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2-13:ワカニャが来てから次の日の朝食 その

 ワカニャと共に厨房に入ると、料理人が朝食を作っている真っ最中であった。


「おや、マーガレット様。おはようございます。今日は早起きで。御一人でどうなされました?」


 厨房の料理人に挨拶される。

 御一人、ねえ。

 やっぱり、ワカニャの姿は見えていないんだ。


「ほら、マーガレット。ちゃんと伝えなきゃ」

「分かってるって」


 私は、ワカニャに(せか)かされて料理人と話をする。


「ええ、おはようございます。ところで、今日の朝食なのですが──」

「はい。それでしたらもうすぐ出来上がりますので、しばしお待ちを」

「それは、分かっています。それで、私の献立なのですが。その、野菜を、増やす事、できます?」

「はい、大丈夫ですよ」


 あっさりと快諾されてしまった。

 急な事だから、朝食からいきなり野菜を増やすのは無理だと断られるのではないかとチョットだけ期待していたのに。


「本当に、大丈夫なのですか?」

「ええ。マーガレット様は偏食故にメニューを減らしていただけですので、今日は野菜が入った料理もお持ちしますね」


 ああ、そうなんだ。

 それなら、今まで抜いていた分を戻すだけだから大丈夫なのかな。多分。


 我が家は基本、料理は使用人と同じものを食べる事になっている。

 他の貴族がどうなのかは知らないけれど、贅沢に慣れていると戦時の時に困るという事で、あえてそうするのが我が家の仕来り。

 勿論、お客様が来た時の料理や頂き物を食べる時は別だけど。


 料理は使用人全員の分を用意するために沢山作っているはずだし、一食分くらい増えても何て事は無いのだと思う。


「では、お願いします。あの、それからお昼のお弁当にも野菜を」

「それでしたら、今から丁度仕込みに取り掛かりますので、そのように」


 お昼のサンドイッチは今から作るんだ。

 それなら、作っている過程を見学してワカニャから助言をもらった方がいいかも?


「あの、作るところをご一緒してよろしいですか?」

「えっ? あっ、はい。どうぞどうぞ」


 こうして、私はワカニャと一緒に昼食用のサンドイッチを作る過程を見学する事にした。


 お昼用のサンドイッチは基本朝食の残りの具材をパンとパンの間に挟みこんだもので作っていて、今現在見学しているのはその具材を挟みこんで重しを乗せるまでの段階。

 なので、ワカニャには昨日発覚した栄養成分を見る能力で、食べて大丈夫なのかを見てもらうつもり。

 何か問題があれば、その場で指摘してもらって痩せるための改善を行うために。


 料理人はサンドイッチを次々と仕込んでいき、大きく分けて2種類のサンドイッチを作っていた。

 1つは私が何時も食べている肉中心のもの。

 そして、もう1つは私がさっき注文した通りの野菜をしっかり挟んだサンドイッチ。


「どう、ワカニャ? 何か問題ある?」

「うーん。このサンドイッチのパン、意外に大きいね。これなら2つで十分」

「えーっ!? 何時も4つは食べているのに。2つと2つって事で4つにしちゃダメ?」

「ダメに決まっているでしょ!」


 ダメか。

 仕方ない、これも痩せるため。


「肉のと野菜のとで1つずつにしなさい。肉と野菜をバランスよく取った方がいいし」

「はーい」


 ワカニャからそう言われ、私は料理人にその旨を伝える。


「あの、お昼のサンドイッチ、お肉のとお野菜のを1つずつ──」

「ぬ、ぬ、ぬ、ぬいぐるみが喋ったー! しかも動いてる!!」


 サンドイッチを仕込んでいた料理人は、私と会話しているワカニャを見て驚愕の表情を浮かべている。


 あっ、そっか。

 ワカニャ、朝起きた時からずっと猫のぬいぐるみの中に入ったままだった。

 しかも、ぬいぐるみの中に入っている状態なら、ワカニャの声は皆に聞こえるんだ。


「お、落ち着いて。大丈夫です。後でちゃんと説明しますので今は安心して料理を続けてください」


 とりあえず、この場は何とか収めたけれど、気をつけないと。

 うちの使用人たちにはこれから説明して何とかするとして、外でぬいぐるみのワカニャが喋ったら色々と面倒な事になりそうだし。


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