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53 第三部 プロローグ
帝王アサドは今、自分に浄化を掛けている。
絶えず浄化していなければ魔に取り変わられてしまうためだった。
今も油断をすると意識が魔に持って行かれる。
気が付くとなにをしているか分からなくなってしまうのだ。
浄化を絶えず使っている割りには成長していないようだ。
スキルを授かった方法が違うためなのか。精製された魔と、不純物だらけの魔では効率が悪いのだろう。
ため息を一つして、我が部族の老人たちが乗り込んできたときのことを思い返す。
「僅かな生き残りのわが部族。だが、懐かしいとも嬉しいとも思えなかった」
そのあと、ラシードは見逃してやったが、今もやつを消そうか未だに迷っている。
――ラシードがもし、自分の部族をまとめ、刃向かってきたら、その時は消すしかない。
アサドは大した感慨も違和感もなく淡々と結論づけた。
今までの体制を続けていくというアサドの決定に顔をしかめていた、ラシード。
だが、ラシードの理想は、あまりにも懐古主義だ。
「昔に戻って砂漠で生きるだと。馬鹿な。帝国民は我慢できるはずは無かろう」
この国の資源は魔しかないのだから。
これに縋ってしか生きられないのだ。帝国は……。




