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5-7:悪役令嬢ルベラちゃん登場 その4

 怒り心頭の第一王子を目の前に、私はどうしようかと困り果てていた。


 第一王子を怒らせた当の本人はもう、この場にいない。

 そして、今この場にいる私は第一王子を怒らせた犯人の従妹。

 しらんぷり、って訳にはいかないよね?


 とにかく、何とか第一王子の怒りを沈めようと思い、私は意を決して第一王子に話しかける事にした。


「申し訳御座いません、第一王子。従姉のルベラ・ブルドレドウィンがこの様な事をしでかしまして」


 怖い。

 本当は、怖い。

 今すぐ、この場から逃げ出したい。


 けれど、逃げたところで事態は変わらないどころか、余計に悪くなりそうだし。

 だから、とりあえず謝罪してみたけれど、果たして第一王子の怒りが収まるかどうか。

 ああっ、本当、どうすれば?


「だ、大丈夫だ、マーガレット。何も、マーガレットが謝る事ではない」


 第一王子は、顔を引きつりつつも必死に作った笑顔で私にそう答えた。


「で、ですが──」

「悪いのは全部ルベラだ。従姉妹同士だろうが、マーガレットは何も悪くない。おのれ、ルベラ。次、次会った時はギャフンと言わせてやるッ!」


 ギャフン、って。

 緊縛した状況なのはわかっていても、第一王子のその子供っぽい表現に思わず笑いそうになり、私はそれを必死で堪えた。


「王子の立場を使ってルベラを処分するのは容易い。けれど、そんな事をしたらあの女の言う通り私が陛下に、いや父上に泣きついた事になる。それでは、私のプライドが、マーガレットの義兄(おにいちゃん)としてのメンツが許さない」


 第一王子がさりげなくとんでもない事を言っていた気がするけど、今はただ従姉のルベラちゃんが一先ずは大丈夫である事に少し安堵した。


「それはそうと、マーガレット。今日も弟に会いに来たのかい?」

「はい。今日は第二王子ライジェル様の方からお誘い頂いたもので」

「そうかそうか。では、一緒に行こうか」


 第一王子、何か当然の事みたいに同伴しようとしている。

 けれど断れないし、第二王子も多分悪い顔はしないと思うし大丈夫か。


 こうして、私はまた成り行きで第一王子と共に第二王子の部屋へと向かう事となった。

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