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婚約破棄された伯爵令嬢が、王女の侍女になって王宮の食事改革を始めました  作者: 絵宮 芳緒
第七章 王宮夜会

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第三話 夜会の始まり

王宮の大広間には、すでに多くの貴族たちが集まっていた。


高い天井から吊るされたシャンデリアが、黄金の光を広げている。


楽団が静かな序曲を奏で、会場には優雅なざわめきが満ちていた。


「聞いたか?」


「ダグラス侯爵家の件だろう」


「王家が動いたらしい」


貴族たちは小声で噂を交わしている。


その中に、もう一つの名前が混じっていた。


「王女の侍女」


「アルヴェルン伯爵令嬢だ」


「今日の夜会に出るらしい」


興味と好奇心が入り混じった視線が、会場の入口へと向けられる。


その時だった。


大広間の扉が、ゆっくりと開く。


ざわめきが、一瞬で静まった。


最初に姿を現したのは――


王弟アルベルト。


銀灰色の髪が灯りを受けて静かに輝く。


堂々とした佇まいだった。


そして、その腕にエスコートされている少女がいた。


銀の髪。


深い青のドレス。


夜の海のような色の布地に、細かな銀糸が星のようにきらめく。


会場の空気が、静かに揺れた。


「……あれが」


「アルヴェルン伯爵令嬢?」


誰かが小さく呟く。


リディアは少し緊張しながらも、落ち着いた表情で歩いていた。


王弟が静かに言う。


「緊張しているか?」


リディアは小さく微笑む。


「少しだけ」


正直な答えだった。


王弟はかすかに笑う。


「大丈夫だ」


「皆、君を見ているだけだ」


その言葉に、リディアは思わず苦笑した。


「それが一番緊張します」


二人はゆっくりと大広間へ進む。


その時だった。


人々の視線の先に、一人の青年が立っていた。


黒い髪。


濃い青の瞳。


ヴァルディーク公爵家の嫡男――カイル。


カイルは静かにその姿を見ていた。


深い青のドレス。


銀の髪。


その色は、彼の瞳とよく似ていた。


ほんの一瞬、目が合う。


リディアは少し驚いたように瞬きした。


だがすぐに、小さく微笑む。


カイルは何も言わない。


ただ静かに、その姿を見つめていた。


王宮夜会は、静かに幕を開けた。

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