表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された伯爵令嬢が、王女の侍女になって王宮の食事改革を始めました  作者: 絵宮 芳緒
第四章 広がる評判

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/107

第九話 舞踏会の準備

公爵家の執務室。


机の上には書類が積み上がっていた。


カイル・フォン・ヴァルディークは、それを一枚ずつ確認していく。


だが――


どうにも集中できない。


(……王弟殿下がドレスを)


思い出すだけで、わずかに眉が動いた。


侍従の報告は確かだった。


王弟アルベルト・エルフィリア。


王家の一員。


その人物が、リディアの舞踏会用のドレスを贈った。


「……」


カイルは小さく息を吐く。


理屈は分かる。


王女の侍女が舞踏会に出るのなら、王家として装いを整える。


それは当然の配慮だ。


だが――


(私が用意するつもりだった)


カイルは椅子にもたれた。


舞踏会。


当然、リディアの装いのことも考えていた。


だが、その前に王弟が動いた。


「……遅かったな」


小さく呟く。


その時、扉がノックされた。


「カイル様」


侍従が一礼する。


「ダグラス侯爵家の嫡男が、王宮に来ているとのことです」


カイルの視線が鋭くなる。


「……ルーカス・ダグラスか」


侍従は頷いた。


「はい」


「舞踏会にも出席する予定だそうです」


短い沈黙。


カイルはゆっくりと立ち上がった。


窓の外には、王宮の庭が広がっている。


春の風が、木々を揺らしていた。


舞踏会。


そこには当然、社交界の人間が集まる。


ルーカス・ダグラスも。


そして――


(アルフレッド・グランベルクも来るだろう)


あの婚約破棄の当事者。


さらに。


(ミレーヌ・カストラ)


社交界では有名な、あの男爵令嬢。


カイルは小さく息を吐く。


「……厄介だな」


舞踏会には、多くの人間が集まる。


噂も。


視線も。


思惑も。


その中に、リディアが立つ。


カイルは静かに呟いた。


「守る必要がある」


それは誰に向けた言葉でもなかった。


だが――


その声には、はっきりとした決意が混じっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ