引き抜きの交渉材料にするなアル!」
うおぉぉぉぉぉぉぉ!
引き抜き交渉、早くも躓いてんぞ!
「うぅ~……普段ニャらもっと上手くやれるんニャけど、今はママモードだから頭が回らニャいニャ~」
「ハァ……本っ当にお前は昔から頭を使うのが下手っぴアルな?」
「アレコレ推理するより、実力行使の方が楽だニャ」
「……これが政界を裏から操る妖怪とまで噂されてる奴の本性アルか……」
……俺っちはマジで何を聞かされてんだ?
誰か助けてくれねぇもんか?
「そうこう言ってる間に第5走まで終わったみたいニャけど、やっぱり目ぼしいのは居ニャいニャ~」
「影華達は出ないアルな?」
「……まだ温存してるって感じかニャ?」
「影華を応援しに来たのに、未だにその勇姿を見れないのはどうなってるアルよ!」
……す、凄いなぁ。
初っ端の衝撃がでか過ぎて、後続の生徒達が地味に見えてる。
……秀光とカミラエルとかいったか?
何してくれてんだ!
「誰か、この空気どうにかしろや、ベイビ~……」
俺っちは、静かにそう呟く。
……ストレスで悲鳴を上げ始めた胃の辺りを、そっと擦りながら。
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(俯瞰視点)
3年生の待機エリアにて……
「……今のところ、何とも言えませんわね……」
険しい顔をした金霊院 真梨亜が、そう呟いていた。
というのも、徒競走が第5走までが終了した現在。
1位が5点、2位が3点、3位が1点という配点の中、それぞれの点数は1年生が9点、2年生が15点、3年生が21点という状況となっていたからだ。
当然、パッと見は順調だ。
……しかし、それがいけなかった。
「第1走以外、3年生が1位……これはあまりにも一方的過ぎるでござる」
「観客からしたら3年が強過ぎて面白味が無さ過ぎるからな~……何より、点差を広げ過ぎたら後で逆転のチャンスが用意されかねへんで!」
真梨亜の言葉に、木葉院 本江と土壺院 寂子が同意を返す。
これは体育祭。
あまりにも一方的過ぎる勝負は面白くない上に、後で逆転のチャンスとして特大点数競技を用意されかねない。
……だからこそ、この3人は危機感を抱いていたのだ。
「……次は、某が行くでござる」
「本江、本気で言っとるん?」
「本気でござる!……というか向こうも馬鹿じゃないでござるから、流石に某が相手ともなれば温存してる手札だって切る筈でござる!」
こうして次の走者は本江となることが急遽決定した。
「次が最終レース……上手い具合に場を温めて欲しいところですわね」
「期待してるで、本江はん!」
「分かってるでござる!……さて、1年と2年へ伝達するでござるよ!」
そうして、最終レースにおける3年の走者が本江となる事が、1年と2年へ伝達されたのだった……
直後、2年生の待機エリアにて……
「え、最終レースの3年走者が本江先輩になったって言ったかい!?……マズい、僕達が不甲斐ないせいで向こうから切り札を切れって催促来てるよ……」
3年生からの通達を聞き、秀光は焦った。
現状、2年生は5つのレース全てで2位の座を得ていた。
……それでも、3年生が第1走以外で1位の座に座れている時点で不甲斐ないとしか言えないのは事実だった。
「……明君、後は頼んだよ!」
「は?……俺?」
「うん、君だ!」
「すぅ~……マジで言ってんのか?」
悩んだ秀光が切った手札は、まさかの明だった。
「大丈夫、本江先輩の異能は別に素早さ特化って訳じゃないから勝ち目はあるよ!……ただ忍の真似事してた家系だから、身体能力が馬鹿みたいに優れてるけどね?」
「……そういうタイプかよ」
「後、異能は最悪耳を塞げば何とかなるからさ!」
「耳栓やイヤホンの着用はルールで禁止されてるが?」
そうして秀光から多生の忠告は受けつつも、あまり乗り気でなかった筈の明が最終レースにおける2年生の走者となったのだった……
同時刻、1年生の待機エリアにて……
「3年生からは木葉院 本江先輩……つまり体育祭の開幕直前に影華が揉めてた方が走者として、最終レースとなる第6走に出るらしいのですが……」
3年生からの伝達事項を、粛々と伝える光華。
そして、本江の素性を聞き反応する者が1人。
「最終レース、私が出るのです!」
その人物とは、まさかの影華だった。
「……理由は察しますが、どうして影華が?」
「あの3年生、鼻っ柱をへし折ってやらないと気が済まないのです!」
「……浅い因縁ですね」
「浅くても因縁なのです!」
影華は揉めた相手である本江の鼻っ柱をへし折りたいと考えており、今回の勝負はまさにその絶好の機会であった。
「ハァ……現在、1年生は第1走だけ1位を獲り、それ以降の4レースはビリでした」
「結果、絶賛最下位なのです」
「ええ……お兄様の居る2年生ならば優勝しても祝福出来ますが、3年生は論外です。……ここで1位を獲り、逆転への狼煙としますよ!」
「分かったのです!」
1位を望む光華の言葉に、受諾の言葉を返す影華。
……こうして最終レースにおける1年生の走者は影華となり、最終レースの走者は出揃うのだった……
ご読了ありがとうございます。
ほんと、もっと文才が欲しい……
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




