第11話
セックスなんてこんなものかと思った。
あの日崩れていったのは、半端な好奇心と欲にまみれた塔だったのかもしれない。
ドラマとか漫画で言われる「次の日大人になった気分」は味わえなかったし、なれない。
あたしの中で何かが終わって、これ以上は意味なんてないということをもう知ってしまった。片山はあたしを選んだりはきっとしない。
一人放り出されたみたいになる。
あれ以来片山とはメールも、話もしていない。目も合わさない。
向こうからもなにもない。
このまま終わってしまうんだろうか?それでもいい。今はどうだっていい。
校門前の渡り廊下を一人歩いていると、門に誰か立っているのが見えた。
S学園の彼女だ。と思ったとたん向こうもあたしの存在に気づいたようでつかつかとこちらに向かってきた。そして突然胸ぐらをつかまれた。
「あんた直樹とヤったんだって?」
不自然なくらいストレートなロングヘアの毛先が顔に突き刺さりそうになった。
ぐっと近づいたその顔は怒りで青ざめている。
釣り合う彼女ってこの人のようなのを言うんだろう。
くっきりとした二重で目も大きいし、鼻もくちびるも小さくて上品。
近くで見るとお化粧もちゃんとされててやっぱり美人だわ、と場違いな事を思った。
この状況でこんな事を言ったらどうなるかは分かっていたけどあたしは言った。
「あんたの彼氏あたしにちょうだい」
青い顔にカッと血が上るのを見た気がした。
白い手が勢いよくとんできて、あたしの頬をバシッと叩く音がろうかに響いた。
予想通りの反応にあたしは嘲笑し、彼女を見上げた。




