1-2:太っていたけど頑張って痩せました
私が改まって国王様に挨拶すると、パーティ会場の貴族たちが一斉に騒めき出した。
「あれがファーレネイド家の令嬢?」
「嘘……だろ? ファーレネイド家のマーガレットと言えば、若いのに豚の様に太っていると有名じゃないか」
「ファーレネイド伯爵め、さては娘を差し出すのが恥ずかしくなって替え玉を用意したな」
わ、私そんな感じで有名だったの!?
どう考えても悪い意味で名が知られていた事に私は少し驚いた。
うん、でもこういった悪口は本人の耳に入るようには言わないか。
今はマーガレット本人がいないと思っているから皆言いたい放題だけど。
でも、痩せて綺麗になった今となっては気にならないし、むしろ痩せて良かったと思えて嬉しくすらあるかも。
「皆の者、鎮まれ! それで、其方は本当にマーガレットなのか? ワシが聞いた話ではマーガレットはもっとこう、ふくよかな体型だったはずなのだが」
「はいッ! 第二王子の婚約者に相応しくなるために頑張って痩せました!」
「マジで!? ……ごほんッ。そ、そうだな、其方のその心がけにそれを実行して実現させる努力、大変素晴らしいものだ」
国王様は驚きつつも私が痩せた事について褒めてくれた。
けれど、その表情には若干の焦りが隠し切れない風に見え、更に時折第二王子と思われる太った男性の方をチラチラと見ている。
私は、国王様のその行為に少しだけ不安を感じながらも、とりあえず私が今のマーガレットである事を認められて安心した。
「あれが本当にマーガレット嬢なのか? にわかには信じられん」
「大柄だとの噂だったのに、大きいのは胸だけじゃないか。全く、噂は当てにならんな」
「一体どうやってあんなにも美しい体形に!? 後で教えてもらわなきゃ!」
周りの貴族たちも噂だけで知っていた私の変わり様に驚いている。
とりあえず、痩せて美しくなった事は周りにも好評みたいだし、後は第二王子がどう反応するか。
でも、この感じだときっと第二王子も喜ぶ自慢の嫁になれるはず!
「で、では役者も揃ったところで始めようか」
いよいよ、かな?
「では、既に知っている者も多いだろうが改めて紹介しよう。第二王子、そこにいるマーガレットの前に行きなさい」
国王様がそう言うと王様と同じ列の席に座っていた太った方の男性が立ち上がり、そして私の前にまで歩いて来た。
やはり、この人が第二王子。
丸々と太ってはいるけれど以前の私もこんな感じだったし、そこは気にならない。
「国王のワシが直々に皆の前で宣言しよう。第二王子ライジェルとファーレネイド家のマーガレットは──」
「父上!」
国王様の言葉を遮るように第二王子がいきなり怒号を発し、パーティ会場が一気に静まり返る。
第二王子のその顔をよく見ると、怒りを抑えるようなしかし隠し切れない険しい表情で少し怖い。
そして、第二王子は続けざまにこう言い放つ。
「俺は、ここにいるマーガットとの婚約破棄を宣言する!」




