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904話 第一寄港地到着

 寄港地への上陸まで残り10分となったところで、俺は甲板へと向かった。すでに大量のプレイヤーがひしめいている。


 皆、できるだけ早く上陸したいんだろう。もしかしたらアナウンスがあった直後から並んでいる人たちもいるんじゃないか?


 まあ、待ってればそのうち列も動き出すだろうし、並んでよう。そう思ってたら、なんか見られてる?


 前に並んでるプレイヤーたちがわざわざ振り返り、周辺の人たちもチラチラと俺を見ているのだ。俺、なんかしちゃったか?


「なあ、いいのか? 白銀さん前にいかせなくて」

「でも、俺たちが譲ったところで……」

「そうだけどさぁ」


 なんか小声で言い合いしているね。なんだろう?


 そのまま全周囲超至近距離から感じる無数の視線に落ち着かない感じで上陸を待っていると、プレイヤーたちを掻き分けて親方が近寄ってきた。


「おいおい! ユート殿! 筆頭船主がこんなところで何してんだ!」

「え?」

「ほら! 筆頭船主が最初に下船するにきまってんだろ! こっちこい!」


 俺が連れていかれたのは、降りるためのタラップの目の前だった。当然、大勢のプレイヤーが並んでいる。その中にはアリッサさんの姿もあった。


 しかし、それらを飛び越えて、一番前に並ばされる。


「もしかしてユート君が最初に降りる感じなのかな?」

「親方に連れてこられたんですが、どうもそうみたいで……」


 これ、ヤバくない? 権力を使って列を無視した挙句、一番乗りをゲットとか……。絶対に炎上するじゃん! 今まで築き上げてきた俺のジェントルマンなイメージが崩壊する!


「お、親方に言って、やめてもらいますから! 横入りしませんから!」

「いやいや、何言ってんの! イベントをキャンセルするなんてとんでもない! それに、こうなるんじゃないかって思ってたし」

「え? そうなんですか?」

「ええ」


 アリッサさんは出航と同じで、上陸時にも何かイベントがあるんじゃないかと予測していたらしい。


「今回はうちの関係者ばかりだから、さほど揉めたりしなかったけど、他の船だったら一番乗りを争って大揉めするでしょうね。だったら、最初から決まっちゃってる方が争いも減って良いことだわ」

「ああ、なるほど」


 確かに、この船の場合は早耳猫の意向が優先されるから、アリッサさんが強権を発揮しても文句は出ないだろう。少なくとも口に出す人は少ないはずだ。


 でも、後続の他の船の場合、乗船客の所属や思惑はバラバラのはずである。どのクランが最初に上陸するかとかで、激しく揉める可能性は高かった。


 運営もそれを見越して、筆頭船主を一番に上陸させちゃおうと考えたのかもしれない。


 アリッサさん以外のプレイヤーも、特に怒っている風ではない。イベントなら仕方がないと納得してくれたんだろう。


「じ、じゃあ、お先に失礼しますね?」

「ええ。筆頭船主として、ビシッと上陸を決めちゃってよ!」

「は、はあ」


 上陸を決めるって、どうすりゃいいんだ?


「タラップ下ろせぇぇ! 何があるか分からんから、警戒を切らすなよ!」


 親方が船員たちに大声で指示を出す。何があるか分からないって……。恐いんですけど! 別に絶対に先頭で上陸したいってわけじゃないのに!


 ちょっとビビリながらタラップを下っていくと、目の前は白い砂浜だ。それなりに大きな島であるらしい。


「ほれ! ユート殿! 上陸する前に、皆に一言どうぞ!」


 ま、またこれ? 一言って……。


「ユ、ユート! いきまーす!」


 俺はそう叫んでタラップから陸地に向かってぴょんと飛び降りた。気のきいたこととか言えないんですもの!


「て、敵は……」

「ヤヤー……」

「キキュ!」


 皆で警戒するが、特に敵影はない。ここはセーフゾーンなのか? その事実を示すように、砂浜の中央には転移陣があった。


 触って解放すると、アナウンスが流れる。


『第一寄港地が解放されました。今後、転移可能です』


 この島には半日しか留まらないという話だったが、後で探索しに戻ってこれるってことだろう。


「それじゃあ、俺らは物資の補給を行うから、乗客の皆さんは好きに過ごしてくんな!」


 特にNPCを手伝ったりはしなくていいようだ。じゃあ、島の探索にいこうかな? 俺の後に降りてきたプレイヤーたちの中には、もうビーチの奥に広がる南国風の森に突入していった人たちも多いし。


「強敵がいそうだけど、浅いところを少し探検するかね」

「ペペン!」

「グゲ!」

「フムー!」


 水大好きトリオがやる気だな。どうしよう。森の中での戦闘になるんなら、一度ホームに戻ってペルカとか河童を入れ替えようと思ってたんだが……。


「ペン?」

「グゲ?」


 2人が「いかないの?」って感じで俺の顔を覗き込む。河童とか、意外と愛嬌がある顔してて可愛いな! 仕方ない。とりあえず今の面子で挑んでみよう。


「クママ、頼りにしてるからな」

「クマ!」


 前衛、クママ! 後衛、ルフレ、ファウ、メルム! 遊撃、リック、リリス、ペルカ、河童! すんごくバランス悪いけど、頑張るぞ!


 いや……やっぱ、ペルカか河童をオルトやサクラと交換した方が――。


「ペペーン!」

「グゲー!」


 ダメだ! あんな楽しそうなペルカたちを交換できない! いつでもクママに盾になってもらえる位置で警戒しとこう。



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― 新着の感想 ―
交換できないのはしょうがないw
こうやって効率とかを気にせずモンス達の意思を尊重するから自由度がグングン上がってさすシロが起こりまくるんだろうなってw
またまたラグーン部分で水好きトリオが新発見するようなw
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