1-4:国王様、怒る
国王様を含めた周りに皆がいる前で第二王子を叩いてしまった私は、もはや言い逃れはできない状況。
そして、怒った第二王子は私を家ごと、すなわちファーレネイド家を潰すと言っている。
そんな、どうして?
皆に祝われる婚約発表の場が一転して死刑宣告の場に!?
ああッ!
私の人生終わった。
きっと、このまま国王様がこの場にいる私やお父様に処刑を言い渡すに違いない。
席に座っていた国王様が立ち上がり、私の方目掛けて飛び出してくる。
もしかして、息子に仇名す者を成敗するために陛下自らが手を下すつもりなのかな?
私はそれを覚悟して目を瞑った。
「この、馬鹿者がァー!」
国王の怒号が響き渡る。
怖い。
──あれ?
なんとも……ない?
何が起こったの??
私が恐る恐る目を開けると、目に入ったのは怒号と共に国王様に殴られていた第二王子だった。
「何が婚約破棄だ、馬鹿者がッ!」
「え? え? え?」
第二王子は国王様に殴られた痛みよりも、父である王様に殴られた事に動揺している様子。
私も、まさか国王様が息子である第二王子を殴るだなんてと驚いている。
「ち、父上!? 何がいけないのですか? ギリギリ公表前の婚約を破棄するくらい何て事はないでしょうに」
「たわけッ! お前がこんな美しい娘さんと婚約できるなだなんて奇跡にも程があるわ! 逆に何時婚約破棄を言い渡されるかとワシはさっきからビクビクしとったわッ! それなのに婚約破棄を宣言するとか身の程を知れ!」
「で、ですが父上──」
「それに、以前から何度も言っているだろ! 人前ではワシの事を『陛下』と呼べと!」
何かお説教モードに入っちゃってる。
国王様と第二王子のやりとり別の意味でどうしようかと思いつつ、国王様がさりげに私の事を「美しい娘さん」と言ってくれた事を少し嬉しく感じてしまう。
「ち……陛下、国王である貴方の力ならば婚約者を見繕うなぞ容易い事では?」
「アホか! ワシが貴族たちに強要して娘を差し出させるなんて真似をしてみろ。国の貴族全員に反乱を起こされて、国が亡ぶわ!」
「なッ?!」
「いいか、今回の婚約だってお前がどうしてもと言うから駄目元で頼んだ結果なのだぞ。こんな機会、二度と訪れるか分からないのに。お前という奴は……」
国王様は第二王子に説教をし、そして頭を抱えてだした。
にしても、婚約の話って元は第二王子が言い出した事なんだ。
自分で言い出して自分で反故にするとか、いったいどういうつもり?
けれど、今はそれよりも王子を平手打ちした事。
王様、何か息子というか第二王子に厳しく対応しているし、この分だと大丈夫そうかな?
不安が消えたわけではないけど、もう少し国王様と第二王子のやり取りを様子見した方がいいかも。




