3-2:学校で話題の人に その1
第二王子との婚約発表から次の日。
気が重いまま、私は学校に登校した。
15歳半ばまで過ごした地元の学校は既に卒業済。
16歳になった私は今、王都にある国中の貴族の子供たちが集められた貴族の学校に通っている。
第二王子もこの学校に通ってはいるのだけれど、多分顔を合わせる事はない。
私は一年生、第二王子は三年生と学年が違うし、今まで顔を合わせた事もないし。
だから、多分これからも意図的に探そうとしない限り、第二王子とは学校で互いに顔を合わせる事はないはず。
そう、第二王子と鉢合わせする心配はないのだけど、気にしなきゃいけないのはそこじゃない。
今現在、特に今日気になるのは周りのクラスメイトたちの方。
昨日の婚約発表の話は当然届いているだろうし、何と言われるか。
「あっ、マーガレット!」
「マーガレット、様」
「マーガレットだ」
男女問わずぞろぞろとクラスメイトたちが集まり、私の周りを囲む。
「ねえねえ、昨日第二王子をクーパンで殴り飛ばしたって本当!?」
「いやいや、俺は蹴り飛ばした上に足で甘踏みしたって聞いたぞ」
「国王様と一緒に土下座させたってマジ!」
な、何か話が大きくなってるーー!!
そして、国王様がとばっちりで被害受けてる!
「そ、そんな訳ないでしょ! 私はただ、第二王子をうっかり平手打ちで叩いてしまっただけです」
とりあえず弁解はしてみたけれど。
「そうだよね。流石に国王様に手を出すわけないもんね」
「あー。でも第二王子に手が出ちゃったのは本当なんだ」
「見たかったなあ。あの第二王子が無様に平手打ちされる姿」
見たかったって、そんな見せ物にするような事じゃないのだけどなあ。
「でも、マーガレットってあの第二王子と婚約する事になったんだよね?」
「うん、そうだけど」
本当は2年くらい前から決まっていた事だけど、そのあたりの事情を説明するのは面倒かな。
話せば長くなるし。
「大丈夫なの? あんな豚みたいに太ったデブ」
「そうそう。あんなの王子じゃなかったらマーガレットとは釣り合わないよ」
幾ら第二王子が太っているからって、婚約者の私の前でそんな事言わなくても。
正直、以前太っていた身としては、そんな風に言われるのはちょっとムッとする。
けれど、ここで私が怒って空気を悪くするのは端ないし、我慢しなきゃ。
「ううん、第二王子だって痩せればきっと。私も前はあれくらい太っていたし、頑張って痩せれば大丈夫だよ」
「えっ? 嘘、信じられない!? マーガレット太ってたの?」
「ええ、まあ」
「ど、どうやって痩せたの!?」
どうやって痩せたか?
我が家の秘術で呼び出した冥界の魂、もとい妖精のワカニャによる指導の元で食生活を見直しただけだけど。
「しょ、食事のやり方を見直しただけ」
「そうなの!? じゃあ、お昼一緒に食べよう。マーガレットがどんな感じでお昼ごはんを食べているか見てみたい」
「私も、私も!」
「さんせー。じゃあ、皆で見よっか」
えーっ!?
隠す事じゃないから、まあいいけれど。
こうして、私はクラスで一躍人気者になり、今日の昼食の時間をクラスの皆と過ごす事になった。




