6-8:第一王子はマーガレットの手作り料理を食べたい その3
「では」
私は成り行きで王城の料理人だけではなく第一王子の目の前で料理をする事になってしまう。
それどころか、第一王子は私が作った料理を食べる気の様子。
それ自体は全然かまわないのだけれど、何というか物好きだなあ。
「我が義妹マーガレットは、ここでは何時もあの様に料理を作っているのか?」
「はい。マーガレット様が手本を見せて下さり、私共王城勤めの料理人たちがそれを真似るという形で御座います。ですので、実際に王城内での食卓に並ぶ料理は何時も通り私共が作ったものとなっております」
「成る程。要するに、これは一種の講習会みたいなものか」
「流石はビトル様。正にその通りで」
私がワカニャから教わったラーメンの調理法を実演している間に、料理人の一人が第一王子にこれまでの事を色々と説明してくれたおかげで、私は料理とその説明に集中できて助かった。
料理の実演中にまで第一王子にあれこれ言われても面倒だしね。
「以上で完成なのですが。それで、あの、第一王子は本当に私が作ったものを食べるつもりなのでしょうか? 私が作ったものよりも、その道のプロである王城の料理人たちに改めて作らせたものを召し上がった方が美味しいと思うのですが」
「いや、私はマーガレットが作ったものを食べたい。だが、そうだな。作った目的が目的だけに私一人で全部食べるのは良くないな。この場にいる全員で分けた残りを少し頂く形でいい」
やっぱり食べるんだ。
でも、この場での目的を理解して料理人たちを優先して遠慮する辺り、やっぱり聡明な方なんだ、第一王子って。
私は、まず小皿に味見用としてその場にいる料理人全員の分を取り分けて配り、そして残った分の一部を第一王子用に取り分けて渡す。
第一王子のお口に合うといいのだけど。
やっぱり調理作法の経験の差がどうしても出て、プロが作った料理に比べたら味は明確に劣るだろうし。
「以前食べたラーメンと比べて明らかにスープの量が少なく、そして麺以外に結構な具材が入っているな」
「第一王子のお口に合うとよいのですが」
「そうだな、先ずは食べてみるとしよう」
第一王子が私の作ったラーメンを口にするその姿を、私は恐る恐る見守る。
味には自信があるというかそもそもがラーメンのスープの味だし、私が作った料理だからといってプロが作った料理とそれ程違いが出るとも思えない。
けれど、やっぱり自分が作った料理を誰かに食べられるのは緊張するなあ。
「おお、具材が増えた事により食べた時の満足感が増している。それにスープの量が少なくなって食べ易くなっているのもよい」
「お気に召されたのなら幸いです」
特に何事も無く第一王子が私の作った料理を受け入れてくれた事に、私は安堵した。
「ところで、この新たなラーメンの調理法はマーガレットが独自に編み出したものでいいのか?」
「はい、そうです」
本当はワカニャから教わった方法を真似ているだけだけど、我が家の秘術の事は例え王子相手でも秘密だし、それは言えない。
だから、本当の事は話せないし変に話がややこしくならない様に私が考案したという事にした。
「よし、決めたぞマーガレット。このマーガレット方式のラーメンを大々的に売り出して、ルベラの奴をギャフンと言わせてやる!」




