2-8:ワカニャと出会って初日の夕食 その1
私は光の球もといワカニャを連れて夕食の席についた。
自分の部屋を出てから食卓の席に移動するまでの間に何人かの使用人とすれ違ったけど、誰もワカニャの存在に気が付いていない。
その事から、ワカニャは私にしか見えない存在などだと察し、自分用の特別な存在なのだと改めて理解する。
多少不安はあるけれど、やっぱりワカニャは私がファーレネイド家の秘術を使って呼び出した存在なのね。
夕食は、私とお父様の二人の事が多い。
お母様は既に亡くなっているし、お兄様は今は勉強のため王都での寮生活。
お父様が忙しくて帰宅できない時は私一人で食べる事もあるかな。
「マーガレット。それで、あれから何か進展はあったのか?」
「やはり、お父様にも見えていないのですね」
「む? ああ、そうか。さっきの声と同様にマーガレットにしか認識できないのか」
「そのようです。私の後ろに小さな光の球がいるのですが、今まで私以外の誰も気が付いていない様子でしたし」
本当に他の誰にも見えないのなら、こっそりとついて来てもらうのには便利かもしれない。
でも、姿が見えない事で逆に不便な事もあるかもしれないし、後で何か良い解決方法があるか考えないと。
でも、今はそれよりも。
「今日の夕食は何かしら?」
私は、ロールパンを頬張りながら食事が運ばれてくるのを今か今かと待っている。
ワカニャの事があったからか、お腹空いちゃったし。
まず最初に運ばれてきたのはトウモロコシのスープ。
うーん、私このスープ大好きなんだよね。
特にこのスープに散りばめられたクルトンというものが大好きで、何時もちょっと多めに入れてもらえるように頼んでいるし。
「これ、コーンスープだよね? ちょっと量多くない?」
「五月蠅いですね。私はこのスープ大好きだから沢山飲みたいの!」
スープを飲んでいる最中にワカニャに話に話しかけられて、私は少しイラっとしてしまう。
次に運ばれてきたのは、豚肉に衣を付けて油で揚げたもの。
これも、私大好きなんだよね。
あの可愛らしい豚さんがこんなに美味しくなるなんて、何て罪深いのでしょうか。
「あっ、トンカツだ。でも、キャベツが無いよ?」
「お父様は『油がキツい』とキャベツと一緒に召し上がっていますけれど、私は苦手だからキャベツ無し。これに塩をふって食べるのが最高だし、少し行儀は悪いけれど大き目のパンに挟んで食べると油とパンが融合して絶妙な味になりますのよ」
とまあ、こんな感じで私が運ばれてくる食事を次々と食べ終え、夕食を楽しむ。
そして、デザートが運ばれてくる段階でワカニャがこう言った。
「とりあえず、マーガレットが太っている理由、大体分かったかも」
「早ッ! まだ半日も経っていないのに、もう!?」
まさか、こんなに早く原因が分かるだなんて。
流石、我が家に伝わる秘術!
「それで、太っている原因は?」
「あのね、マーガレット。貴女、糖質の取り過ぎ。もっと食べる量を減らさなきゃ!」
「な、な、な、なんですって!?」
い、いけないッ!
思わず大きな声を上げてしまった。
「マーガレット、どうかしたか?」
「い、いえ。何でもありません、お父様」
私の取り乱したその様子をお父様が心配そうに見ている。
けれど、思わず取り乱したのは仕方のない事。
だって、食べる量を減らすだなんて私にとって一大事なんだから!




