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Who am I?

途中シリアス入ります。

「さぁ、最初はあの店に行こうねぇ。」


お婆様が指差したその先には······


『マラキア洋服店』


とだけ書かれた看板と綺麗な洋服を着たマネキンで飾られたショーウィンドウのシンプルなお店。


「お洋服~?」


「そうだよ。まずは着るものを買わないとねぇ。明日も同じ服は嫌だろう?」


嫌です!2日連続で着たのに、更にもう1日はまずい!!て事で早速店内へれっつらごー!!


カランカラン


(オレンジ)の光に照らされた店の中には様々な女性用の洋服がずらりと並べられている。

その中をお婆様はずんずん進んでいって、顔馴染みだったらしい一人の店員さんに声をかけた。


「こんにちは。今日はどうされました?」


「こんにちは。この子の服と靴、下着を買いに来たんだよ。あるかい?」


「えぇ、勿論。ウチは女性用の服なら何でも扱ってますから。それにしてもその子、どうしたんです?見たところ、お孫さんくらいの歳にみえますけど、お孫さん、いらっしゃいませんでしたよね?」


すごいスピードで手を動かし、服を選別しながらリズム良く会話する店員さん。選別した服を見ながら買うものを選び、なおかつ店員さんの質問に答えるお婆様。


ハイスペック過ぎやしないか?この人達。常人のスピードじゃあないぞ(汗)


二人の作業の早さに驚いている内に会話が終わったらしく、お婆様がカウンターに洋服を広げた。

どうやらどれが良いか選んでほしいらしい。


···この中から!?ざっと20着は超えてるけど!?


「ワンピースはこれくらいかねぇ。スカートやトップスが欲しければこの棚にあるからねぇ。」


えぇ···。どうしよう。特に好みなんて無いし、正直どれでも良いです···。くまったくまったなぁ。


並べられた洋服の前でうろうろとさ迷っていると


《アイリーン、ボクが手伝ってあげるよ。》


ふと耳元から優しい声が聞こえてきた。

と同時に店の中を柔らかなそよ風が優しく吹き渡った。


聞き覚えのある声。少年のような、少女のようなその声の主は····


「リト···?」


肯定を示すかのように風が私を包み込んだ後、たくさんあるワンピースの中から1つ···アイスグリーンのふわっとしたワンピースが宙を舞った後、私の手の中にすとんと収まった。

その光景を見ていなかったらしいにいにとお婆様がそれで良いのかと聞いてきた。


さて、どうする?

▶これが良い

 うーん···もうちょっと待って···。


「これでお願いしみゃしゅ!」


自分なりにキリッとした顔で店員さんに言ったつもりが噛みまくった···。


···皆さん、揃いも揃って口を手で押さえてプルプル震えないでください···。

言えなかった私もアレだけど、顔真っ赤にするまで笑いを隠さなくていいです···。


凹んでいる私をよそにらいち早く立ち直った店員さんは同じく立ち直ったお婆様と会計を始めた。

どうやら私が(リトが?)選んでいるうちに他の物を買ってしまったらしい。店員さんは大きな紙袋に商品を手際よく入れ、お婆様に渡した。

その間に私はにいにの腕のなかへ。

なぜかと聞いたら外が混んできたのではぐれないようにするためだと答えが返ってきた。紳士だ。


その時。


チリィ····ン···


鈴の音が聞こえた。と思ったら、走馬灯のようなものが次々に目の前に繰り広げられていく。

今よりももっと小さい『アイリーン』が誰かと手を繋いでこの店に入ってくる。

靄がかかったみたいにその人の顔は見えないけれど、にいにくらいの身長の····男の子だ。

アイリーンは笑ってる。屈託のない、純粋な笑顔で。

二人が何か会話している。


何だろう···。聴きたいな。


唐突にそう思って耳を澄ませるけど、頭の中に鳴り響く鈴の音が煩くて聴こえない。

聴こうと意地になるけど、どうしても聴こえない。

その内に二人は店を出て、通りを歩いて去っていってしまう。


待って!お願い、行かないで!

私、聞きたいことが···。


いくら叫んでも届かない。

それでも叫び続けていると、ふと遠くに小さく見える男の子が振り返った。

相変わらず顔には靄がかかっているけど、口元だけは霧が晴れたかのようにはっきり見える。

その口元が何かを伝えようと動く。

やけにゆっくりと、スローモーションで見ているかのように。


『お 前 は 何 者 だ ?』


咄嗟に何も返せなかった。

思い浮かんだ文章は言葉にすることなく心の中で消えていく。

どうして、どうして。なんで、なんで。


なぜ私は言葉を返せなかったの?


私は凜。だけど凜ってダレ?

私はアイリーン。だけどアイリーンってダレ?


私って····だ れ だ っ け ?


チリィ···ン····


また鈴の音。と同時に急速に意識が闇の中へ。

その最中になぜか頬を温かいナニカが流れた。






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