903話 マモリの船室紹介
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早耳猫でアリッサさんとメイプルの悲鳴を聞いた後、船に戻ってログアウトしたのだ。今日は寄港地に辿り着く予定だし、できるだけ船に居ようと思ってね。
因みに、情報料はまた億超えだった。いやー、今回は自信あったけど、億超えるとやっぱ驚くよねー。
「ララ?」
「ニュー?」
「ヒン?」
ベッドで目を開けると、あったかい感触が左右から感じられる。右にアコラ、左にキャロが寝ていた。
ミニチュアホースとは言え、馬のキャロも寝られるくらい広いベッドだからできる芸当だ。いや、狭いベッドでも強引に潜り込んでくるけどさ。
メルムは相変わらず俺の頭の下にいた。こいつ、枕になりたい願望でもあるのか、いつの間にか俺の頭の下に潜り込むんだよね。
冷たくてプニプニで、リアルでもこの枕欲しいのだ。
「ペペーン!」
「フムー!」
「グゲー!」
水大好きトリオは、今日もバルコニーで大はしゃぎしているらしい。河童とか、頭の皿が日光と潮風で乾いたりせんのかね?
「あいー!」
「ウニャー」
「ワンワン!」
三毛猫のダンゴを頭に乗せ、マメシバのナッツをヌイグルミのように抱いたマモリがファウたちと何やら相談中だ。
実はこの部屋、仮のホーム扱いなので、マスコットや妖怪も遊びにこられるんだよね。ログアウト前とか、妖怪たちが追いかけっこしてたし。
「マモリ、どうした真剣な顔しちゃって」
「あい!」
「あ、すまんすまん。なんか撮影中なのか」
マモリに叱られてしまった。俺の位置が邪魔らしい。
動画クリエイターマモリさんは、なにやらこの部屋を撮影しているらしい。可愛いマスコットとともに、部屋を練り歩いては「あい! あいあい!」と身振り手振りで説明? しているようだった。
どうやら特別船室紹介動画を作成中であるらしい。
マモリは相変わらず日記帳の動画をアップし続けている。もうね。俺が知らぬところで日夜増え続けているので、俺も全部は分かっていないのだ。
毎週の動画ランキングで入賞したりもしているようで、ポーションやお金が送られてくる。うちに映されて困るようなところもないし、好きに撮ればいいと思う。
「部屋の紹介とか、需要あるのか?」
「あい!」
マモリが自信満々に頷く。プロデューサーマモリさんが確信しているなら、きっと需要があるのだろう。まあ、頑張ってください。
「あい!」
「え? なに?」
「あいあい!」
「これを持てって?」
マモリが俺に持たせたのは、属性ソイ豆と魚のチリスープだ。
「食べろ――ってわけじゃないのね」
「あい!」
口を付けようとしたら足をペシンと叩かれた。余計なことはせず、お椀を持って立っていろということらしい。
次も、属性ソイ豆の塩スープを持たされた。多分、商品紹介なんだろう。ここ数日で手に入るようになった属性ソイ豆をルフレたちに調理してもらったらしい。
「あいあいあい!」
マモリが手を振り回しながら、元気に声を上げている。「今ならこの値段!」みたいなことを言っているのだろう。動画だとテロップが付くから、問題ないのだ。付くというか、マモリが付けてるんだが。
頭の上のダンゴが完全に眠ってるけど、よく落ちないな?
暫くマモリの動画撮影に付き合わされていたら、アナウンスが聞こえてくる。
ピッポーン。
『寄港地が発見されました。上陸は1時間後となります』
「お! ついにきたか!」
「ラ!」
「ニュー」
バルコニーに出てみると、遠くに大きい島影が見えた。あれが寄港予定地なんだろう。
「あい! あーいー!」
「お? マモリも見るか? ほれ」
モンスたちの後ろでピョンピョン飛び跳ねるマモリを抱きかかえて、島影が見えるようにしてやる。
「あいー」
「これも撮影してるのか?」
「あい! あいあい!」
「え? もう少し高くって? じゃあ肩車でいいか?」
マモリを肩車してやると、楽しそうにキャッキャしながら撮影をしている。すると、しばらくして不意に肩の重みが消えた。
「あい!」
「フママー!」
「ニュー!」
「デービー!」
「は? ええええ? ちょ、大丈夫なのそれ! あ、危ないぞ!」
なんと、飛べる子たちがマモリを抱えて浮遊し始めたではないか。より上から撮影しようってことらしい。
マスコットはダメージを受けたりしないって分かっていても、心臓に悪い光景だ。マモリが高い場所から海に落下するとか、完全に衝撃映像だし。
「あーいー!」
「ウニャー」
「ワワン!」
ああ! そんな激しく動いたら! 頭の上のダンゴが落ちる! ナッツを振り回すなって! もっとしっかり抱きかかえて!
ハラハラが天元突破! 見てられない!
「あいー!」




