4-2:新たなる食材、もやしとキノコ その2
ワカニャの話によれば、モヤシというものは大豆から作られるとの事。
なので、うちの使用人に頼んで早速大豆を用意してもらった。
「ワカニャ、それでこの大豆をどうするの?」
「光を当てないで育てるんだけど、成長するまでに一週間はかかるから気長にまってね」
育てる?
てっきり、この大豆を加工して醤油や味噌みたいなものを作るのかと思っていたのに。
「育てたら普通に成長するだけじゃないの?」
「光を当てずに育てるともやしになるの。いい、絶対に光を当てちゃダメだからね!」
へえ、光を当てずに大豆を育てると別のものになるんだ。
「本当は水耕栽培で育てた方がいいらしいけれど、無理そうだったら土で育てるのでも多分大丈夫」
「うーん、とりあえずやってみるね。多分、これで光を当てない条件も達成できると思うし」
スイコウサイバイ?
この言葉の意味は分からないけれど、育てるだけなら大丈夫。
私は、大豆に対して土魔法を使う事にした。
植物を成長させる土の精霊魔法。
普通は光の加護を入れなきゃいけないし、初心者だとよく光の加護を入れ忘れて失敗なんて事もよくあるのだけど。
今回は、あえず光の加護を入れないようにしてやれば、きっと。
私が大豆に成長の魔法をかけると、何やら白いものがニョキニョキと生えてきた。
これが、大豆なのかな?
「ワカニャ、これでいいの?」
「おー。ちゃんともやしに成長している……って、な、何、今の!?」
「えっ? 植物を成長させる魔法だけど?」
「ま、魔法!? や、やっぱりマーガレットって魔法少女だったんだ!!」
ワカニャは何をそんなに驚いて?
精霊魔法を使っただけなのに。
それに、また魔法少女って。
あれ?
もしかして、魔法を使ったから魔法少女?
それで、今まで私が魔法を使えないと思って馬鹿にしてた!?
「もう14歳だし、初歩的な精霊魔法くらい使えます!」
「えっ? もしかして、マーガレットがいるこの世界って普通に魔法使えるの!?」
私が、少し不機嫌になりつつ多少威圧的にワカニャにそう言ったところ、ワカニャはそれに動じる事なく本気で驚いていた。
その様子から察すると、つまり。
「もしかして、ワカニャの世界って精霊魔法無いの?」
「魔法なんて私が元居た世界じゃ御伽話の世界にしかないよ!」
「それって、どういう事?」
「私は魔法が無い世界の出身って事!」
何か変だと思ったら、やっぱり。
ワカニャは私が知らない事を色々知っているとは思っていたけれど、知らない事があるのはお互い様って事か。
魔法が童話の中にしか存在しない世界であれば、物語の主人公になる少女が魔法を使えるだけで特別な存在になるはず。
だから、ワカニャが散々言っている魔法少女という言葉は、本当に嫌味なく文字通り魔法が使える少女という意味で、ワカニャにとって特別な存在を指す言葉なのだと私はようやく理解できた。
ワカニャにとって、この世界に来た事は絵本の世界にでも入った感覚なのかもしれない。
「ごめん、ワカニャ。精霊魔法の事、もっと早くに説明したほうがよかったね」
「ううん、大丈夫。この世界に転生した時に女神様からある程度の知識を与えられたはずなのに勘違いしていた私も悪いし。お互い様って事で」
お互い様、か。
「それより、マーガレット。これでもやしは何とかなったから次はキノコ。もやしとお肉だけでもいいけれど、キノコもあった方が美味しくなるし」




