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精霊の花嫁〜迷い込んだ精霊の国は、男女比100対1の逆ハーレム国でした〜  作者: 夜風ほたる


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33/45

32 衝撃発言


ご覧いただきありがとうございます!

評価、ブックマーク、感想、レビュー、リアクションは執筆の励みになりますので、少しでも面白いと思っていただけましたら気軽に残してもらえたら嬉しいです!




「レシアーノ、どこか痛いとか苦しいとかない?」


 誰かに呼ばれた気がして目を開いたら、視界一面に綺麗な顔が映り込む。

 眉毛を下げて心配そうに見つめてきた白銀の髪の男性は、そっとレシアーノの頬に触れてきた。


「リブラミア…さ…ま……?」

「ああ、よかった……無事みたいだね…」


 リブラミアはレシアーノの顔をじっと見てから、安心したように優しく微笑んできた。


「ここは………?」


 リブラミアの顔の端に見える部屋の雰囲気が、いつもと違う気がして尋ねる。


「ここは来客用の宿泊部屋だよ。レシアーノの部屋は窓が割れてしまったし、近くの私たちの部屋も危険だから一緒に部屋を移ってきたんだ」

「そうでしたか………」


 まだ覚め切らない意識の中で、聞いた話を素直に受け取ろうとレシアーノは頷く。

 そこで、数刻前の記憶がないことに気が付いた。


 わたしの部屋の窓が割れた…?

 『危険』だから一緒に部屋を移った…?


 どういうことだろうか。

 全く思い出せない。


 誰かがわたしの部屋で暴れたのだろうか…?

 ここに来る前は、わたしは何をしていたっけ…?


 記憶を辿ろうとすると、頭にズキリと小さな痛みが襲う。


「うっ……………」

「レシアーノ大丈夫!?どこか痛むのっ…?」


 突然の痛みにレシアーノが顔を歪めると、リブラミアが顔を覗き込んできた。

 ズキリとした痛みは一瞬だけで直ぐに治っていた。


 今の痛みは何だったのだろう…?


「レシアーノ…?」


 リブラミアの心配そうな声がする。

 だけど、その声に返事を返せないほどにレシアーノには恐怖心が湧き上がっていた。


(一体なにがあったの……?)


 怖い。

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い。


「レシアーノ……どうしたの…?」


 殺される殺される殺される…殺される?

 誰に…?


「安心してレシアーノ!貴方は絶対に守り切るからっ…!」


 リブラミアにガバッと力強く抱きしめられて、レシアーノは現実へと意識が戻る。

 そこには、カタカタと全身が震えた自分がいた。


「リブラ…ミア…さま…」

「大丈夫だよレシアーノ、私が守るから…。今日はもう休もう?ずっと側にいるから安心して眠ってね」

「………眠る…?」

「もう夜だからね、そろそろ皆も眠る時間だろう」


(……えっ!?…もう夜なの!?)


 レシアーノの記憶は夕方の時間で止まっていた。

 夕方からずっとこのベッドで寝ていたのだろうか。

 やっぱり、記憶から何かが抜け落ちている気がする。


 レシアーノは周囲を慎重に見回した後、今更ながらに今の状況に焦り出した。

 そして、リブラミアに向けて声を上げる。


「どうしてわたし、リブラミア様と一緒のベッドに寝ているのですか!?」

「ん?…ああ、貴方が倒れたからここに運んで来たんだよ」

「倒れた…?わたしは何をしてたのですか?」

「もしかしてレシアーノ……記憶がないの…?」


 一瞬リブラミアが目を丸くして、それから心配そうな顔をして聞いてきた。

 その様子に確実に何かがあったのだと察しがついた。

 レシアーノは躊躇いながら静かに頷くと、リブラミアは変わらず優しく抱きしめてくれていた。


「大丈夫だよ、レシアーノ。思い出さなくていい。今日は一緒にもう寝よう?」


 リブラミアはレシアーノを抱きしめたまま、布団の中へと入り込み横になる。

 安心する人の温もりにレシアーノは目を瞑りかけて、理性が止めに入る。


「リ、リブラミア様!?…あの、一緒に寝るのは流石に…」

「どうして?私は貴方の婚約者でしょ?それに、前にも一緒に寝たことあるよ…?」


 リブラミアはむすっとした不機嫌な顔になり、抱きしめる腕の力が強くなった。


(一緒に寝たことがある…?)


 そんなことあったっけ…!?

 もしかして…、今日の記憶だけではなくて他の日の記憶も消えている…?


 考えれば考えるほどに意味が分からなくなっていく。

 今考えても記憶が直ぐに戻るとは思えず、レシアーノは全てを諦めて眠ることにした。


 安心するリブラミアの体温をきゅっと弱く抱きしめ返すと、リブラミアから『はぁ…』と甘い声が漏れた。


「私の婚約者は可愛すぎる……」

「か、仮です……」

「レシアーノ……こっち向いて?」


 そう言われて顔を上げると、すかさずリブラミアの唇が自身のそれに被さってきた。

 わざとらしく、ちゅっ、ちゅっ、と音がするように唇を弄ばれ、顔が一瞬で真っ赤に染まる。


「リブラミア様っ!」

「どうしたの?」

「や、やめてください!!」

「何を?」

「えっ…!……く…、口付けを…ですっ!」

「どうして?」

「……恥ずかしいからですっ!」

「ふふっ……。そんな可愛らしい顔をされたら、やめられないな」

「………っ!?」


 レシアーノの精一杯の抵抗は逆効果に終わり、上機嫌となったリブラミアから口付けが降り注いだ。

 レシアーノの頬に、額に、髪に、耳にと、リブラミアの唇が移っていく。

 それから耳元で止まった唇が甘く囁いてくる。


「レシアーノ、触れたかった。……愛しているよ」

「………!?」


 レシアーノの爆発寸前だった心臓が、とどめの一言でドクッと大きく高鳴り何も考えられなくなる。

 その後はされるがままになっていると、いつの間にかリブラミアが上から覆い被さっていた。



 そんな場面に一人の足音が近づいてきて、部屋の扉がガチャリと音を立てて開いた。


「レシアーノさん、大丈夫ですか?」


 眼鏡をかけた青年が、声をかけながらベッドに近づいてくる。


「ギルミック、何しにきた」


 弟の登場にリブラミアの表情が一気に不機嫌そうになり、ギルミックを睨みつけた。

 そんな兄の視線を涼しい顔で見返したギルミックは、ベッドの前で足を止める。


 レシアーノはこの状況から助けてほしいと、期待の眼差しでギルミックを見た。

 その視線に気がついたギルミックは僅かに口角を上げる。

 伝わったと勘違いしたレシアーノは胸を撫で下ろした。


 それも束の間、ギルミックはベッドへと上がり込み、リブラミアの隙間からレシアーノをぎゅっと抱きしめてきた。


「…………な!?」

「おいギルミック、殺されたいのか!?」


 動揺で言葉にならないレシアーノの音と、怒り出すリブラミアの声が重なった。



 ベッドの上で王子二人に抱きしめられる非常事態の中、もう一人の訪問者がこの部屋に現れ、空気が一変する。

 

「元気にしてたか、リブラミア。久しぶりだね。……おや、レシアーノ嬢も一緒なのかね、君はさっきぶりだな。なにやらお楽しみ中だったかな?」


 髭を生やした男が優雅に部屋の中へと入ってきた。


「ガラルク宰相、お久しぶりです…。どうしたのですかこんな時間に?」

「ガ、ガラルク様!?…さ、さっきぶりですか…?」

「ガラルク宰相、こんばんは」


 現れた人物にリブラミア、レシアーノ、ギルミックの順番で声を出す。


 流石のリブラミアもレシアーノから手を解き、ベッドから立ち上がり挨拶をした。

 ギルミックもすっと立ち上がって会釈をした。

 慌ててレシアーノもベッドから立ち上がり頭を下げる。


「一斉に立ち上がらなくても大丈夫さ。そんなに気を遣わないでくれ」


 そう言いながらガラルクは三人の前に近づいてきた。

 リブラミアは半歩後ろに下がり、尋ねる。


「私に何か用ですか?」


 警戒心からか、リブラミアは珍しく強張った表情でガラルクを見ていた。

 すると、ガラルクは口元に怪しい笑みを浮かべ、衝撃発言を口にする。


「リブラミア、今夜どうかな?」

「どう……とは、なんですか…?」

「君の体が気になる。私の部屋にきてくれないかな?」


(…………!?!?)


 この部屋に大きな稲妻が走った。



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