表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された伯爵令嬢が、王女の侍女になって王宮の食事改革を始めました  作者: 絵宮 芳緒
第十章 新たな立場

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/107

第十四話 誓いの刻

王都の教会。


高い天井に差し込む光は、どこまでも澄んでいた。


その静けさは、ただの沈黙ではない。


この場に集うすべてが、これから交わされる誓いを見届けるためのものだった。


やがて――


扉が、ゆっくりと開かれる。


光が差し込み、空気が変わる。


その中を、リディアは歩いていた。


純白のドレスが、静かに揺れる。


一歩ごとに、確かな足取りで。


もう迷いはない。


視線の先。


祭壇の前に立つ一人の青年。


カイルだった。


黒の正装。


揺るがぬ立ち姿。


その瞳は、まっすぐにリディアを捉えている。


逃がさないように。


そして――


待ち続けていたかのように。


リディアは歩みを進める。


距離が、ゆっくりと縮まっていく。


やがて、隣に立つ。


自然に。


最初からそうであったかのように。


司祭の声が、静かに響いた。


「汝、カイル・フォン・ヴァルディークは――」


誓いを問う声。


カイルは迷わない。


「誓います」


短く。


だが、その声には揺るぎがなかった。


次に、リディアへと視線が向けられる。


「汝、リディア・フォン・アルヴェルンは――」


ほんの一瞬だけ、息を整える。


胸の奥で、静かに何かが重なる。


ここまで歩いてきた時間。


選んだ想い。


すべてを抱えたまま――


顔を上げた。


「誓います」


静かに。


だが、はっきりと。


その声は、まっすぐに響いた。


司祭が頷く。


指輪が差し出される。


カイルはそれを受け取った。


そして。


リディアの手を取る。


あの日と同じ。


だが――


今は違う。


もう離すことはない。


ゆっくりと。


確かめるように。


その指に、指輪を通す。


冷たいはずの金属が、


なぜか、温もりを帯びていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ