東京の刺身
学生の頃福岡出身のやつが居酒屋などに行って
「東京で刺身なんてまずくて食べられない」と言っていた。
福岡に移住した今、なるほどやつが言いたかったことが分らなくもない。スーパーに普通に並んでいる刺身ですら、そのレベルはとんでもなく高いのだ。移住前に良く行っていた、東京のスーパーにある鮮魚コーナーのレベルとは明らかに違う。それはそうだと思う。
但しそこには大きな条件が抜けている。それは……
『同じ金額を出して食べるなら』だ。
スーパーでの話は価格も重要だ。福岡なら地場でとれたものが多くて、それを周辺地域で消費しているのだら、それは安いし鮮度もいい。しかしそれは庶民レベルの話であって、魚に限らず食材で最高と呼ばれるものは何でも東京に集まってくる。東京のスーパーで売られたり安い居酒屋出てくる刺身は、高級料亭やすし店で出てくるものとは違うという事だ。近年では輸送技術や冷凍技術も上がっているので、スーパーでも昔とは違うのかもしれないけども、基本的には同じ話になるだろう。
つまり日本は資本主義社会なので、富裕層であればどこにいても旨いものが食べられるという事だ。富裕層のラインをどこに置くかだが、世帯年収1200~1500万円ぐらいあれば普段から銀座で寿司も食べられるかもしれない。しかしその層は全体の6~7%しかいない。いや、その程度の収入ではやはり銀座は年に数度が限界かもしれない。普段は行っても近所のすし屋だろう。とにかくその他の人々には、やはり東京ではうまい刺身は食べられないという事になる。
先ほどのように富裕層が6~7%であるならその他は庶民層だ。9割以上が庶民だ。その中には魚どころか普段の食事ですらままならない貧困層もいるだろう。日本の文化というものは奈良・平安の頃より一部の富裕層が先導してきたのかもしれない。しかし実際に日本人の多くは庶民であり、その感覚こそが日本の社会通念と呼ばれるべきものである。
だからやはり福岡で食べる刺身は東京のそれよりうまいのである。そんなの不公平だと思う人がいるかもしれない。で、あれば私と同じく移住してみてはどうだろうかとお勧めしたくなる。




