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3-8:王城で胡麻ドレ試食会 その5

 私がロジーナとピオーネの所へ行くと、二人はキョロキョロと周辺を見回す。

 念入りに他に誰もいない事を確認し、そして誰もいない事を確認し終えると私に向かって思いもよらない事を言った。


「ありがとー! マーガレット、貴女のおかげで私たち助かってるの」


 ???

 私、何もしていないと思うのだけれど?


 私が不思議そうにしていると、ロジーナとピオーネの二人は続けてこう言ってきた。


「マーガレットが第二王子と婚約してくれたから、私たちが第二王子と結婚させられる心配が無くなって」

「今までは、あの豚と結婚させられるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていたけれど、これで一安心で」


 な、何か少し癪に障る感じがしないわけじゃないけれど、理由は理解できた。

 王家の人間は血を濃くするために従兄妹で結婚する事もあるって聞いた事があるし、第二王子の従妹である公爵令嬢の二人もそれを心配していたと。

 二人からにじみ出る第二王子と結婚したく無いという強い思いが、私に伝わってくる。


「何も、そこまで第二王子の事を嫌わなくても」

「嫌いっていうか、従兄妹で結婚ってのがありえない感じ」

「そうそう。隣国の王子との政略結婚ならドンと来いだけど、従兄妹で結婚だなんて……」


 そっちかー。

 私には女の従妹しかいないから、よく分からない感覚かも。

 でも、私のお兄様と従妹のルベラが結婚したら何となく嫌だし、そういう感じなのかな?


「マーガレット、そういう訳で私たち貴女の事を応援するから」

「私たち、学校の二年生でマーガレットの一つ上の学年だし、困った事があったら何でも相談して」


 とどのつまり、利害の一致って事?

 私と第二王子が婚約の末に結婚すれば、ロジーナとピオーネの二人も救われる。

 だから私に協力する、と。


 この展開。

 頼りにしても、いいのかな?


「分かりました。よろしくお願いします」

「こちらこそ。でも、私たちが協力する本当の理由は内緒だから。第二王子と結婚したくないからって理由だと世間体上良くないし」

「あくまで表向きは善意での応援。だけど理由が理由だから遠慮せずに気兼ねなく私たちに甘えて」


 思わぬところで協力者が増え、それまで落ちていた気が少し晴れたような気がした。

 第一王子といい、公爵令嬢の二人といい、思ったより味方になってくれる人がいそうで一安心。

 これなら、次も頑張れるかも。


「ところで、今日って第二王子と会ったんだよね?」

「どうだった? 上手く行った?」

「それが──」


 私は第二王子に胡麻ドレッシングのサラダを食べてもらえなかった事をロジーナとピオーネの二人に話した。


「ちょ? 胡麻ドレッシングって一年生の間で流行っているやつだよね? 何楽しそうな事してんの!」

「ずるーい。私も使ってみたかったのに」


 二人は第二王子の事そっちのけで胡麻ドレッシングの話題に食いついてしまっている。

 そっちの人気が想定以上に上がっているのは喜ばしい事なんだけど、今はちょっと複雑な気分。


「ごめんなさい。私が今日持ってきた分は全部お城の厨房の方に」

「なんですって! こうしちゃいられない。早く厨房に行かなきゃ、ピオーネ」

「そうね、ロジーナ。急ぎましょう。マーガレット、それではまた今度」


 そう言って、公爵令嬢のロジーナとピオーネ姉妹の二人は厨房の方へと行ってしまった。


 と、とにかく第二王子を痩せさせる事に協力してくれそうな味方は増えた。

 第二王子との距離を縮める事には失敗したけれど、第二王子を痩せさせるための味方になってくれそうな人たちは見つかったし、これは大きな成果。

 少しだけど、前に進めたかも。


 焦らず、頑張るしかないか。

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