第四話 公爵令嬢の関心
その頃――
アリアナ王女の部屋の前の廊下を、
一人の令嬢が足早に歩いていた。
艶やかな黒髪。
華やかな笑顔。
クラリス・フォン・ローゼンベルク。
公爵家の令嬢であり、
皇太子レオナルトの恋人でもある。
「アリアナ!」
勢いよく扉が開く。
部屋に入ってきたクラリスを見て、
王女は楽しそうに笑った。
「ちょうど良かったわ」
クラリスはきょとんとする。
「何が?」
王女は食卓を指した。
そこには、湯気を立てる澄んだスープが置かれている。
「リディアの料理よ」
その言葉に、クラリスの瞳が輝いた。
「まあ!」
「それなら、私もいただきたいわ」
クラリスの視線は、すぐにリディアへ向けられた。
「あなたがリディアね?」
「噂は聞いているわ」
リディアは静かに一礼する。
「リディア・フォン・アルヴェルンと申します」
クラリスは楽しそうに笑った。
「ぜひいただきたいわ」
彼女はスプーンを手に取り、ゆっくりと口に運ぶ。
そして――
小さく目を見開いた。
「……あら」
その声に、王女が笑う。
「どう?」
クラリスはもう一口飲む。
温かな香りが喉を通り、
体へゆっくりと広がっていく。
「優しい味ね」
そして、ふと頬に触れた。
「……でも」
その瞳がきらりと輝く。
「これ、肌に良さそうじゃない?」
王女は楽しそうに笑う。
「でしょう?」
「リディアの料理は、体を整えるのよ」
クラリスは感心したように頷いた。
「なるほどね」
「それで最近、私の肌の調子が良いのかしら」
その言葉に、リディアは少し驚いたように目を瞬かせた。
クラリスはにっこり笑う。
「リディア」
「今度、私の食事も見てくれない?」




