3-6:王城で胡麻ドレ試食会 その3
どういうわけか、偶然出くわしてしまった第一王子に連れられ、私は第二王子の自室にまで行く事になってしまった。
「あの……いえ、なんでもないです」
私は、第一王子がどうして私には優しく接しているのかを聞こうかと、一瞬言葉を発したけれど、やっぱりやめる事にした。
もしかしたら、女嫌いの第一王子が第二王子に気を使って無理して優しく接しようとしているのかもしれないし、私が聞くのは無粋かな?
「ん? ああ、心配しなくて大丈夫。弟の部屋はもうすぐそこだから」
第一王子の言う通り、本当にもうすぐのところに第二王子の自室があったみたいで、第一王子が部屋の扉をノックして中に声をかけ始める。
「俺だ、入っていいか?」
「何だ兄貴か。いいよ、開いているから勝手に入ってくれ」
第一王子が声をかけたおかげで、私は第一王子と共にすんなりと第二王子の部屋に入る事ができた。
「喜べ。お前のフィアンセが会いに来てくれたぞ」
「こ、こんにちは第二王子」
「げえッ! 何でお前がいるんだよ!? 帰れよ!!」
そうだよね。
先日のパーティーであんな感じだったし、拒絶されるのは当然。
胡麻ドレッシングを試してもらう流れが目まぐるしくて少し忘れていたけれど、そもそもこれをきっかけに少しでも仲良くならないと。
第一王子が作ってくれた流れで、とりあえず部屋に入って挨拶まではいけた。
これが私一人だったら部屋にすら入れなかったかもしれないし、そこは第一王子に感謝しないとだし、このチャンスを逃してはいけない。
臆せず前に進まないと。
「本日は第二王子に私の学年で流行っているものを召し上がって頂きたくて」
「ん? ひょっとして食べ物!?」
く、食いついた!?
これは、行ける流れかも?
「はい、是非とも」
「さっきからお前が持っているトレイのものがそれだな。見せろ!」
「では」
私は、サラダの鮮度を保護するためにトレイの上に乗せてある器に被せてある蓋を取り、第二王子に中身を見せた。
「や、野菜じゃねーか! 俺は食べんぞ!!」
「そう言わず、この胡麻ドレッシングをかけてどうぞ」
「嫌だ! それに、何だその胡麻ドレッシングってのは」
「最近流行り始めている新しいドレッシングで、本日はそれを試してもらいたくて来ました。ですので、どうか騙されたと思って一口だけでも」
「いいや、もう騙されんぞ!」
ダメかあ。
でも、私も胡麻ドレッシングに出会うまではサラダ嫌いだったし、あんまり強くは言えないんだよねえ。
どうしたものかと私が考えていると、第一王子が第二王子との会話に割り込んできた。
「どうした、ライジェル? 食べてやれよ。折角可愛い義妹が持って来てくれたというのに」
「何だよ、その義妹って?! 俺はまだこいつと結婚もしていないし、先日婚約破棄するって言ったじゃないか」
「その婚約破棄は無効になっただろ。というか、俺から念願の義妹を奪うな」
「知るかよ!!」
何言ってんの、第一王子?
何か今だけ第二王子とは気が合いそうだけど、サラダを食べてもらえないのは困ったなあ。
本当、どうしよう?




