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21 魔の体系

朱雀は、すごく長生きだったようだ。

なぜ、石になっていたかは分からないが、朱雀が言うには――


「わは、何度も再生する」


のだという。

朱雀は少し訛りが強く、朱雀の言葉の半分しか理解できなかったけど、すごく重要なことが分かった。

私や、ポンタが、なぜ違う属性を使えるのか。そしてそれが中途半端な魔法になってしまったかという原因が分かったのだ。


《要するに僕の言ったことが正しいってことだよね》


ポンタは、採ってきた魔を飲んだあと転移の距離が格段に伸びた。

そして、朱雀が言った《普通は複数の属性は人間には宿らない》と言うことも何となく分かってきた。


私が飲んだ精製された魔は不純物が混じっていたため、光と闇が使えてしまったのだ。

だが、そのどちらも中途半端になってしまった。

そしてポンタのように魔を加えれば、ちゃんと属性が成長することも知ったのだ。


ポンタの場合、闇が得意な属性だったけど、魔物だから、もともと”雑味”のようなものも持っていた。

だから水も使えたのだが、そのせいで器用貧乏になってしまったのだ。

普通の精製した魔を飲んだ人間には、これは無理だそうだ。


「朱雀、帝国の兵士は魔の原液に飛び込むんだって。彼らはどうなの。彼らも複数の属性が使えるの?」

《んだな……どんだベ。みでみねばわがねけんど。おそらぐ、魔物だベ、そつらは》


……最後の方しか分からなかったけど、要するに生き残った兵士でも、すでに人間ではなくなっていて、魔物化した可能性があるということだろう。


「朱雀。あなたも魔物?」

《成り立ちは魔物だじゃ。だけんど、わには自我があるはんでな》

《ボクにだって、自我がある。何万年も頑張って、無くさないようにしてきたんだ》


ポンタが胸を張ってそう自慢した。

可愛いので、くすぐってやったら、ケタケタと笑い転げて、お漏らしをしてしまった。

朱雀は、残念な子を見るような目でポンタを見ていた。

私が帝国で視た兵士たちは、皆ふつうに見えた。

彼らも魔物なのだろうか。


もしかして、エイリックが教えてくれた兵たちの成り立ちは、別に隠されているの兵士の事ではないのかしら。

だって、私が会った兵たちの魔法は拙かった。

彼らは私と同じように精製された魔を飲んだに違いない。


エイリックと私は、二人で砂漠へ行ったとき、いろんな話をした。

その時聞いたのが、帝国の兵たちの事だった。

十人に一人しか生き残れない割りには、たくさんの兵士がいる――

とその時私は感じたのだった。


***


「サクラ、また仕入れに行きたいんだが、ポンタを貸してくれないか」

「私も一緒に行こうかな」

「いや、サクラはしばらく店で修行をしていなさい」

「はーい」


パパは、きっとポンタの転移を視てビックリするわ。

パパの顔を想像して一人でにまにましていると、ポンタが


《初めての土地には転位出来ないよ。見えている分しか無理だね》


そう教えてくれた。

考えて見れば当たり前のことだ。知らない土地をどうやってイメージしろというのか。転移にも制約があるのは当たり前だった。

でも、帰りは一瞬だろう。


「ポンタ、パパには内緒にしておいて、帰りに転移して見せたら、パパはきっと驚くわ、むふふ」

《そうだね! 面白そう。パパさんもお漏らしするかも。ヒヒヒッ》


***


ポンタがいないので、必然的に朱雀との会話が増える。

朱雀は、魔法を体系づけて話してくれた。

私はそれをメモして、紙に書き写す。


「こうしてみると、スキルって、すべての属性に分類できるんだ……」

《わが、わがらねものもあるはんで、ほがにもあるはんでな》


……他にもスキルが有る……そう言いたいのかもしれない。


朱雀が言うには、私は光の属性が強いのだという。

だから、光で使う事が出来るスキルを知っているだけ教えて貰った。


治癒、真視、加護、浄化、祝福、聖域、再生。


今分かっているだけで、これほどあるのだ。

このうちの、浄化と治癒は使えているけど、魔を取り込まなければこれ以上の成長は難しいと言われてしまった。


《わは、火の属性が強ぇはんで、おめば守ってやれる》


朱雀は戦いに特化した神獣なのだろうか?

もし純粋な魔を初めに取り入れていたとしても、限界があったそうだ。

朱雀や、あの大きなミズチのように魔を取り込めば力が大きくなるそうだが、私がそれをやって、果たして人間でいられるかは疑問だ。

「私はこれ以上は要らない」そう思った。







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