もふもふもこもこ
···目が覚めた。
私はいつの間にか寝ていたみたい。
にいにに抱っこされ寝ている内にお店に着いたらしい。
「どうした?うなされてたみたいだけど。」
あやすように背中をポンポンされる。
あ、にいに、それ逆効果。確かに安心するけど、ほっとしたら涙が、堪えてた涙がぁ!
「ふぇっ、う、うぇぇぇん!」
突然の号泣に驚くこともなく私をあやすにいに。
いや、こっち来てから泣きすぎじゃね?私。
なんか、体の年齢に心の年齢が引きずられてるよ···。
「怖い夢でも見たか?···大丈夫、大丈夫。にいにが絶対にどんなものからも守ってやるからな。」
「······ぐすっ。····にいに、しゅき···」
思わず口をついて出てしまったその言葉は、きっと悪夢のせいだと思う。
「ん、俺もアイリーが大好きだぞ。」
キラキラ笑顔が眩しいです、お兄様。
全く不思議がりもせずちゃんと言葉を返してくれるにいには素敵お兄様でした。
お次の買い物は私の生活雑貨。
子供がターゲットの可愛らしい小さな雑貨屋さん。
「さて、じゃあ色々みてまわってくるから、何か欲しいものがあったら言うんだよ?」
「あーい!」
お婆様のお言葉通り、しばらく店内を見てまわる。
すると奥の棚の方にくまの人形があった。
白いタオル生地が使われているのか、モコモコした感触。首から鍵穴のペンダントが下がっているその人形は、両手で抱き締めるのにちょうど良いサイズで、ほのかに柔軟剤の臭いがする。
可愛い····、けど高そう。言ってみるだけ言ってみようかな?あぁ、でも······。
しばらく人形のくりくりお目目とにらめっこしていると···。
お婆様が気づいたのかこちらに近づいてくる。
「アイリー、欲しいものがあったら言ってごらん?ね?」
私の腕の中にある、くまの人形を見ながら、にっこり笑顔で聞いてくるお婆様。
有無を言わさぬその笑顔に顔が引きつるのを自覚しながら、仕方なく口を開く。
「····この白いくまちゃんが欲しいでしゅ······。」
「これかい?ちょっと待ってねぇ。」
お婆様はそう言うと他の商品と一緒に白いくまを奥のレジまで歩いていった。
え、買っちゃうの?即決しちゃうの?
何だかくまと離れる事が嫌でぽてぽて着いていくと、値札を取ったあのくまを渡された。
「····ふぇ?」
「はい、これ。これが欲しかったんだろう?」
「·········いいにょ?」
「勿論だとも。そのために買ったんだ。」
「·····ありがとうごじゃーましゅ!!」
ふおぉぉぉぉ!念願のもこもこもふもふ人形GET!!
感激のあまりぎゅっと抱き締めていると。
「こんにちわ。くまさん、見付けてくれたのは君かな?」
ふわふわ癒し系美女が私に話しかけてきました。
「おねぇしゃんだぁれ?みちゅける·····?」
「私はエマ。この店の店長なの。私の店ではね、置いてあるものを“買う”とは言わないで、“見つける”って言うの。その方が素敵でしょう?」
うふふ、とお上品に笑う姿はまさに女神です、お姉さま!
そして更にエマさんの説明は続く。
「そのくまさん、大切にしてあげてね。きっと君にとって良いことがあるから。」
意味深な笑みを浮かべるエマさん。
「さあさ、ヘレンさんが先に行っちゃいましたよ?お行きなさい。」
???なんだろう。まぁ、いっか。とりあえず、大事にしよう。
お会計が終わったのか、お婆様が荷物を持って店の出口に向かう。
ちなみに私はにいにの腕の中againです。
そのまま、店の外へ。
お見送りしてくれるエマさんに手を振り返しながら、もう一度腕の中のくまさんをぎゅっと抱き締めた。
東京では桜が開花しましたね~。
私のところではまだ開花しておりません(笑)
開花が待ち遠しいです!




