表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒姫の奴隷勇者  作者: 分福茶釜
金の王女の襲来
20/21

再会と勇者

『二人の間』

 AさんがBさんに拳銃で弾を打った。その弾がAさんとBさんの距離を半分進む。この後、弾は残り他距離の半分を進む。これを繰り返すとしよう。

 何回目で弾はBさんにたどり着くのだろう……

【ギシャアアアアアアア!!】


 影人間を踏みつぶした巨大な怪物は王女に向かって耳をふさぎたくなるような奇声をあげる。巨大な一つの目玉には無表情で怪物を見つめる王女の姿が映っていた。


【グギャアアアアアアアア!!】


「やかましい」


 いつものように黒い影で、小さな弓矢を作り上げた王女はそれを目の前の怪物に放つ。しかし、先程までその場で奇声をあげていた怪物は忽然とその場から姿を消していて、矢は壁に突き刺さってしまった。


「!? なっ!!」


 目を離したわけでもないのに、怪物が、消えていることに少なからず動揺する王女。周りを確認する間もなく、背後から襲われた王女はかなりの勢いで弾き飛ばされ、扉に激突する。扉はその衝撃で壊れるが、また新たな扉が現れるので結局扉に被害は無い。

 見えかけた外の景色も完全に扉で隠されてしまった。


【ギシャアアアア!!】


 怪物は勝ち誇るかのように王女へと奇声をあげた。




***




「んっ……んん? んぐぐ?」


 俺が目を覚ましたところは王女の屋敷ではない。奇妙な術式が組み込まれた手錠と足枷が付けられ、口には猿轡(さるぐつわ)がはめられている。ただただ真っ暗な場所に転がされている。まるで牢獄の様だ。


「……起きたか?」


 突然声を掛けられて、声のする方に顔を向けるとこちらを見る王女と目があった。

 ……何でこんなとこにいるんだ!!?


「んぐんんんぐぐううううう!!?」


 奇妙な声をあげてしまった俺に王女は近づいてくると、俺の猿轡を外した。自由になった口で俺はすかさず王女に口を開く。


「ぶはっ……な、何でこんなところにいるんだよ!?」


「うむ……貴様が寝こけている間にな」


 手錠、足枷の順で俺の拘束を解いていきながら王女は質問に答える。っていうか王女も捕まえられてたのか……命が狙われてるってのに不用心に単独行動して、俺に敵の相手までさせといて、結局捕まっちゃいましたって……俺が言えた義理じゃないが……ふざけてるな。

 あれ?でも俺がここで倒れている間に連れてこられたってことは王女が捕まったのは俺より後か……それまで何やってたんだ?


「……なんだその顔は?」


「いや、……なんか色々あるけど。 ……それより一体ここどこ?」


「目が覚めた様ですねえ。 ……まさか、こうも簡単に拘束を解かれるとは思いませんでしたよ……」


 突然の男の声に、体が脈を打つ。壊れた機械人形のように、ぎこちない動きで声の聞こえた方へと顔を向けると、ガーゴイルのゲルシュがニタニタと笑っていた。……相変わらず気持ちの悪い奴だ……


「相変わらず、気持ちの悪い奴だな……何の用だ?」


 うわっ……王女も同じこと思ってたのか……俺と違って口に出してるのが何とも王女らしいと言えばらしいんだが、あんまりこの状況で敵を挑発するのは、良くないんじゃないか?


「おや、おやおや?王女様……お忘れですか? 前にも言ったはずですが……」


【グシャアアア!!】


 王女の言葉に特に反応も示さず、ニタニタと気味の悪い笑みを貼り付けながら、口を開くゲルシュ。しかしゲルシュが話し終わる前に、奇声をあげて一つ目の巨大な怪物が現れた。怪物は俺達の方を睨みつけるとだらしなく半開きの、不規則に牙が生えた巨大な口で大きく咆哮する。……辺りの空気がびりびりと震えるほどの巨大な声でだ。耳がキンキンと悲鳴を上げる。

 この怪物の目玉……さっき俺が、扉の隙間から一瞬見た目玉と同じだ。言うまでも無くこの化け物はゲルシュの仲間なのだろう……俺は何とも言いようのない醜悪な怪物の姿に顔をしかめた。


「死んでください」


【グシャアアアアアア!!】


 怪物はその巨体からは想像できないほどの速さで飛びかかってきた。




***




 屋敷の庭、ミルトンを模した人形の残骸を始末したエミリアは、王女の朝食の後かたづけをするために丸いテーブルに乗った食器を片づけ始めていた。ちらりと屋敷に目を向けると、いつもの通り薄暗い屋敷がどっしりと構えている。しかし、何かいつもと雰囲気が違うような気がした。…………それは、気のせいなのかもしれないが。


「あら、ごきげんよう」


 首をかしげて、屋敷を見上げていたエミリアの背後から、突如……鈴の様に濁りのない女性の声が聞こえる。聞き覚えのあるその声にエミリアは顔を向けることなくそれに答えた。


「何の御用でしょうか?」


「それはもちろん……彼に会うため……なんてね」


 その言葉にエミリアは声のする方へと振り返った。しかし、そこには誰もいない。エミリアの一瞬の隙をついて声の主は背後からエミリアの首筋に腕をまわすと、小さな銀のナイフを突き付けた。

 首筋にナイフを当てられてながら、エミリアは動揺した様子も見せず、静かに背後の女性へと問いかける。


「……何のつもりでしょうか」


 少しだけ間を置いた後……首筋のナイフは離れていき、緊迫した空気もいくらか薄まる。どうやら本気で争う気は無いようだ。エミリアが無反応でいると、背後から声が聞こえてくる


「……ふふっ、冗談。 今日は私、あなた方に知らせたいことがあってきたんですのよ」


「……知らせたいこと、ですか?」


 エミリアがゆっくり振りかえると、うっすらと笑みを浮かべたルシエールが居た。魔王領で一度だけ出会っただけの魔物である。……その魔物が今、一体何の用なのか。


「そ♪……まぁ、少し遅かったみたいなのだけれど」


 エミリアから視線を外したルシエールは屋敷に目を向ける。

 屋敷は一見、いつも通りに見えた。


 サンキュッパ!!(意味分かんないですね……なぜなら特に意味はないから)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ