5-6:悪役令嬢ルベラちゃん登場 その3
私が王城内の廊下を歩いていたところ、どういうわけか、従姉のルベラに出会ってしまった。
王城に来ているからなのか、今日は真紅のドレスに身を包んでそれなりの格好だけど、髪型はこの前と同じツインテール。
多分、何かの用事で来ているのだと思うけれど。
「る、ルベラちゃん!? どうしてここに??」
「ムキーッ! ルベラちゃん言うな! って、ごほん。何? 私がここに居たら悪いの?」
「い、いえ。そんな事は無いけど」
従姉のルベラは私に会って早々、怒り口調でそして威圧的に私にそう言ってきた。
ルベラちゃんが今ここにいる理由を聞きたかったけれど、何か怖いあの感じだと答えてくれなさそう。
そんな訳で私が目の前のルベラちゃん相手にどうしたものかと困っていたところ、不意に後ろから声をかけられた。
「やあ、マーガレット」
「だ、第一王子!?」
「やだなあ、マーガレット。私の事は義兄と呼んでくれと、何時も言っているじゃないか」
い、今それを言うの!?
従姉のルベラちゃんの前で!!
は、恥ずかしいし、義兄とだなんて一度も第一王子の事を呼んだ事無いのに??
そうして、私が第一王子のその振舞いに焦っていた時の事。
従姉のルベラが突然口を開いて思わぬ事を私たちに言ってきた。
「何? 今、ピギ……マーガレットと話しているのは私なんだけど!!」
「な、何だ貴様は!? 私を誰だと思っている!!」
る、る、る、ルベラちゃん!?
第一王子に向かって何て事を!?
ルベラのあまりに無礼なその態度に、私はますます焦ってしまう。
ルベラちゃん、もしかして今目の前にいるのが第一王子だって気づいていない?
だ、だったら今すぐ説明して謝って許して貰わなきゃ!
「し、失礼しました第一王子! 目の前にいる彼女は私の従姉のルベラで、その、第一王子だと気が付いていないみたいで、その、先程は無礼な態度で接してしまって──」
「マーガレットがそう言うなら──」
「何? 馬鹿にしないでよ、マーガレット。貴女、最初に第一王子だって挨拶していたじゃない。私が気が付いていないとでも?」
「なッ!」
ちょ、ちょっとー!?
第一王子だとわかって何て事言ってんの!?
ルベラちゃん、どうしちゃったの!?
「私を第一王子だと知って、その態度だと言うのか!?」
「だから、何? 偉そうにしたいなら王様になってからにしたら?」
「この態度、ゆ、許さんぞ貴様!」
「で、どうするの? パパに言いつけるの? いい歳して『女の子に虐められましたー』ってパパに泣きつくのかしら?」
「くッ!」
どうしよう?
どうしよう、この流れ?
このままじゃあ、ルベラちゃん無礼過ぎて殺されちゃうかも!?
「マーガレット?」
「は、はいッ!」
突然、ルベラちゃんに振られ、私は驚いてしまう。
「用事も済んで今から帰るところだから、私」
「そ、そうなんだ」
「では。ご機嫌よう、マーガレット」
そう言って、従姉のルベラはその場を立ち去ろうとする。
って、ちょっとー!!
こんな事をしておいて帰っちゃうの!?
「なッ、貴様! 私には別れの挨拶無しか!」
「何、まだ居たの? それに、私にはルベラって立派な名前があるんだけど!」
「よーし、ルベラだな? 覚えたぞ! 次こそは覚悟しろよ!」
「ふんッ!」
第一王子の捨て台詞を気に留める様子もなく、従姉のルベラは帰ると言ってあっさりこの場から立ち去ってしまった。
そして、怒り心頭と第一王子と共に一人取り残された私。
ど、どうしたらいいの!?




